2018年7月27日金曜日

貿易関税の駆け引き

アメリカ通商代表部が、知的財産侵害を理由に中共の輸出品に追加関税を課す制裁措置の公聴会を行いました。
アメリカが中共から輸入する製品に25%の関税を掛けることで、アメリカの産業にどのような影響があるかを確認するための公聴会です。

そうしましたら「関税による製品価格の値上がりなどを懸念する反対意見が大勢を占めた」との記事が産経に出ておりました。
そしてその代表例として、「ダイキン工業の米国法人」とか「国際半導体製造装置材料協会」などがその反対意見を延べていたようです。

反対の理由は、「関税による製品価格の値上がりなどが懸念される」ということです。ダイキン工業は「フッ素樹脂などの化学製品が関税で価格が上がり、市場を失うリスクがある」と指摘し、「(需要拡大を前提とした)米国での投資拡大の計画を危険にさらす」とのことです。

また、半導体製造装置材料協会は「サプライチェーン(部品の供給・調達網)に極めて有害であり、中共の製品の代替品の調達が困難で、知財侵害を改めさせる手段として関税は効果的でない」などと述べたそうです。

トランプ政権が中共からの輸入を問題視しているのは、国内産業が圧迫されているからであり、関税を掛けるのは「アメリカ国内生産の物を使え」という事が筋のはずです。

ですから「フッ素樹脂などの化学製品」はアメリカ製を使えということになり、その価格に合わせるように関税を掛けたわけですから、このダイキン工業の言い分は「貿易戦争」と言う意味が解っていないことになります。
中共の製品との世界市場での競争で価格的に負けるというのであれば、その分何らかの付加価値を付けて戦えば良いのではないでしょうか。それが出来ないと言うのであれば、すでに戦いに負けていることになります。

国際半導体製造装置材料協会と言う協会がどんな協会かは知りませんが、「中共の製品の代替品の調達が困難」とはどういう意味でしょうか。
もし、中共でなければ作れない製品があるとすれば、物が半導体なだけに国家安全保障上の問題になるのではないでしょうか。
同等品を急遽アメリカでも作れるようにしないと、貿易戦争で負けるどころか、太平洋の覇権まで取られ、アメリカ衰亡の危機になるということです。
ここでもこの戦いが「貿易戦争」である意味が解っておりませんね。

この公聴会では、ダイキン工業も半導体製造装置材料協会も、貿易摩擦とか経済不均衡の調整という経済行為としての「対中関税」のようにしか捉えておりません。
確かにトランプ政権はこれを「貿易戦争」とは述べておりませんが、関税の額ややり方などを見れば明らかに「貿易戦争」なのです。

「戦争」ですから相手が屈服し、莫大な賠償金を払うか、あるいは軍事的対抗に出て戦闘行為に及ぶか、そのどちらかしかないわけです。

かつて我が国はABCD包囲網で貿易戦争を仕掛けられ、「ハルノート」によって産業の息の根を止められました。我が国は「真珠湾攻撃」で軍事的対抗をしたことで、あの大東亜戦争太平洋戦線が始まった訳です。

これが「貿易摩擦」ではなく「貿易戦争」なのです。追加関税の話は、屈服しない習政権に対して更なる戦争を仕掛けるという意味であり、この公聴会は味方側の被害がどれくらいになるかを調べているだけです。製品が売れるか、利益がどうのなどは関係ありません。
習政権が屈服するか、それとも軍事的手段に訴えて来るか、貿易戦争の行きつく先はこのどちらかです。

トランプ米大統領と欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は、自動車を除く工業製品の関税撤廃を目指す協議を始めることで合意しました。
自動車を除くのは、自動車がアメリカにとって特別なものであるという国家意思を意味しているのでしょう。

この関税撤廃は、同時にこれまで中共に輸出していた大豆などを欧州に買ってもらうという取引でもあります。もしかすると日本にも大豆輸入量の拡大を要求してくるかも知れませんね。

これもまた、今回の貿易戦争が中共を敵として仕掛けていることの表明になっているとは思いませんか。

アメリカが中共に貿易戦争を仕掛けるのは、ある意味で当然のことです。国際法を守らず、軍事力だけを延ばし、そして世界戦略だけは的確に進めている中共。
AIIBなどを使って高利の借金で世界的要衝に港湾を作り、その借金のカタに港湾を取り上げるやり方が、アングロサクソン国家などを怒らせたようです。

貿易戦争は、武力行使の戦争になるか、習政権が破綻して江沢民派が共産党を解党するか、そこまで続くのではないでしょうか。

アメリカにとってはどちらでも良く、決断は習主席か、もしかするとその後の政権に託されているわけですね。

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