2018年10月29日月曜日

日中首脳会談、三原則とは・・

安倍首相は中共の公式訪問日程を終え帰国されました。26日の習主席との会談では日中関係の「新3原則」なるものを確認し合っての帰国と言うことです。

その3原則とは、
1)競争から協調へ
2)脅威ではなくパートナー
3)自由で公正な貿易体制の発展
と言うことです。

そして習近平主席に。来年の訪日を要請して帰国とのことですが、習主席は「(それまでに)真剣に検討したい」と応じたそうです。

この3原則は、中共に理解されるでしょうか。
先ず「協調」という概念は華人にはないのではないでしょうか。相手を騙し情報を盗み、先に利益を掴むことしか念頭にないように思います。
「パートナー」という概念も同様で、これを中国語でなんと訳しているのかは知りませんが、主従関係なら判ってもパートナーという同格連携は判らないように思います。
そして最後の「自由で公正」ですが、公正という意味がわかるのでしょうか? 自由は共産主義の敵対概念ですし、公正というのは法のもとの公正ですから法の客観性が無ければ無意味です。
法が権力者によって作られる国に「自由と公正」など不可能だと思います。

今回の安倍首相訪中が成功か失敗か議論されていますが、最後のこの「新3原則」を習主席が「真剣に検討したい」と言ったとすれば、今回の訪中は日中間は「今までと変わらず」と言う事になり、今後も仮想敵であることに変わりはないと言う事、これが結論ではないでしょうか。
通貨スワップや一帯一路への参加などは、日本企業の「日中友好幻想」から覚めない方々に対するサービスに過ぎないとも思えます。

日中の共同事業で日本企業が得をしたことなど一度もなかったはずです。相手の口車に乗せられて日本国内と同じように振舞った結果、損失しか出なかったのではないでしょうか。
安倍首相は日本国内のパンダハガーを軽蔑しているように見えます(政治家も含む)。ですからこのような交渉をしたとも思えます。

習政権は今頃「この3原則をいかに丸め込むか」を必死に行っているのではないでしょうか。そしてそれを持って来年我が国を訪問するのでしょう。

しかし安倍政権はその間に「自由、公正、開かれた貿易」などを環太平洋諸国(アメリカも含む)と締結していくことでしょう。
そしてそのFTAやEPA、そしてTPPなどの協定文書が出来てくれば、それをひな形として習政権と対峙すれば良いだけです。

10月27日に帰国した安倍首相は、直ちにインドのモディ首相との会談を10月29日に設定しました。このモディ首相、28日は安倍晋三首相の招きで首相自身の山梨県鳴沢村の別荘を訪れ、29日に首脳会談に臨むそうです。
訪中の後どうするか、最初からの計画でしょう。これが安倍外交の神髄ですね。

モディ首相とは、「自由で開かれたインド太平洋戦略」のもと、両国は安全保障面での連携や、経済面での協力関係を強化させる方針です。
特に中共の軍事拡大への警戒から、安全保障分野での協力推進が重要な内容となることでしょう。

さらに医療分野での連携拡充やデジタル技術の共同研究など、そして日本の新幹線方式が採用されるインド高速鉄道事業などに対して、3千億円強の円借款供与を表明する予定だそうです。
これは暗に一帯一路やAIIBへの牽制になっているのではないでしょうか。

このモディ首相の訪日で、安倍首相が山梨県鳴沢村の別荘へ招待したことは、来年の習主席の訪日でも「別荘へ招待」がなされなければモディ首相より「格下」に見られてしまうことになります。
中共政府は「別荘へ招待」にこだわるかも知れません。そうなれば日本側にとっては有利な交渉条件が一つ増えたことになります。なにしろメンツ第一の華人なのですからね。

トランプ大統領は正面切って「中共の不公平に対する関税障壁」を作り習政権を経済的に追い詰めました。そして次は安倍首相によって心理的な追い込みを行っているのかも知れません。
この揺さぶりの中で、拉致問題に対する北朝鮮への働きかけがなされるかも知れませんし、ウイグル、チベット問題への対応に変化が出て来るかも知れません。
東シナ海や南シナ海についても、経済が逼迫すれば思うように行かなくなるはずです。

安倍首相の「地球を俯瞰する外交」は、どうやら佳境に入って来たようですね。
これからどうなるか、楽しみでもあります。

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