2018年10月20日土曜日

安倍首相のASEM演説

18日午後からベルギーで開催されたアジア欧州会議(ASEM)首脳会議で、出席した安倍首相は、北朝鮮の非核化に向けた圧力維持と、海洋進出を強める中共を念頭に海洋安全保障での連携を訴えるようです。

アジア欧州会議とは、1994年にシンガポールのゴー・チョク・トン首相が提案した「アジア欧州サミット構想」を母体とするアジアと欧州の関係強化を目的とする会議で、現在の参加国は49ケ国と2機関(EUとASEAN事務局)が加盟する大きな会議です。
そして北朝鮮とアメリカ、中東諸国とアフリカ諸国はまだ入っておりません。

そして安倍首相の演説から「知的財産の収奪、強制的技術移転、貿易歪曲的な産業補助金、国有企業によって創り出される歪曲化及び過剰生産を含む不公正な貿易慣行」に対し日米欧三極の協力によって対処していくという文言が消えてしまっています。
北朝鮮の非核化と海洋安全保障だけで日米同盟は大丈夫なのでしょうか?

安倍首相は10月13日に、26日からの日中首脳会談で中共の知的財産権侵害や鉄鋼過剰生産の問題について「積極的に対応することを強く期待している」と述べております。
なぜASEMの会議でそれを言わないのか疑念が残ります。

石平氏によりますと、安倍訪中に仕掛けられている罠には「一帯一路」への日本の協力を引き出そうとする罠と、「自由貿易」の大義名分を振りかざして日本を米中貿易戦争に巻き込もうとする罠だそうです。
しかも、この罠は日本側からも仕掛けられているようで、経団連が安倍首相訪中に一緒に大挙して中共に出向こうという計画もあるとか。
どうもここに安倍卸しの匂いも漂ってきております。

日米離反は中共の最優先課題でしょう。もし安倍首相が一帯一路への協力や自由貿易(あくまでも中共以外の国が自由貿易であることを前提とした不平等貿易のことです)への連携を共同声明で発表してしまえば、それは明らかにアメリカを始めマレーシアや台湾などに対する裏切り行為となることは間違いないでしょう。

経団連は現在、日立製作所の中西会長が経団連会長を務めておりますが、ソフトバンクの孫正義氏を会長にしようとしている流れがあるそうです。
トヨタの豊田章男社長がソフトバンクと提携した理由は、日本の経済界の中共の乗っ取り作戦の始めだったのかも知れません。

安いソフトバンクのスマホに飛びついた我が国のスマホユーザーですが、その結果が日本経済の中共乗っ取り計画だったと言う訳です。
今後自動車は安全性能や道路情報(ナビゲーションの付加価値として)が組み込まれてくるでしょう。また自動運転もある程度は実現化するでしょう。しかしその自動車は商品としては魅力を失うでしょう。

このように安倍首相の訪中を取り巻く環境はかなり悪化しています。特に問題なのが日本国内に居る親中派です。
親中派議員だけでなく財務省、外務省、経団連などが安倍首相に対中強硬発言を押さえてしまう事態が考えられるからです。
もちろんその裏側には、中共の人質外交が動いているようにも見えますね。

安倍首相の本意とは関係なく「共同宣言」の中に一帯一路にう日本が協力するような意味に取れる文言が入ると、世界中は日本が一帯一路を認めたような見方になってしまう、またそうする策謀が中共側にあるのではないかという疑念があるのです。

日米離反を起こさせるのも、日中が経済協力を始めると言う噂だけで可能ではないか、とする考え方も出来るのではないでしょうか。

日米が目標とするのは中共の民主化、すなわち共産党潰しです。そしてそれは今後の世界のある程度の社会主義化を進めるための下準備でもあるのではないかと思うわけです。
行き過ぎた資本主義は行き詰ってグローバル資本主義、即ち、資本中心の社会主義化が見え隠れし始めました。それは主権国家をないがしろにしていますから困るわけです。

中共の自由貿易とは、中華思想、華人に貢ぐ朝貢外交を意味するはずです。資本主義の自由貿易は資本家(どこの国でも構わない)に貢ぐ株主資本主義を意味するはずです。ですから「人件費の安いところで作れ!」となるわけです。(移民でもいい、となります)
トランプ大統領の言う「それは間違っている」という思いから「アメリカ・ファースト」が生まれ、世界中の国々に「国家観を持とう」という主張を、トランプ流の激しい言葉で拡散したわけです。

株主資本主義は、企業に3カ月決算などという「配当を出せ」というだけの資本主義に成り下がってしまいました。人類を前進させる基礎研究がやり難い企業環境となり、企業はただ目先の利益を求めるように変わりました。
我が国では財務省がこの方針に引っ掛かり、法人税を下げ、消費税を上昇させています。企業は「税金に取られるくらいなら開発投資や設備投資、給料アップをやろう」というインセンティブを失い、ただひたすら利益の内部留保を始めてしまったのです。(ですから消費税を上げてもデフレ脱却が出来ないわけです)

今後の人類の発展は、自動運転とかロボット利用、電子マネーや宇宙旅行などが目玉になってきますが、ほとんどが社会インフラから始まる技術で、それが出来てから民間の利用が始まるものです。ですから社会インフラの国際標準化など、各企業も利益外業務が増えてくるはずです。

そのインフラ整備が間違った方向に行かないようにするためには民主主義が必要です。中共を見ていますと、これらのインフラが国民監視や反勢力の弾圧に使われております。民主主義が機能しないからでしょうね。

国家が指導してこれらのインフラ整備に携わるために、民主主義下である程度の社会主義化が必要になる、即ち公共投資的なものが必要になるわけです。(必要な金額は莫大ですが)

さて、安倍首相は日中首脳会談でどのような対中交渉を見せるでしょうか・・・

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