2010年11月23日火曜日

日本、株式価格上昇・景気は回復するのか

不動産バブルがはじけて、10年不況に陥った日本。その復興がなされるかと思ったとき、アメリカの不動産バブルがはじけ、リーマンショックとして日本に波及、再び不況に逆戻りした日本経済です。
それから3年目、世界中が日本の失敗例を見ながら、デフレ脱却に必死となり通貨安競争に入って通貨ばら撒きを始めました。
その中にあって、日銀は公定歩合ゼロは維持したもののデフレ策は取らず、結果的にインフレ策を取ったものですから円は高騰、日本の輸出は大打撃となりました。

世界的には高値安定の円がヘッジとしては機能しますが、我々国民の仕事は大打撃。輸入品に市場を奪われ、価格競争となってデフレ不況がさらに進んでしまいます。
やっとその問題に気がついたのか、日銀もFRBへの追随に踏み出したようですね。
もっとも、お金持ちの味方、お公家集団の日銀ですから「包括緩和」という造語を使って、株式指数関連の投資信託と不動産投資信託の買い上げを密かに考えているというもの。その日銀の買い上げ規模は来年末までに5千億円ときわめて小さい規模のようです。日銀幹部は「資産買い取り額全体の基金規模は35兆円です」と言っているようですが、さて効果のほどは・・

市場はすぐに反応しました。この発表を受けるとすぐに日本の株価も上昇し始めたのです。
問題はこの上昇の主役は、ウォール街の証券会社や投資ファンドであるということ。この上昇を見て日本の投資家が追従すれば、腰の引けた日銀を横目に見てすぐに売りを浴びせられるのは必定。儲けるのはウォール街で、日本の投資家は再び損をすることになるのではないでしょうか?

一方世界に目を向けますと、アイルランドで約4千億円分の劣後債を整理すると発表しています。すなわちアイルランド政府が国有化したアングロ・アイリッシュ・バンクの債務不履行の発表です。
これによって欧州の他の銀行の劣後債の価格も下落することは間違いないということでユーロ圏の危機が再び叫ばれ始めました。
しかし、直後にガイトナー米財務長官が「同国政府と欧州連合(EU)当局が対処可能な範囲であり、解決されると信じている」と述べ、また英国BBCは「アイルランドが欧州連合(EU)に緊急支援を要請した場合、支援額は600億~800億ユーロ(6兆8千億~9兆円)に達する見通しだ」と報じ市場に安心感を発信しました。
このあとどうなるのかは判りませんが、ギリシャに続いてアイルランドと、欧州経済が今後どうなっていくのか予断は許せませんね。

世界経済は各国の思惑と国益に左右されながら、際限のない通貨発行競争になっています。
放置すればやがて各国通貨が氾濫し、世界的に預金の目減りが激しくなって資本不足の状況が出てくるかも知れません。
通貨そのものに富の蓄積能力があるのではなく、それが開発と生産に回って未来を作っていくから、結果的に蓄財効果が出てくるということ・・・それが判らないと金融は単なる守銭奴と金貸しになってしまいます。
この世界不況は、次の世代に受け継ぐ開発アイディアの不足が原因だったのではないでしょうか? ですから途上国の安い人件費による製品のコピー生産がはびこり、安値競争となってデフレ不況からの脱却が難しくなって、さらに開発アイディアが萎縮するというスパイラルに陥ってしまったということ。
そして金ならぬ不動産に投機資金が集まってしまってバブルの発生と崩壊が始まってしまったというもの。

たしかに日銀は通貨発行競争には今まで入り込みませんでした。しかし日本の産業が崩壊してしまったのでは何も意味がありません。
そしてここに来て、各国の通貨競争を見ながら「包括緩和」として方針を変え始めました。
経済がグローバル化した現在、通貨発行の意味そのものが変わっているように思います。
アメリカのFRBなどは「マネー量を増やせば物価が上がるという伝統理論が通用しなくても、株式などの資産、つまり国民の富を増やす面では即効性があり、いずれ実体経済に波及する」と考えているようです。しかしその根拠は薄弱なように思うのですけど。

日銀による新たな貨幣理論を構築し、それに基づいた通貨政策をぜひ編み出して欲しいですね。

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