2010年11月17日水曜日

APECが終わって、オバマ政権のアジア戦略発動

本当はアメリカが仕掛けたのではないか・・と疑いたくなるくらいの「尖閣列島事件」です。
APECが終わってみると、東アジアに対するアメリカのプレゼンスが非常に高くなりました。中共政府が「尖閣列島事件を騒げば、アメリカに利するだけ!」と悲鳴を上げたのは、最近のこと。そしてもはや手遅れの状況が作られていました。

日本の「海上保安庁」、すなわちアメリカで言うところの「国境警備隊」に該当しますが、海を哨戒する任務はそれ自体が海の男、すなわち「荒くれ者」ということはかわりありません。
海軍と同じ気質を持つのは当たり前。
その海上保安庁の船に体当たりをかます中共の漁船。それが漁船であれ偽装工作船であれ保安官の反応は世界共通です。「この野郎!」というわけで逮捕・連行となったわけです。

その後、最初の中共の対応は、「あそこは中共の領土、そこで中国人が何をしようと、日本の官憲が逮捕などとんでもない!」でした。
菅政権は中共の圧力で直ちに船長を解放。そこも計算どうりだったようですね。
その直後から、先ずシンガポールとインドネシア、そしてマレーシア、タイが中共独特の侵略の脅威を訴え、日米同盟に対する不安を訴えました。戦闘開始の合図のように・・・

直ちにアメリカは声明を出します。「尖閣列島は日本の領海であり、日米安保の対象である!」
中共政府は不快感を示し、「これは2国間の問題でアメリカは口を出すな・・・」と。しかし次に出てきたアメリカの反応は意表を突くものでした。
ニューヨークタイムズを通して「中共はレア・アースの日本への輸出を止めた!」と発表したのです。意表を突かれた中共は「それはこちらの事情で事件とは関係ない」と声明を出しますが、すでに戦略が出来ているのか、アメリカは聞く耳を持たず、「中共は日本だけでなく欧米各国に対しても輸出量の制限処置を取ろうとしている。これは国際的な契約違反に当たる!」と攻撃します。

トウ小平氏が「中共にはレア・アースがある」として、戦略的にこの資源を使おうというしていることを「逆手」に取ったみごとな攻撃でした。
日本は直ちに南米ボリビアにリチュウム資源を求め、また磁性体用レア・メタルを使わないモーターを発表します。さらにレア・アースの中共依存を止めようという国際的コンセンサスを打ち上げたアメリカ。中共のレア・アース戦略は、あっという間に無効にされてしまいました。

そして11月、オバマ政権は中間選挙に惨敗します。
アメリカン・コンサーバティブは次なる攻撃を仕掛けてきました。
中共の東シナ海攻略の戦略のひとつに、日本懐柔策として「北方領土と竹島の日本返還に協力する」というものがありました。これを使われると日本はアメリカを離れてロシアと中共に近づいてしまいます。
そこで使われたのはロシアのメドベージェフ大統領でした。北方領土への視察の実施と、日本との領土問題で共同戦線を張ろうという中共への働きかけ。尖閣諸島事件の渦中にあった中共は思わずメドベージェフ大統領と握手してしまいます。
これで日本はいやでもアメリカへの依存度を高めなければならなくなったのです。中共は取り返しのつかない失策をやったことになります。

そしてAPEC。来日したオバマ大統領に、菅首相は「米国の存在、米軍のプレゼンスがこの地域で重要」として、中共に対し「国際ルールの中での適切な役割と言動が重要だ」とまで発言しました。
APECを踏まえて、オバマ大統領はアジア4カ国を精力的に回りました。インド、インドネシア、韓国、そして日本。
このあと大統領は、オーストラリア、ニュージーランドも訪問する予定があるようです。何のことはない、麻生首相が言っていた「自由と繁栄の弧」をアメリカ主導で作り上げるということではないでしょうか?
そしてこれは、まさに中共包囲網であり、断固中共を「東シナ海」にも「太平洋」にも出さないという意思の表明としか見えません。

日本にとって、これで中共の脅威が去ったわけではありませんが、尖閣列島事件によってその中共の脅威を国民が認識し始めたことで、まずは一歩前進と考えてよさそうです。
日本は、この民主党政権が続く限り、いわゆる「無政府状態」ということになるのでしょう。
そういう環境の中で、これまで惰眠をむさぼっていた日本国民の3割程度でも政治に関心を寄せ、国防の重要性が認識されたなら、少しは「普通の国家」に近づいたと言えるのかも知れませんね・・・

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