2010年9月14日火曜日

みちびき衛星打ち上げ成功、H2-Aの信頼性

9月11日20時17分、種子島から打ち上げられた準天頂GSP衛星「みちびき」は発射から衛星分離まで、実に安定したリフト・オフで成功させました。
打ち上げ1分前から、みちびき衛星の分離まで、Jaxaの映像は以下の通りです。
http://www.jaxa.jp/countdown/f18/live/missionphoto_j.html

赤道上空にしか置けない静止衛星。それでは日本はGPSの精度誤差が10m四方となり、そこが限界です。
そこで精度を約1m四方まであげることを目的として設計された準天頂衛星。

衛星重量は4トン、高度は近点高度が3万1600km、遠点高度が4万kmのちょっと楕円型。発生電力は5.3kwで、L5(周波数1176.45MHz)、L2C(周波数1227.60MHz)、LEX(周波数1278.75MHz)、L1C, L1C/A, L1SAIF(周波数1585.65MHz)の合計6種類の衛星測位信号が送られてくる衛星です。
経度上を南半球と北半球に振り子のように触れながら、8の字起動を取るために日本上空にいつも滞在するようにするには3機以上の衛星が必要になるとか。
「みちびき」はその最初の1機です。

これから8の字起動に投入し、その状態を確認してから2機目と3機目を打ち上げ、運用を開始するとか。そのために準天頂衛星開発戦略本部を8月末に立ち上げ、事業化に向けた関連事業費の要求を24年度予算でどのくらい見込むかを決定するようです。
どうやら本格運用に入るまで3年ほどかかる見込みです。そのためか、この「みちびき」の衛星寿命は10年と長い設計になっているとか。

世界的に、衛星測位システムは21世紀の新しいインフラとして考えられています。
その精度を上げることで、船舶、航空機の運航の安全確保と、自動運転を可能にするほか、自動車の渋滞を緩和したり、災害時の救助活動などにも威力を発揮するでしょう。これからの我々の生活にとって、高精度GPSは必要不可欠なインフラとなることは間違いないと思います。
準天頂衛星の計画は、米国やロシア、欧州各国に加えて、中共やインド等も持っているようですが、多額の費用がかかるため、計画遂行のためには強く安定した政治的な意思が必要となります。
今回の日本の打ち上げは、世界で最初に打ち上げられた準天頂衛星で、文字通り世界の「みちびき」役を果たすことになったもの。

もちろん、他国の持つ準天頂衛星の目的には、精密誘導兵器の運用等、安全保障上の観点からも重要であることが考えられています。
日本が行うGPSの目的が、「交通網の安全と進化のため」だと、その大儀を示しても、疑心暗鬼の国々はそうは受け取らないであろうことは知っておかなければならないでしょう。

小惑星イトカワまで出かけて行き、6年以上をかけて再びそれを回収するという技を見せ付けた日本。そのJaxaの高度な衛星運行技術について、世界は沈黙を保っています。
そして今回、ほとんどノン・トラブルで打ち上げられた準天頂衛星。これから1年かけて準天頂衛星の測位システムをどのように開発・運用すればいいか、その基礎データを収集します。

この準天頂衛星は、日本だけでなくアジア・オセアニア全域に測位サービスの提供を可能にします。この地域にある国々は、この日本のGPS準天頂衛星の恩恵にあずかることも出来るわけですが・・・
同時にこのシステムが軍事転用されると、精密誘導兵器によるピンポイント爆撃にも使えることは事実でしょう。そしてそれは、原子力空母などの威嚇を無効にするウエポンに進化させることも可能で、ある意味において核兵器を凌駕し、核兵器撤廃への足がかりともなる技術です。

現在の日本では、軍事転用など考えてもいないことは明らかです。
しかし今以上に、ある国の恫喝と離島の安全を脅かす行為が繰り返されるならば、日本が保守化していくことは当然のことであり、そうなっていった場合、このインフラがどのように使われることになるかは判らないということ、ほおって置いても、ある国には十分恫喝となるのではないでしょうか?

0 件のコメント:

コメントを投稿