2016年7月18日月曜日

炙り出された東京のドン、内田茂氏

東京都知事に立候補した小池百合子氏です。その立候補に全面的に抵抗したのが東京都議会自民党執行部(幹事長:宇田川聡史氏)でした。なぜかと言えば利権の危機を誰かが感じたからでしょう。
もちろん都議会を無視して立候補を表明した小池氏に都議会自民党が怒ったことも原因かも知れませんが・・・

そして東京都には、都議会自民党の他に自民党東京都連というのがあります。
ここの会長が石原伸晃衆議院議員なのですが、ここの幹事長に内田茂東京都議会議長がおります。そしてこの内田茂氏が、小池氏が記者会見でちょっと述べた「東京のドン」だと言うことです。
http://uchida-shigeru.com/

東京都知事にも、東京都議会議長にも、東京都連会長にも任期があります。そしてせいぜい2期くらい勤めれば別の人に交代していきます。
しかし自民党東京都連の幹事長は変わらないで居座り続けることが可能なポジションだと言うことです。

元東京都知事の猪瀬直樹氏は、内田氏が2005年に幹事長のポストについてからずっと居座り続けていると述べました。
そして猪瀬氏は、「国会議員というのは、都議会議員の足で選挙してもらうので、都議会議員が動かなければ当選できません。そして東京都議会議員はもちろん、東京都選出の国会議員の公認権も、幹事長である内田氏が持っています。ゆえに内田氏には絶大な権力が集まるのです。」と、その権力の背景を暴露しました。
こうなると莫大な利権が絡む東京都の公共事業が、内田氏のさじ加減で決まるようになって行きます。

内田氏が力を付けてきたのは青島幸男氏が都知事になった頃だそうです。それまでは鈴木都政で、都知事も役人出身でしたから議会となあなあでやっていればよかったそうです。
しかし青島幸男氏は都政のことが何もわかりませんでした。ですから役人と都議会ですべてを決めていたそうで、そこに内田氏が幹事長に居座る基礎が出来ていったのかも知れませんね。

新宿都庁ビルが出来上がって、その次に古くなった参議院宿舎を作りなおす計画がスタートしました。この背後に利権構造の内田ネットワークが出来つつあったのかも知れません。

1999年に石原慎太郎氏が「石原裕次郎の兄でございます」という名セリフで都知事に立候補し、そして当選すると、議会と役人の間に対立が生まれるようになったそうです。
石原都知事も、この内田茂氏の扱いには慎重だったようです。なにしろ敵に回すと都知事の仕事が出来なくなってしまいますからね。

2007年に石原都知事からの依頼で猪瀬直樹氏が副知事の職に就いた時、都議会から出された条件は「ラインの仕事は渡さない、あなたがやることは国との戦いとその他、知事の特命事項」ということだったそうです。恐らく内田氏の側から出されたものではないでしょうか。

しかし猪瀬氏は知事の特命事項ということで独自のプロジェクトチームを作り、ラインから優秀な人を集めて、いろんな改革を進めていったとのことです。
そしてその一つが参議院の議員宿舎建設の中止だったとか。内田茂都議会議員が怒ったのなんの・・・
なにしろ内田氏の本拠地・千代田区で面子を潰したわけですからね。

それでも内田茂氏は保守の人のようです。2011年の世田谷区長選挙では無所属の保坂展人氏を相手に戦いましたが破れております。
2013年の都議選の告示前に、選挙区内でビール券を配ったとして公職選挙法違反の疑いで告発されたりもしているそうです。
この様な内田茂氏、それほど緻密な人ではないようですね。

しかし政敵には徹底してたようです。内田氏に反旗を翻そうとした樺山卓司さんという都議会議員が2011年7月1日に自殺してしまいました。
その遺書には、「これは全マスコミに発表して下さい。内田を許さない!!人間性のひとかけらもない内田茂。来世では必ず報復します。御覚悟!!自民党の皆さん。旧い自民党を破壊して下さい」と書かれていたそうです。

小池氏は内田氏に恨みがあるわけではありません。しかし防衛省のドンとして君臨していた守屋武昌事務次官を小池氏は刺し違える形で退官させました。長く防衛省に居座り、誰も手を出せなくなっていた守屋氏を、「夜に二度、携帯電話に電話したが出ず、折り返し電話があったのが翌日朝であり、危機管理上どうなのか」と批判し辞めさせた小池氏なのです。
第一次安倍内閣の時でした。

小池氏は「長くやると権力は腐る」という考えを持っております。ですから今度都知事に当選したら、守屋氏の時と同じように、内田氏を幹事長から外す行動に出るでしょう。増田氏や鳥越氏にはそれは出来ないでしょうね。もともとの立候補が内田氏の作戦のようにも見えますから・・・

内田氏が操る組織票に、小池氏はいかなる戦略を立てるでしょうか。目の離せない都知事選挙です。

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