2015年12月3日木曜日

人民元、ついにSDR入り

11月30日に開かれた国際通貨基金(IMF)理事会で、特別引き出し権(SDR)構成通貨に中共の人民元を採用することを承認しました。
ついに人民元がIMFのSDRに入ってしまいましたね。

人民元が実際に構成通貨に加わるのは来年10月以降ということで、それまでは準備期間となるようです。
IMF関係者によると、全会一致での承認だったそうですが、どうやらIMFは理事会投票結果を公表しない方針だそうです。(公表できない何かがあるということですね)

人民銀行はその後すぐにIMFの承認を歓迎する声明を発表しております。「中共は、金融改革や開放促進の動きを加速させる」などと言っていますが、どこまで本気なのでしょうか。

人民元がSDR入りしたとしても、中共が資本勘定を完全に自由化し、変動相場制に移行しない限り、投資家は人民元を国際通貨として使用することに引き続き慎重になるだろう・・と言うのが経済評論家たちの一致した意見のようですね。

現実に、この数か月間はIMFの評価基準を満たすために、中共は国内為替市場への外国人のアクセス改善など一連の改革を行ってきました。
ラガルド専務理事は、「こうした取り組みの継続や深化に伴い、国際通貨・金融システムがより強固になり、中共と世界経済の成長や安定を下支えする」などと発言しておりますが、中共は自国利益のためなら裏切りは平気であることは考慮されているのでしょうか。

IMFのSDRは、2010年に設定された比率が直近で、その時は、ドルが41.9%、ユーロは37.4%、英ポンドが11.3%、円が9.4%でした。
それが今回は、ドルの比率は41.73%、ユーロが30.93%、ポンドが8.09%、円が8.33%となって、人民元が10.92%ということです。

どうしても日本の円よりも上に行きたかった人民元らしいですね。ラガルト専務理事にどのように頼んだのでしょうか。
基準相場を設定し、変動を基準値の上下2%以内に限って操作している人民銀行で、円の時は為替操作があれほど叩かれたのに、人民元の時はお構いなしです。
来年の10月までに「完全自由化すればいい」などと甘い考えだとしたら中共を見誤っていますね。

なぜ人民元がSDRに入ったのか、それはどうも賄賂だけではなさそうです。産経の田村氏によりますと、2008年9月のリーマンショックでバブル崩壊、収益モデルが破綻した国際金融資本が背後に居ると言うことです。
グローバル化などと騒いで世界の自由主義国をほとんどダメにした国際金融資本(誤解の無いように・・この中には我々日本の年金なども入っていますから)です。この国際金融資本が、まだ巨大フロンティア金融市場と考えるのが中共なのです。

この中共の現預金総額をドル換算すると、9月末で21兆ドルを超えます。これは日米の合計約20兆ドルを上回る金額となり、国際金融資本がIMFに働きかけSDR入りがなされたと言うことです。

これで来年10月以降は国際市場で人民元とドルとの交換が保証されます。政治、軍事の分野でも人民元は威力を増すでしょう。
ドル決済システムは人民元決済システムにとって代わられ、米情報当局による監視から逃れたい「ならず者国家」は人民元を使って制裁を免れることが可能になりそうです。
中共政府支配下にある企業は、日本を排除しては東南アジアのインフラを手中に収めていますが、これが今後も激しくなることが考えられます。
日本やアメリカ、そして欧州のハイテク企業を対象にした中共の高度技術の「爆買い」も心配されます。

田村氏によりますと、この悪貨の膨張を防ぐ手段がただ一つだけあるそうです。それは人民元の為替制度と金融市場を他のSDR通貨と同程度に完全自由化させることです。

ラガルド専務理事は「市場改革が進むかどうか今後も監視していく」などと述べていますが、市場改革の約束など違反しても罰則はありません。
「IMFへの資金の貢ぎぶりでは世界一の日本は、もういい加減、口くらい出したらどうか。」というのが田村氏の意見ですが、なぜ日本はおとなしくしているのでしょうか。

オバマ政権は今年の夏、習政権が金融の部分自由化を約束した途端、「IMFの条件に合えばSDR入りを支持する」などと言いだしました。ウォール街では今、中共の大手国有商業銀行と組んで人民元決済センター開設準備が進められているそうです。
日本でも東京市場を人民元の取引センターにしようと考えているようです。金融業界は「人民元関連ビジネスの収益が膨らむ」と皮算用をしていますが、中共経済の失速で人民元暴落リスクがくすぶる中、無軌道な人民元取引には危うさもあるようです。

アメリカに刺されたフォルクスワーゲンが、部品メーカーとの決済通貨をユーロから人民元に切り替え始めたようです。
これまでは中共国内で手に入れた大量の人民元を欧州でユーロに両替していましたが手数料と為替リスクがありました。しかし「人民元をそのまま部品メーカーへの支払いに回すことができれば都合がいい」と言うことだそうです。

このフォルクスワーゲン(ほとんどのドイツ車)によって「人民元の“日本侵食”も時間の問題だ」というエコノミストも居ます。チャイナ・ベンツを喜んで買っている日本国民。日本国民は何故かドイツ車が好きですからね・・・

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