2015年12月1日火曜日

国際法違反を取り締まるのは誰か

安倍首相が「(公海の)法による支配」を言いだして、これをアメリカが好意的に受け止めたことは記憶に新しいところです。
しかし、法による支配と言っても、では法を犯した者を誰が取り締まるのか、そこが問題となります。
また、国際法と言っても、さまざまな国家間の条約などを拡張して法体系を整えようとする活動であって、基本的には慣習法でまとめるしかないものです。

安倍首相に対抗する中共・習主席は、「我々は中共の法に従う」などと発言し、国際法などは「欧米主導で決めたもので、中共には従う義務はない」と言うような発言がなされています。
国際社会には上位構造はありません。ですから意見が合わなければ「戦争」という手段を使い、勝者の意見が国際的慣習となってきたのが人類の歴史です。

第二次世界大戦の敗戦国を「法」で裁いた者がニュルンベルグ裁判と東京裁判でした。国際法が進展するかと期待されたようですが、インドのラダ・ビノード・パール判事が述べたように、「この裁判は裁判とは名ばかりのリンチだ」と言うのが本当のところではないでしょうか。

その後、ベトナム戦争ではアメリカが負けたので裁判は開かれませんでした。(朝鮮戦争はまだ終わっていません)
それから湾岸戦争とアフガニスタン・イラク戦争で、フセイン大統領が戦犯として裁判で裁かれ、絞首刑になっています。しかしこれがイスラム系の法の下で行われたために、イスラム内紛が激化してしまいました。

現在のイスラム国は、アルカイダ系のイスラム教スンニ派組織で、戦っている相手はシーア派というイスラム内紛であり、そこに石油利権が絡み、キリスト教がチョッカイを出し・・・
つまりヘブライ系の教義と欲が交差する戦いになっております。法と言ってもヘブライの聖典(旧約聖書?)が基本です。ですから国際法はなかなか立ち入ることが出来ません。

これに対して日本と中共の対立は、使う法は国際法なのか中共の法なのか、という戦いです。
日本が敗戦国として東京裁判史観でいる間は中共は国際法遵守でした。しかし、アメリカが普通の国になって日本に対する「瓶の栓」が緩み、アメリカと太平洋を二分すると言う中華思想が本格化し始めると、国際法は邪魔になってきます。

東アジア各国は国際法を遵守するようですし、欧米も国際法を遵守する立場です。ただ各国間の条約の方が優先されるのが国際法ですから、中共は二国間協議をやりたがります。
南シナ海ではフィリピンが「中共のやり方は国際法違反」として常設仲裁裁判所に提訴しました。インドネシアも中共が言うことを聞かなければ提訴する用意があるそうです。
つまり二国間協議は行わないと言うことですね。そうすれば南シナ海は中共の領海ではなくなり、未だに紛争中の海域であり、航行する船舶は国際法に準じて守られることになります。

では常設仲裁裁判所はきちんと機能するのか・・賄賂などが横行している国際機関ですから、客観的な判断が思うようにいかないかも知れませんね。

さて、すべてが順調に行って中共が国際法違反であることが決定したとします。恐らく中共は裁判所の命令は聞かないでしょう。
これが日本国内なら、言うことを聞かなければ警察権力で対処します。とっ捕まえて刑務所に収監するわけです。しかし国際間となれば警察権力はないわけです。
今まではアメリカがこの警察の役割をしていました。国際法違反の取り締まりと言うより、人権侵害などに対して強烈なパンチを加えていましたね。特に中東で・・・

そのアメリカがオバマ大統領の2期目になって、「もう警察官をやめた」と言いだしました。それからイスラム国が台頭し、中共は人工島を南シナ海に作り始めたわけです。
悪いやつらは、警察が居なくなると必ず出て来るものですね。

ともかく法による支配を完結させるためには、法を守らせる警察力がどうしても必要になります。明確なことは、この警察力は「国権の発動」ではなく、「国際紛争を解決する手段」でもなく、「国の交戦権」にも当たりません。
ようするに国際法を遵守させるための武力です。ですから警察予備隊から発足した自衛隊でも十分に対応できるものです。憲法9条には抵触しません。

ただ法を守らない犯罪集団でも、戦闘機、軍艦、核兵器すら持っています。この様な犯罪集団に対処し、法を守らせるには、相当の訓練と覚悟が必要になるでしょう。
また、十分な特殊兵器とか情報収集のシステムなどが必要になります。技術の粋を集め、訓練に耐え、そしてこの困難な仕事を達成することを可能にするのは、自衛隊と米軍のコンビネーションかも知れませんね。

少なくとも、アメリカはそう考えているようですよ・・・

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