2018年2月1日木曜日

どうなるトークンエコノミー

トークンとは、もともと英国で代用貨幣と言っていたコインのことです。例えば昔は公衆電話をかけるのに電話用コイン(八角形のコイン)がありました。英国にはそのほかにも様々な代用通貨としてのコインがあり、骨董価値が出ているようです。
その他にもカジノで使用するチップとか、パチンコの玉もトークンの一種ではないでしょうか。

さて、コインと言えば現在ではビットコインが有名です。そしてその他にも1000を超えるビットコイン的通貨が出来ているようですね。このような通貨を仮想通貨と言っています。
最近話題になったのが、「コインチェック社」という取引所で580億円もの通貨が流出したという事件でした。
流出した通貨は「NEM(ネム)コイン(ビットコインではありません)」という通貨で、26日午前0時から20分間に580億円が流出したそうです。
この事件については、マスコミなどでさんざん書かれていますからご存知のことと思います。

このようなコインは実体はなくインターネットという空間で電子的に運用されているものです。
そしてこの他にも、Tポイントとか楽天ポイントなどのお買い物時点でもらえる仮想通貨があります。
これらを総称して「トークン」と呼んでいるようです。

一般に使われている通貨(紙幣)を法定通貨と呼んで、この仮想通貨と区別していますが、このような仮想通貨(トークン)の今後はどうなって行くのでしょうか。
すでに中共などではこのトークンが流通していて、トークンエコノミーなるものが出来ているようです。
中共は法定通貨が軟弱で偽札が横行し、一般の国民は電子マネー(日本のようにカードではなくスマホを利用)を使うようになり、法廷通貨は不便であまり使わないようです。
そしてこの法定通貨を電子化したものは国外に持ち出せなくなったので、ビットコインを使うようになり、そこから中共のトークンエコノミーが始まったようです。

トークンのなかで、「ポイント」と言うものは買い物客に渡すカード(カードに番号があり、それがパスワードとなっている)と繋がった値引きサービスのことで、一般的に1年間の寿命しかありません。つまり1年間使わないと自動的に消滅するアポトーシス機能が用いられています。これはこのようなトークンが永久性を持つと法廷通貨のコントロールが効かなくなる恐れから法律で決められたことですが、ようするにトークンを使った脱税が心配だったのでしょうね。

しかし仮想通貨は違います。コンピュータネットワーク上に置かれたブロックチェーンというソフトウエア技術によって、仮想コイン(トークン)が発生し、それが取引に使われて行くのです。
そしてウォレットという電子的財布が個人に割り当てられ、そこに収められます。
パスワードは使わず、公開鍵暗号という暗号技術を使ってやり取りされ、この鍵はパソコンやスマホに記録されます。そして永久に持っていられます。匿名性があり、つまり脱税に使えそうですね。まだそのような犯罪は表面化していませんけど。(これを巧妙に使った麻薬取引が摘発されたことはあります)

ビットコインを始めとするさまざまな仮想通貨は、マスコミなどで「投機対象」という側面が強調されています。また、利用者も投機目的が多いようで、どうしてもその方に目が向いてしまいがちですが、取引も出来る(買い物もできる)点にはあまり目が向いていませんね。

例えば買い物をして溜まったポイントが期限がきて消滅しそうになった時、それを何らかの商品に取り換えます。そしてそれを仮想通貨を使ったオークションなどで売れば、仮想通貨が入手できるはずです。(売れた場合ですが)
消滅するはずのポイントを、こうして消滅しない仮想通貨に置き換えることは可能なのではないでしょうか。
このような取引が広がれば、次第に日本でもトークンエコノミーが出来てくるように思います。ポイントだけでなく、古着や中古品などでも販売をトークンで行えば広がって行くでしょう。

20世紀の終わりごろ、アメリカの中に金融工学なる概念が生まれ、インターネットを使った投資が盛んに行われ始めました。
リーマンショック後に恐慌を恐れたアメリカはドルの大量発行を行い、BRICSが生まれ、アメリカの引き締めで崩壊し、しかし世界に流れたお金は無くなったわけではありません。

「お金2.0」と言う書籍の著者、「佐藤航陽(かつあき)氏」は、現在このような投機資金は世界の実体経済(生活資金)の9倍あって、それが投資先(投機先)を求めてうろついていると述べております。
そして佐藤氏は本の中で、この様な状態がインターネットと相まって「資本主義」を進化させ「価値主義」になると書いております。
その意味は、人、物、金の資本主義から、人間の「注目、興味、共感、感謝」といった資本主義では扱えなかった部分が、ネットの普及とともに価値尺度を持つようになってきたということです。

フェイスブックに最初に使われた「いいね」ボタン、ツイッターでのフォロワーなど、その計数が尺度になっているわけです。つまり「注目、興味、共感、感謝」と言うものが計測可能になり、それがトークンによって「お金化」し始めていると言う訳です。
多くのフォロワーを集める発信者を「インフルエンサー」と言うようですが、「いいね」ボタンが進化して「投げ銭」が出来る仮想通貨も出始めています。
例えば秋葉原で発生したモナーコインは、投げ銭が可能だとか。

このような経済が出来上がるというのが佐藤氏の発想です。
はたしてこのような「トークンエコノミー」が実現するのかどうか、こうしてネット上で多様化する価値観が、国家や共同体をどのように変えていくのか、それはまだ判りません。

しかし我が国にとって、それはすでに我が歴史の中で経験してきたことなのかも知れません。今、佐藤氏が追及している社会は、いにしえの日本社会での「常識」だったかも知れません。

そのような日本を壊したのは、西欧の貴族社会が生み出した「産業革命」という強烈な破壊であり、それを乗り切った我が国の現在が「産業立国としての日本」とするならば、その行き詰りを打破する知恵は、我が国の過去の歴史の中にあるかも知れませんよ。

トークンエコノミーのもたらすものが、いにしえの日本の姿と重なるような、そんな気もするのです。

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