2018年2月15日木曜日

電気自動車の現実と虚構

日産・ルノー・三菱自動車と、電気自動車(以下EV)の累計販売台数が54万台になったそうです。
日産のゴーン会長は、2011年に2016年度までに150万台を売ると豪語していましたが、それは夢物語だったようですね。

私は2010年から4年と10カ月間ほど日産リーフに乗りました。そして問題はやはり充電設備の少なさでした。完全なEVは走行中に電欠(電池残量がなくなること)を起こせばレッカー移動しか対策は無く、その場合にかかる費用を鑑みれば安心して運転が出来ません。

当初160キロしか走れなかったリーフでしたが、現在は400キロまで伸びたとか。リチュームイオン電池が改良され、また量産効果で安くなったこともあって、積載電池を増やしたのでしょう。

しかし、電欠を起こす可能性は電池容量を増やしても解決はしないでしょう。これが街の中の走行なら直ぐに電欠対応は可能でしょうが、夜間の山中とか、国外ですと砂漠の中などでの電欠も考えられます。
特に危険なのは、電池残量の表示が不正確で、早く失われてしまうと言う点です。つまりあと100km走れる表示が出ていても、60kmで無くなってしまったりします。道路の起伏事情でしょうが、初めて走る道では危険です。

もちろんEVのメリットは十分承知で、静寂性とか加速性能などはガソリン車よりも優れております。EVをやめることは嫌だったので、現在は三菱のアウトランダーを使っております。
PHEVという言い方の電動車で、電欠になるとガソリンエンジンで発電し、高速で電気消費量が発電で賄いきれなくなるとエンジン直結の普通の車になるという、かなり複雑なものです。

日産リーフに乗っていて、日産が嫌いになったのは、その宣伝に嘘が多いことでした。宣伝ですから多少の誇大は許せますが、いやだったのは「クリーンエネルギー」を売りにしていたことです。

私がEVにしたのは、原子力エネルギーを自動車にいかにして乗せるか・・でした。原発で作った電気を充填して走ることに意味があったのです。
しかし2011年3月11日に起きた東日本大震災で、あの首相が我が国の原発を全部止めてしまったのです。日本の発電はほとんどが火力発電になって行きました。

火力発電でおこした電気をEVに充填したら、それはガソリン車よりも効率が悪いエネルギー使用になってしまうのではないでしょうか。
日産はその後もガソリンを使わないクリーンな自動車としてリーフを販売してきました。また、再生可能エネルギーなどというマヤカシの技術宣伝などにリーフが使われたりしていました。

これは詐欺行為です。太陽光発電や風力発電、地熱発電では決してEVを実用的に走らせることは出来ないでしょう。再生可能発電で唯一効率的で可能なのは揚水発電だけです。

と言う訳で、アウトランダーに変えた訳です。三菱自動車はあまりクリーンエネルギーを売りにしていませんでしたし、発電機を積んだEVという感じでしたのでね。
これなら石油を使った電気でも同じようなものだとの諦めもつきます。

中共・習政権の一帯一路構想に、自動車をすべてEVにして、街道に原発を何機も配置すると述べておりました。実に現実的ですね。充電スタンドに不安が無ければEVは有効でしょう。大気汚染対策としての宣伝効果としては良いようです。
そして原発の出す高レベル廃棄物などはウイグルやチベットに埋めてしまえば良いわけです。日本の反原発団体は中共のやることには一切文句を言いません。

EVは充電インフラが広範囲に充実していなけれれば実用性が延びません。ですから車に発電機を積むことは、ここしばらくは必要ではないでしょうか。

世界はまだ石油の時代です。ロシアの天然ガスも石油時代の産物です。それをユーラシア大陸にパイプラインで供給するインフラを作りました。アメリカもシェールオイルやガスを採掘しています。
中東での石油資源が経済を動かし、戦争も含む政治的要因で価格が変動させられています。

その状況で中共がEV戦略を打ち出したのは、多分に自国内の環境汚染、特に石炭による煤煙の問題からではないでしょうか。もちろん人民元のドル支配脱却も考えてのことでしょうけど。
世界中からの大気汚染非難をかわすために出したメッセージとも考えられます。しかしシルクロードにEVを走らせることは、そう簡単なものではないと思います。

我が日本も、自前のエネルギーとしての「メタンハイドレート」が周辺海域に多量にあることが判りました。しかしそれをいかにエネルギー源として採掘するか、特に日本海側にある表層メタンハイドレートの採集についてはまだ技術的答えが出ておりません。

再生可能エネルギー(主として揚水発電)なども含めて、我が国のエネルギー政策がはっきりとしていないことが今一つ開発を遅らせている原因ではないでしょうか。
敗戦後、アメリカのエネルギー政策を利用して産業立国を完成させた日本。このままでいいという怠惰な考えが政府・官僚機構に蔓延しているようにも感じます。財務省のPB黒字化というおかしな経済感覚の是正も含めて脱石油の未来ビジョンを作らなければ、ここまでやってきたEVの技術も生きてこないと思います。

日産と三菱自動車、そして他のメーカーもEV普及に今一つ力が入らないのは、日本のエネルギー政策が不明瞭だからではないでしょうか。

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