2018年2月20日火曜日

進むミサイル防衛網

北朝鮮がミサイルを持ち、核爆弾の小型化を行っている以上、核とミサイルの拡散が避けられないとするのは、ある意味で当然のことでしょう。つまり核拡散防止条約は終焉を迎えます。
北朝鮮にとって小型核とミサイルは商品であり、それを欲しがる様々な国家があることも確かです。
さらに、途上国の政府などに対して核ミサイルで脅す犯罪組織もあるでしょう。もはや核拡散は時間の問題であり、先進国としては、それに備えなければ先進国とは呼べない時代になって行くようです。

アメリカは北朝鮮のミサイルはハワイに届くとして、それに対処するため、最新の探知・識別レーダーシステム「本土防衛レーダー」(HDR)を配備、2023年秋までに運用を始めることを決定したと言うことです。

ハリス米太平洋軍司令官が下院軍事委員会の公聴会で証言し、「現行の高高度防衛ミサイル(THAAD)や地上発射型の「イージス・アショア」は北朝鮮からハワイに飛来する長距離ミサイルの迎撃には「適切でないかもしれない」と述べたことから、HDRの配備が決まったとか。

一方、小型核の開発はロシア・中共ともに開発が進み、すでに実戦配備も出来ているようです。ICBMという金ばかりかかって実用的でない核戦略は、確かに「核による均衡」を作り平和を維持してきました。しかしこの均衡を崩したのは平和主義者のオバマ元大統領でした。

2015年、プーチン大統領はウクライナ・クリミア侵略(14年)をめぐり、戦術核戦力を臨戦態勢に置くと明言しました。
同じ2015年、中共の核戦略の大転換が行われ、ミサイル搭載原子力潜水艦(SSBN)のミサイルに核弾頭を装填したはずです。

いずれも小型核爆弾による先制攻撃可能なミサイルを装備したことになるわけです。そうなったのは、オバマ元大統領の「核なき世界」の考え方が、小型核の先制攻撃を仕掛けても「米国は、凄惨な結果を招く戦略核による報復攻撃を躊躇する」との見方が強まったからです。

つまり北朝鮮がICBMを持とうと持つまいと、すでに世界は核の先制攻撃が可能な時代に入っていることを忘れてはならないと言う事です。
特に中共の小型核先制使用は極めて現実的であり、独裁国家の国際法無視の体質が世界を震撼させています。

ですからすでに世界は核ミサイルの先制使用が可能になっているわけで、ゆえにミサイルディフェンス技術こそが次期核戦略の要になると言う訳です。
北朝鮮が東京を攻撃出来る小型核とノドンミサイルを百器近くすでに配備していることは事実です。安倍首相の言うように「最初の一発は甘んじて受けねばならない」ということから、早く完全なミサイルディフェンスの技術的完成を目指さなければなりません。

北朝鮮もしくは中共から打たれた先制核ミサイルを跳ね返し、それから我が方の核ミサイルを撃ち返すことが出来て、始めて平和のバランスが完成すると言うのが安倍首相の言いたかったことではないでしょうか。
相手側にもミサイルディフェンスがあれば、撃ち返されたミサイルを跳ねのけます。これでミサイルの時代が終わるわけです。ミサイルは兵器として意味をなさなくなるからです。

北朝鮮のミサイルを使ったハワイのHDR配備は、ミサイルディフェンスの時代に入ったことを象徴しているのかも知れません。

しかし現実はまだミサイル防衛網は開発が始まったばかりです。完全なミサイル防御ができなければミサイルの時代は終わりません。

その過程にあって、アメリカ・トランプ政権は「核戦略体制の見直し(NPR)」を公表しました。ロシア・中共に後れを取りましたが、いわば「オバマの尻拭い」ということでしょうか。
NPRの新機軸は、
1)核の先制不使用の否定(先制核攻撃もすると言う事)
2)海洋発射型の小型核・巡航ミサイルの開発を行う。
3)低爆発力の小型核の導入
4)核の使用は、核以外の戦略的攻撃(サイバー攻撃など)を受けたケースも含む。
と言うものです。

我が日本は、現行憲法でもミサイルディフェンス技術の開発は可能なはずです。しかし小型核ミサイルは憲法改正が終わるまでは出来ないでしょう。
しばらくはアメリカに任せて、ディフェンス側の技術開発を進めましょう。

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