2018年2月23日金曜日

ダメ押し・イバンカさんの平昌行き

トランプ政権は、平昌五輪の閉会式に大統領の娘であり大統領補佐官を務めるイバンカ・トランプ氏を団長とする代表団を派遣すると発表しました。

日程は、2月23日にソウル入りし、文在寅大統領と夕食会に挑み、24日に平昌入りして米国選手が出場する競技を観戦、その後25日の閉会式に出席して26日に帰途に就くというものだそうです。

イバンカ氏ら米代表団の訪韓の目的は、冬季五輪の成功を祝福するとともに、韓国政府と米韓同盟の結束を再確認することにあると言います。
代表団の中には在韓米軍のブルックス司令官も居り、冬季五輪・パラリンピック閉幕後の米韓合同軍事演習再開のタイミングなどについて、米政権の意向を韓国政府に改めて伝達する可能性もあるとか。

また、滞在中に北朝鮮政府関係者と接触したり、脱北者と面会したりする予定は「ない」そうです。
五輪を政治利用するトランプ政権の日米韓の結束アピールの「最後の詰め」といったところでしょうか。

しかし文在寅大統領がこのアメリカの微笑外交で北朝鮮に反目するとは思えません。しかしながらアメリカと北朝鮮の板挟みになることは間違いなく、北朝鮮寄りの文政権がどのように振舞うかは見ものです。

安倍政権が訴えてきた北朝鮮対策は、あくまでも「対話と圧力」です。アメリカも安倍戦略と同調しておりますから対話には前向きですが、しかし対話の条件として「核の放棄」が明確に示されています。

文大統領がこの五輪を使ってアメリカと北朝鮮の対話の切っ掛けを掴もうとしたのは間違いないでしょう。
しかし「核の放棄」を北朝鮮が明言しないことで対話の窓口は空きませんでした。
何とかそこをゴマ化した対話を引き出そうとする文政権に対し、日米は結束して平昌外交を乗り切りました。そして今度はトランプ政権側からの微笑外交が文政権に仕掛けられているように見えます。

文政権に正面切って「北朝鮮との融和、日米韓同盟からの脱退」と言わせたい北朝鮮でしょうが、そう言わせない日米の外交があるわけです。
それにしても「イバンカ・トランプ氏を団長とする代表団」とは考えましたね。金与正氏の訪韓を逆手に取った戦略で、米韓の絆の強さを北朝鮮にアピールし、その上で文大統領に3月の米韓合同演習の段取りを問い掛けるというもののようですから。

北朝鮮が平昌五輪でアメリカとの対話を切望していたことは、その時の北朝鮮のメディアを見れば判るそうです。
表面上は「米国と会う意向はない」とか「わが方は米国に対話を物乞いしたことはなく、今後も同じだ」、そして「五輪を政治的に利用しない」とまで述べていた北朝鮮ですが、その頃の北朝鮮メディアには「朝鮮半島情勢緩和の雰囲気に米国と日本が意地の悪い行動に出ている」と安倍首相とペンス副大統領の言動を批判していたそうです。

文大統領はペンス副大統領と北朝鮮代表団の会談を設定していた様にも見えました。おそらく北朝鮮からの裏の要請もあったのではないでしょうか。
しかしペンス副大統領は対北制裁強化について熱弁をふるい、そしてオットー・ワームビア氏のことや、北朝鮮の人権問題などを強く非難したことから、北朝鮮は会談を拒否せざるを得なくなったわけです。

また、アメリカとだけ会談をやって、安倍首相とは会談をしないことで日本を貶める行為に出ようとしていたわけですが、安倍首相はレセプションの席上、外務省の職員と金永南委員長を取り囲み「拉致被害者を返すよう」要請したと言いますから、ここでも北朝鮮の思惑は失敗したわけです。

もちろんこんなことで北朝鮮が拉致被害者を返すわけもありませんが、これで完全に北朝鮮の思惑をすべて潰したことになるわけです。
そして文大統領は、日米韓の結束の強さを世界に発信した形になってしまい、北朝鮮に対しては裏切りともいえる行動を余儀なくされて、立場が弱くなってしまったわけです。

日韓首脳会談では、安倍首相はかなり長時間に渡って文在寅大統領と話していたようです。その後、帰国してからトランプ大統領とも長時間電話会談を行ったと言います。文在寅大統領の揺れる心理状態を報告したのではないでしょうか。

盧武鉉政権では側近として北朝鮮寄りの政策を進めてきた文在寅氏ですが、大統領になればそのプレッシャーがどのようになるか、そこまで予知できなかったのかも知れません。
思いどうりには行かない外交というフィールドで揺れ動いてしまい、決定が先送りされています。

核兵器を玩具にする北の委員長に対して、日米韓のゆるぎない同盟はついに五輪後の対北制裁強化を始める体制に入ったようです。
安倍首相との電話で文大統領の様子を知ったトランプ大統領が、真正面から挑む最後の詰め・・・それがイバンカ・トランプ氏を団長とする代表団の派遣のような、そんな感じがするのですけど。

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