2018年2月18日日曜日

核拡散は避けられないか

河野太郎外相は、ドイツ・ミュンヘンで行われている「ミュンヘン安全保障会議」で演説しました。その内容は「北朝鮮の微笑攻勢に目を奪われてならない。われわれは北朝鮮に圧力をかけ続ける必要がある」と言うものです。

河野外相は、北朝鮮の船に海上で石油が違法に移し替えられる「瀬取り」を紹介する写真パネルを示しながら、「北朝鮮は自分の意のままに朝鮮半島を統一することが目標であり、核兵器をその『重要な手段』とみなしている。北朝鮮の核武装を認めれば、核兵器不拡散条約(NPT)体制も終わることになる」と強調したそうです。

さらに中共の南・東シナ海進出についても「力による現状変更の試み」とし、ついでアジアやアフリカ、中東での中共のインフラ投資についても「透明性を考慮しない事業は多い。私たちは操られないよう警戒せねばならない」と述べました。

そして「国際法に反した国には代償を払わせなければならない」と中共を牽制しながらも、「中共が自由主義の国際秩序に従い平和的に成長すれば、あらゆる人に有益。私たちはそのために団結せねばならない」と一応の配慮を示しました。
もちろん中共が自由主義の国際秩序など守らないことを知っていてでしょうけど。

北朝鮮に対する圧力は、核拡散に対する危険性を述べたものですが、世界の強国はすでに「核拡散止む無し」という体制に入っているかとも思います。
ただ、我が国の場合は拉致被害者救出という国家戦略がありますから、国際社会に向けて「経済制裁」をより強く求め、その理由が「核拡散に対する危機」としているのだと思います。

経済圧力によって北朝鮮人民が疲弊するとのアピールが出てきています。信義のほどは判りません。北朝鮮の経済は原始的な自由経済になっているとも聞きます。相手国は中共であり、闇経済が発展しているとか。原因は金正恩委員長になって取り締まりが緩くなったからだそうです。
人民が餓死するという報道はもしかしたら北朝鮮の悪質なプロパガンダかも知れませんね。

ですから安倍内閣が進める「経済制裁」は金正恩支配層にかなり効いているように思います。外国に隠された資産も、デジタル化時代にあって監視が可能になっているのではないでしょうか。
金正恩支配層の中が分裂すれば、そこに何某かのゆるみが出て、そこに拉致被害者救出のチャンスを狙っている安倍政権なのかも知れません。しかしその前には憲法改正が必要だと思うのですけど。

トランプ政権は今のところ安倍政権に協力的です。拉致被害者救出を最優先にすることに協力しているのでしょう。
しかし北朝鮮が核ミサイルの開発を容認できないまでに進めてくれば「もはや待てない」となるでしょう。当たり前ですね。
それは北朝鮮への攻撃開始の合図と言う訳です。しかしそれとは別に「核拡散は避けられず」という動きも始まっていると思います。
これが「ミサイル防衛網の技術的完成」に向かう流れです。それがトランプ大統領が発言した「アメリカの核戦略の見直し・親核戦略」ではないでしょうか。

これまでの「核抑止による平和」から「戦術核(使える核)の量産とミサイル防衛網の拡充」による平和への切り替えです。
敵がミサイル攻撃でアメリカ本土を攻撃しても、完成されたミサイル防衛網がそれを阻止、そして敵側には戦術核で確実に報復攻撃を行う・・という平和構築のプランです。

安倍首相が先日の国会で「ミサイル攻撃の最初の一発は甘受する。それが専守防衛というものだ」と奇妙な答弁をしました。
これは「憲法改正がなされない場合」の話であることは解ります。最初の一発が核ミサイルで、撃たれた場所が東京であれば200万人以上の犠牲が出ることは確実です。避難訓練も何もしていない東京都民の自業自得とも思えますね。
安倍首相の脅しで、改憲に腰の引けた公明党に向けられたもの、という噂もあります。

しかし、別の見方をすれば「だからミサイル防衛網の充実が必要」という暗喩とも取れます。
日米の防衛協力と、新たな技術開発に対する予算計上を意図したもので、「核拡散止む無し」を前提とし、それゆえに起こるであろう非国家(犯罪組織)に持たれる核武装も前提にしたミサイル防衛網と応戦の為の戦術核の開発です。

これは北朝鮮を認めるものではなく、北朝鮮の指導部を犯罪集団と位置づけ、麻薬組織などがそこから核兵器を導入し、主権国家を脅しても「核ミサイル攻撃は防御され、確実に報復核攻撃がある」とするものでしょう。
このプランは、今後の「ロシア・中共」との交渉材料ともなり得ます。そしてミサイル防御実験は今後「日米共同プロジェクト」になるような気がします。

日米で行う「国際法遵守」の軍事による警察活動と、それに協力するようロシア・中共への呼びかけ。そしてオーストラリア、インドの参加は間違いなくなされるでしょう。

その布石としての河野外相の演説のように感じた次第です。

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