2017年5月3日水曜日

北朝鮮をめぐるロシアの思惑

ロシア・プーチン政権は、「北朝鮮の核・ミサイル開発は容認できない」と述べながらも、「日米韓の圧力が北朝鮮を強硬姿勢に追い込んでいるのであり、『対話』で問題を解決するべきだ」と主張しております。

プーチン大統領の言う「対話」が何を意味しているのかは解りませんが、6者協議と言いながらどんどんエスカレートしてきた北朝鮮の核兵器開発に対してはどのような「対話」をしろと言うのでしょうか。
北朝鮮にとって「対話」は時間稼ぎの道具であって、核・ミサイル開発を止めることは「軍事的圧力」しかないことを、これまでの経緯からアメリカ・トランプ政権が判断したわけです。

今年4月以降、ロシア自民党(親プーチン派の政党)は北朝鮮との「深い連帯」を表明し、同国からの労働者や学生の受け入れを増やすことを主張し始めました。
また、ロシア共産党も北朝鮮の代表団などを下院に招聘するよう提唱したりしております。

ロシアの運輸会社は万景峰(マンギョンボン)号を極東ウラジオストクと北朝鮮北東部の羅先(ラソン)特別市の間で定期運航することにしたそうです。

ロシアの北朝鮮専門家は、「対話」によって「金正恩政権に『体制の安全』を保障するべきだ」という意見が根強いとか。

北朝鮮が飛ばしたミサイルの残骸を引き上げて調査すると、欧州各国の部品が多く使われているそうです。これらの部品は中共を経由して購入されていると考えられます。
しかし現在は、金正恩委員長と習主席の関係は悪化しています。習主席がアメリカの顔色を伺いながら北朝鮮に圧力を示してきたからでしょう。
北朝鮮は今後ミサイルの部品調達に習政権は使えませんね。江沢民派を使うのでしょうかね?

ロシアにとってこれはチャンスです。北朝鮮と中共を引き離し、親ロシアに切り変えさせれば、ロシアの北朝鮮への影響力が増大します。
それはロシアにとって中共を牽制することにも繋がりますし、金正恩委員長を懐柔して北朝鮮の市場にロシアだけが入り込める可能性もあるでしょう。

ロシアは中共と同様に、アメリカが軍事力で金体制を崩壊させ、韓国と北朝鮮の統一を主導する事態を最も警戒しております。
しかしトランプ政権には韓国と北朝鮮を統一させるという考えはないと思います。ただこのまま北朝鮮にアメリカまで届く核ミサイルの開発を続けさせることを黙認が出来ないだけではないでしょうか。

そうさせないために、核クラブの一員である中共にうまく圧力をかけたわけです。「協力するなら為替操作国という判断はしない」という取引きを行ったのかも知れませんね。しょせん人民元はドル経済圏の一角でしかありませんから。
もっともロス商務長官は「アメリカが通商問題で中共に譲歩することはない」と明言しましたけど。

ロシアも核クラブの一員ですから、「核・ミサイル開発は容認できない」と言うのであれば、そうさせないことに協力すれば良いわけですが・・・

習政権がトランプ大統領の思惑通り北朝鮮に軍事的圧力を掛ければ、プーチン政権はそれには協力せずに金正恩氏を助けるように動く方が得策です。

金体制と習政権が対立し、ロシアが北朝鮮・金体制に近づけば、日本海へのロシア海軍の派遣もやりやすくなるでしょう。ロシアは日本海経由で北極航路を狙う中共を牽制しておりますから、北朝鮮と親密になることは国益にも叶うはずです。
出来れば核の排除を習政権にやらせて、金体制維持をロシアが保証することがプーチン政権の狙いかも知れませんね。

トランプ大統領はプーチン大統領と会談を持つチャンスを伺っているようです。プーチン・ロシアを嫌っているのはアメリカの国際金融資本グループで、そこがアメリカ民主党やマスコミ、リベラル派を使ってトランプ排除を画策しています。デモを打ったりマスコミで罵倒したり・・・
反グローバリズムがよほど不快だったのでしょうね。共産主義、グローバル資本などに巣食う搾取主義者の巧みな反国家主義がトランプ政権に対立しているのだと思います。
ここが落ち着けば、米露の大統領同士の交渉が始まるのではないでしょうか。すでに北朝鮮問題では電話会談が行われたようですが。

それにしてもロシアが金体制を保証することは出来るでしょうか。日米は金正恩委員長の排除を考えるでしょうから。
北朝鮮をめぐる各国の思惑は、北朝鮮以外の相手を見ながら金体制の排除か擁護かを判断しているようです。北朝鮮にとっては悲劇でしょうね。

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