2017年5月18日木曜日

どうなる、一帯一路構想

5月15日、北朝鮮によるミサイル発射で幕を開けた中共・習政権の主催する「一帯一路」国際協力サミットフォーラム(北京)は、英国とフランスやドイツ、ギリシャなど欧州連合を交えて開催されました。

ミサイル発射で最初にケチがついた国際サミットでしたが、何とか無事に済んだように見えました。しかしフランスのメディアが伝えたところによりますと、英国とフランスやドイツなど、加盟国の一部が貿易推進に関する文書への署名を拒否していたそうです。

拒否した理由は、「公共調達の透明性や環境基準などをめぐる欧州側の懸念が考慮されていなかったため」と言うことですが、これで「一帯一路」構想はかなりダメージを受けるのではないでしょうか。
英国の女王が「中共は失礼だったわね」とリークした報道とかメイ首相の中共に対する「南シナ海、東シナ海で緊張を増大させることに反対する」発言などもあって、英国の中共離れも少しあるように思います。

中共の外務省・華春瑩報道官は「(報道された文書は)分科会で発表された貿易協力推進に関する提案だと思われるが、各方面が自発的に参加した提案であり多くの国から支持を得ている」と、そのフランスの報道を否定はしませんでした。

今回の「一帯一路」首脳会合には、日本から親中派で知られる二階俊博自民党幹事長が招待され、習近平国家主席と会談まで行われております。
二階幹事長は安倍晋三首相の親書を手渡したそうです。その親書には「適切な時期」に両国首脳の相互訪問を実現したい旨書かれていたそうです。

尖閣海域に中共の艦船が常時うろついていて、国際社会が「あそこは中共の実効支配する海域」と言われるようになってきました。
そんな手法を使う侵略国家・中共と安倍首相はどんな会談をするのでしょうか。この「適切な時期」とはどのような条件が整った場合を指しているのでしょうか。

この一帯一路構想はAIIB(アジアインフラ投資銀行)とつながる構想で、そのアジアインフラの開発に参加国は自国の製品を調達させたい考えです。
ですから「貿易推進に関する文書」には公共調達に関する取り決めが明記されていなければなりません。しかし習政権は余った自国の鉄鋼などを売りさばく目的で作った構想ですから、そこをぼかしたのでしょう。
参加国は「金だけ出せばいい」という考えですから、欧州各国の一部は書名を拒否したのでしょう。

親中派の二階幹事長は、北京での記者会見で、「参加をどれだけ早い段階に決断をするかということになってくる。あまり大きく遅れをとらないうちに対応するという心構えが必要だ」として日本のAIIBへの参加を早期に決断すべきとの考えを示したそうです。

これに対し安倍首相は、「疑問点が解消されれば前向きに考える」と表明し、その疑問点について「公正なガバナンス」、「持続可能な貸し付け」、「環境や社会に対する配慮」の3点を挙げました。
いづれも中共には確約出来ない疑問点ですね。そしてこれらは英国などが文書への署名を拒否した理由と一致するものです。

安倍首相は、「今後の対応については米国と緊密に連携を取り合っていきたい」と述べましたが、このアメリカは国際金融資本のことで、トランプ政権ではないかも知れませんね。

習政権が打ち出したAIIBと一帯一路構想は、国際金融資本にとってもおいしい構想です。AIIBを国際金融資本の一部に組み込み、ハイリスク・ハイリターンの金融商品にしていくことは可能でしょう。
ADBの低金利で確実な運用はあまり面白くありません。博打性が強いAIIBに傾くのも致し方ないことですね。
そして融資の調査はADBのチームが兼任するようなことになるのでは?

しかし中共にうま味をほとんど持っていかれることは許容できません。そこで今後はAIIBと一帯一路構想の乗っ取りゲームが展開されるのではないでしょうか。
習近平国家主席でも誰でも、華人はメンツにこだわります。これを逆手に取れば、メンツだけ立ててやれば実利を国際金融資本に取り込むことが可能という見方もできます。

ここらへんの駆け引きが現在「一帯一路」国際協力サミットフォーラムの場などで行われていると言って良いのではないでしょうか。
そして習政権、あるいはそれに続く政権が、公共調達の透明性や環境基準を明確にするように動き、欧州の利益が確実視された時、アメリカが参加を表明し、そして日本もまた参加を表明するのでしょう。
その「布石」が今回の安倍首相の記者会見に現れているように見えますね。

経済に行き詰っている中共。そして北朝鮮を切っ掛けに米中戦争も辞さないアメリカ・トランプ政権。中共を取り戻そうと動く江沢民派の動き・・・
習主席の回りは次第に狭められていきます。

アメリカ追従の安倍政権ですが、これも憲法改正と同時に変わる可能性もあります。アベノミクスは日本経済を今後浮揚させるかもしれません。
アメリカ・トランプ政権も経済復活に前向きです。つまり中共の経済が落ちていけば日米は復活するのです。潜在生産力はまだ維持されていますから。

軍事的に「第3相殺戦略」が出てきましたが、民間のハイテク製品なども「相殺戦略」を立てなければなりません。「8Kテレビ(有機el)」や「ロボット技術」などで中共の商品との差別化を図っていく必要もあるでしょう。

復活した日本経済がアジアをリードすれば、復活したアメリカ経済は欧州をリードするでしょう。そして中共は「一帯一路構想」と「AIIB」の提案国としてのメンツが与えられ、実質は宗主国である英国などが取り仕切る機関に変遷していくように思います。

「公共調達の透明性や環境基準などをめぐる懸念」も、「疑問点が解消されれば前向きに考える」という文句も、同じ意味を持っているようですからね。

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