2017年5月12日金曜日

トランプ政権のアメリカファースト

「トランプ政権の東南アジアに対する関心は低く、中共の影響力が台頭するのではないか」という懸念が、ASEAN加盟10カ国の識者に対する意識調査で浮き彫りになってきました。

この調査は、シンガポールにある「東南アジア研究所」が4月に行った10カ国の政府職員や経営者、学者、メディア、市民団体を対象に計318人の回答を得て出したものです。

東南アジアには「アメリカの積極的な関与で東南アジアが安定する」と考える意見が全体の69・8%を占めているそうで、そしてトランプ政権の東南アジアへの関与については、56・3%の人達が「(今後)低下する」と予想しているそうです。

そしてアメリカの関与が低下すると、それによって出来たパワーの空白を埋めるのは「中共」だと考える人が80・2%に達していると言うことです。

その上で、別の意識調査・・世界の平和や安全、繁栄、統治への貢献で「正しい行動をする」のはどの国か・・という調査をすると、「とてもそう思う」「そう思う」を選んだ合計では日本が断トツの62%で、続いてEUが45・4%、アメリカが26・2%、そして中共が23.8%だったと言うことです。

これをどう読むかですが、おそらく「来てほしいのは日本だが、日本は軍事力が無いのでアメリカも必要」となるのではないでしょうか。
この調査に当たった東南アジア研究所の「タン・シュー・ムン上級研究員」は、「トランプ政権はこの地域への関心が低く、日本が指導的役割を示すチャンスだよ」と指摘しているそうです。しかし、なにしろ日本国自体すら防衛がままならない日本の憲法ですから、とても東南アジアまでは手が回らないでしょう。(経済的には別ですけどね)

それにしても東南アジアではアメリカも中共もあまり好まれてはいないようで、「アメリカが中共よりもちょっとはましかな」という程度なようです。
EU(欧州各国)は昔は植民地にされていた宗主国なのに、中共よりも信頼が高いのは面白いですね。それだけ中共の謀略的振る舞いが嫌われているのでしょう。

フィリピンも同じなのでしょう。しかしフィリピンを植民地化し、そして戦後は軍隊を駐留させてあまりにも身勝手に振舞うために、フィリピン国民はアメリカが大嫌いなようで、ドゥテルテ大統領はその上でアメリカよりも中共の方を選択しているように見えます。

さて、それでは本当にトランプ政権はアメリカファーストで完全に内向きになるでしょうか。これまでの発言を見てみますと、経済面でアメリカファーストと述べているだけです。そして費用負担が出来なくなるから海外の米軍の引き上げも考慮すると述べております。

欧州各国は軍隊を持ち、技術的にも最先端ですから米軍が引き上げても問題は無いと思います。ロシアの軍事的脅威はそれほど心配することは無いのではないでしょうか。
日本の防衛はかなりの部分の経費を日本が出しております。ですから費用負担の心配はないはずです。そして東南アジアをどうするか、そこが対中共の軍事バランスと言う点で問題になるわけです。

トランプ政権は、グローバル化する経済に疑問を呈し、アメリカ経済はアメリカが第一でなければおかしいと発言したものです。アメリカの為政者として当然の発言です。
つまり「自国が貧乏なのになぜ隣の経済を活性化して喜ぶのか」ということなのです。しかし、国際金融資本にとっては、プロフィットを大きくするには世界中で自由に金融取引が出来なければいけないわけで、その結果アメリカが貧乏になってもそれは自己責任というわけです。

すでに成功を収め、世界中で活躍しているアメリカ企業のグーグルやアマゾン、そして知識人やマスコミ、映画俳優などは、国際金融から莫大なプロフィットを受け取っているでしょうから、妄想的なグローバル世界を夢見て、トランプ政権に対峙するわけです。

ですからトランプ政権は軍事活動を内向きにしてしまうことはないと思うのです。オバマ政権の平和主義によって世界中が「安心して悪事を行える世界」になってしまったわけですから、トランプ政権が逆にならないと困るわけです。
ISの登場も北朝鮮の核実験も、そして中共の膨張侵略もオバマ政権になって活性化したものですから。

トランプ政権は今、中共の習政権の動きを見守っております。北朝鮮をどうするか・・・
しかし決して中共政府を信用しては居りませんし、これ以上の膨張も許さないでしょう。タイミングを見ているだけです。

南シナ海の要塞島も、新たに進水させた空母も、それをどのように運営するのか見ております。金が掛かり、訓練された人材が必要で、それを持ちこたえられるのかどうか、そしてそれが本当にアメリカにとって脅威になると見れば、事前に潰すでしょう。
黙って見ている間は、まだレベルが低いということです。

トランプ政権のアメリカファーストは経済面のことで、ゆえに国際金融資本から敵視されるのです。軍事面では簡単に手を引くアメリカではないと思います。

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