2015年10月21日水曜日

メルケル・ドイツは全体主義国家か

経済評論家の三橋貴明氏のメルマガで、「ナチス・ドイツとは方向性が真逆の全体主義が、今、ドイツを覆い尽くしている」というメールが届きました。
面白い発想ですね。

ナチスのドイツ第三帝国では、ウラル西部の広大な地域を軍事的に征服し、スラブ人を奴隷化もしくは「最終解決」するという「東方生存圏」構想があり、徹底的な自国民族中心主義を展開していたとか。

また、民族主義と「科学」を結び付け、優生学という発想に基づき人々を「選別」していたと言うことです。この発想で「遺伝病を持つ子孫を予防するための法律」、通称「断種法」を成立させ、またユダヤ人とドイツ人の結婚や性行為を禁止し、「ドイツ民族の遺伝健康を守るための法律」が制定され、結婚するカップルは「遺伝的に健康である」ことを証明しなければならくなったそうです。
また、断種法の下で、40万人以上の精神病患者、アルコール依存症患者が「処分」されてしまい、数百万の罪なきユダヤ人、ロマ(いわゆるジプシー)が迫害、殺害されてしまったわけです。

ナチスに全権委任をしたのはドイツ国民であり、その結果このような「狂気」が平然となされたわけです。そして敗戦。気が付くと、「なんてことしてしまったんだ!」と言うわけで、その責任をすべてナチスとヒットラーに押し付け、戦後のドイツ(※西ドイツ)では多文化共生が推進され、人種的、民族的な差別が完全に禁止されました。

ところが、今度はナチスとは真逆に振れてしまい、ドイツ国民が「ドイツはドイツ人の国であってほしい」と願うことや、「できるだけ難民や移民を入れないで、これまでの安定的な暮らしを維持したい」と願うことが、「人種差別主義者」扱いされる様になって来たと言うのです。

つまり全体主義は、真逆になっても「全体主義」だと言うわけです。「ナチス・ドイツとは方向性が真逆の全体主義が、今、ドイツを覆い尽くしている」と言うのが三橋氏の見方です。

そしてこれは日本にも当てはまることで、「人権・差別反対を叫び、日本国民を差別していく勢力」、日本を守ろうとしている法案を「戦争法案」などとして排撃するのを見ていると、あの軍国主義と称される時代(全体主義です)と真逆であっても、サヨクは同じような全体主義的感情の時代をめざしているなと、そんな思いがよぎります。

「戦争で人を殺すくらいなら死んだ方が良い」と叫ぶサヨクを見て、故)三島由紀夫氏が、「これは戦中の『一億総玉砕』に通じるものだ」と興味深く述べたという話の、意味が解ってきますね。

日本共産党が今、安全保障法制の廃棄を求めて盛んに運動をしております。
志位委員長は、「民主党の岡田代表との会談では、まず私から戦争法廃止の国民連合政府の説明をした。岡田代表からは『思い切った提案に敬意を表する』との発言があり、提案の内容について熱心かつ真剣な質問、意見が寄せられ、私が丁寧に私たちの考えを伝えた。両党首として引き続き話し合っていくことで一致した。大変よりスタートが切れたのではないかと感じている」などと述べておりますが、まとまらない民主党ですから、代表がどう評価しようと、信用などは出来ません。

また、社民党の吉田党首は、「大変大胆で踏み込んだ提案をいただいた。前向きに受け止めて積極的な選挙協力ができるようしっかり議論を進めていきたい。さまざまな困難はあろうが、連立政権の方向性も賛同する」という評価がなされたと言いますが、国民の支持が無い政党ですから、あまり意味はないでしょう。

生活の党と山本太郎となかまたちの小沢代表は、「従来の方針を大転換した共産党の決断を高く評価する。手を携え、選挙に勝ち、政権を打ち立てるという目標に向かって自分も努力したい」との賛同が得られたとのことですが、小沢氏にとっては、憎き自民党に反対するなら、何でもいいんですよ。

聞くところによると、志位氏の発言の裏に小沢氏が居ると言うことです。そういえば、何となく志位委員長の語る論調には、反自民で小異を捨て大同に着けという点など、「小沢の指揮」の音色が聞こえています。

そして志位委員長の発言には、安全保障法案を潰した後の安全保証については、何の言及もありません。(いつもの「壊すだけの小沢式」です)
「安保法、戦争法に反対する若い皆さん、女性がすばらしい役割を発揮されていることは日本の未来にとって大きな希望だと思う。自分の父母、祖父母の世代が守り、自分たちに伝えてくれた憲法の平和主義、民主主義、立憲主義をしっかり自分たちが受け継ぎたいと言う」などとしていますが、平和とは、戦争抑止が出来ないと維持できないということが判っているのでしょうか。また志位氏は、民主主義は「共産主義、即ち設計主義」とは相いれないボトムアップ式の社会制度であることを理解しておられるのでしょうか。
そして日本の立憲主義は、立憲君主制であることをどのように理解しておられるのか、現行憲法の「天皇は国民統合の象徴である」とは、それが英連邦などと同じ立憲君主制であることを意味するわけですからね。

立憲君主制が機能していれば、全体主義にはなりません。それが憲法の効果ですから。
第一次大戦後、ドイツが共和国となり、ワイマール憲法が制定されました。しかしこの憲法下でドイツ国民は「全権委任法(憲法変更的立法)」を成立させたのです。ナチスドイツが出来た瞬間です。
この全体主義への極端な変更はなぜ起きたのか?・・そこらへんをよく調べた方が良いように思います。

もちろん、ここで言う憲法とはマグナカルタのことで、17条憲法のことではありませんけど・・・・

0 件のコメント:

コメントを投稿