2015年10月17日土曜日

安倍・プーチン会談はどうなるのか

米露首脳会談では物別れに終わったウクライナとシリア問題です。その後すぐロシアはシリアのISISを空爆しました。
シリアのアサド政権は、正当政権であるにもかかわらず現在はシリアの3分の1程に追い込まれ、あとはシリアの反体制派に取られてしまっています。

ロシアはシリアに軍事施設を持ち、現在はアサド政権を擁護していますが、アサド氏の後に親ロシアの誰かを据えようと必死なのです。
アサド政権はシーア派であり、反体制派はスンニ派で。この内戦は一種のイスラム圏内戦となっているとか。そしてスンニ派を支援しているのがISISも含むアルカイダ、サウジアラビア、トルコ、エジプトであり、そこにアメリカも含まれてしまいました。
アサド政権、すなわちシーア派を支援するのはイランとイラク、そしてヒズボラなどのテロ集団になっています。(イランがシーア派の総本山です)

ロシアの空爆は過去57回行い、そのうち2回がISISへの空爆だったと言うことです。
ロシアは過去にリビアにも軍事拠点を持っていました。しかしカダフィ大佐が殺されて、リビアの拠点を失い、シリアだけが中東における拠点になっているのが現実です。

つまりイスラム圏にとっての宗教戦争が、アメリカとロシアの中東石油・エネルギー争奪の戦いになっているのがシリアの戦いという訳です。
そしてこの戦いで、250万人ともいわれる難民が発生し、それがドイツなどに向かってなだれ込んでいるわけです。(裕福な難民、テロリストなどが混在している難民です)

アメリカがスンニ派支援となってしまったのは、アサド政権下のシリアでシーア派がスンニ派を迫害(殺害事件)することが止められず、人権問題としてアメリカが首を突っ込んでしまったためです。
中東のほとんどがスンニ派になっている現在、欧米はスンニ派支持になっているわけです。少数派はシーア派と、それを支持するアサド政権と言う構図となっているわけです。

ロシア・プーチン大統領はウクライナ問題での経済制裁の打開策として、中共に出ていこうとしました。大型の石油・天然ガスの取引を中共と契約するための抗日パレード参加だったわけですが、経済に陰りの出てきた中共に、もっと悪くなっているロシア側の足元を見られて価格を叩かれ、プーチン大統領はどうにもならずに引き上げました。そしてシリア空爆(アサド政権擁護)に踏み切ったわけです。

イスラム圏のシーア派とスンニ派の内戦が、石油利権を掛けたアメリカとロシアの戦いとなり、そこに落ち目の欧州が口を挟んでいるというように見えますね。
発生した難民がドイツ・欧州に押し掛けるのは、陸続きだからでしょう。

国連参加でアメリカを訪れたプーチン大統領に、話し合いを挑んだオバマ大統領でしたが、プーチン大統領は力の伴わない話し合いでアメリカに譲歩などはしませんでした。
そして安倍・プーチン会談が設定され、そこでプーチン大統領の訪日問題が話し合われたという訳です。

アングロサクソン各国は、安倍政権がプーチン政権と近しくなることを警戒しています。ですからオバマ大統領がプーチン訪日について安倍政権に圧力をかけて来ることは当然です。
それはプーチン大統領に対しても同様で、以前からメドベージェフ首相を使って択捉島への訪問などを行い、日本牽制を行っていることからもはっきり判りますね。

そしてロシア・プーチン政権から、「領土交渉の明言は困難」との連絡が安倍政権側に伝えられました。
ロシア側は領土交渉に応じる姿勢を示していますが、国内世論を警戒して交渉を公に発表することが出来ないと言うのです。
今年9月の岸田文雄外相とラブロフ外相の会談でも、岸田外相が「北方領土問題について突っ込んだ議論をした」と記者会見で述べましたが、ラブロフ外相が「北方領土の話は(協議の)対象になっていない」と述べたのは、こういう国内事情があるからです。

安倍政権にとっては、日露会談では北方領土問題を話し合うことが第一条件です。これがないと「何でロシアと会ったんだ」などと誹謗の対象となり、政権安定にも影響が及びかねません。
外務省幹部は「プーチン氏の来日は領土交渉の進展が前提だ」と述べ、アングロサクソンによって打ち込まれた杭に従順な態度を示しています。

プーチン大統領にとって、領土問題の話し合いは出来るけれども、それを記者会見などで発表されては困ると言うことです。そして安倍政権にとっては、領土問題の進展が発表できなければ、日露交渉で平和条約締結など出来ないと言わざるを得ません。

そしてアメリカは「日本がロシアと友好関係を深めないよう、米国は圧力を加えるかもしれない」などと議会調査局を通して安倍政権に圧力をかけてきています。

南シナ海、東シナ海に台頭する中共。習政権から袖にされたプーチン・ロシア。シリア空爆でもアメリカと反目するロシア。それでも北方領土の交渉が出来ない日本。
中共を抑止するためのロシアの協力が必要なのは日本だけではないはずですが、エネルギー資源の問題はドル覇権にとって絶対的な問題です。(別のエネルギー源が出てくれば話は変わるでしょうが)

「領土問題は秘密交渉」としてプーチン訪日を実現した方が良いのか、それとも時期を変えるとして再び先延ばしにした方が良いのか、日米同盟を見据えたうえでの安倍政権の判断、どうなるでしょうか・・・

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