2011年2月23日水曜日

アンナ・チャップマン氏、彼女も北方領土へ・・

アメリカで逮捕されたスパイで、ロシアとスパイ交換でロシアに戻されたアンナ・チャップマン氏。美人スパイとして今でも時々マスコミに取り上げられています。
その彼女が、こんど北方領土に行くそうです。

彼女は帰国後、統一ロシア党の青年組織「若き親衛隊」の代表団に加入したとか。
統一ロシア党は、もちろんプーチン氏率いる政党で、プーチン首相の政治的意図のはっきりした行動と言えるでしょう。「若き親衛隊」がプーチン首相の親衛隊であることは当然のことです。
革命で国王を殺したロシア。しかし国民は強い国王を望んでいるらしく、それが近衛兵ならぬ親衛隊という言葉に象徴されているらしいですね。そして呼び名こそ変わってロシア共和国となっても、民族の血は結局「帝政ロシア」を標榜しているようです。今後とも「共和国」というところは、そうなっていくのではないでしょうか?

現在ロシアは、メドベージェフ大統領が来年の選挙に向けて「強い指導者」の印象を有権者に焼き付けようと必死です。それが北方領土への訪問などにも現れていて、その側近とが軍部指導者なども北方領土を目指します。
もちろん、軍隊のない日本がその奪還を表明している領土だからこそ、安全に「力の誇示」が出来る場所だからでしょう。

このメドベージェフ大統領の動きを黙って見過ごすことは出来ないプーチン首相。2期目をもう一度メドベージェフ氏にやらせるか、それともプーチン氏自身が再登板するか、それはまだ決めかねているようですが、ともかく自分の力の誇示もしておかなければなりません。
そこで統一ロシア党の親衛隊の出番となったようです。そのアンナ・チャップマン氏は絶好の人材。彼女が動けば欧米のマスコミが取り上げ、北方領土を実行支配しているのはロシアであることを印象付けることも出来ます。

プーチン氏の政治手法はあくまでもKGBスタイルです。民主化と自由は銃を使っても封印します。そしてこの不況の中にあるロシア。国民はどうやら自由よりも安定を望んでしまったようです。自分の生活を守ることに必死で、指導者には強さを求める体質。そこをしっかりと掴んだプーチン氏。ストロング・プーチンを演出するその才能は抜群。

しかしロシア経済は困窮しています。産業も疲弊し、もはや天然ガス資源など、地下資源の輸出しか経済を支える手段はないようです。
シベリアなどは華人に荒らされ放題。そのうちにシベリアの森林資源をすべて中共に実行支配されてしまうかも知れないというありさま。しかしそれは報道せずに、小さな北方領土を実行支配して見せて、それで強さをアピールしようという演出。

日本にとって、このような時期に交渉しようとしても無理であることは明らかです。民主党・前原外相がラブロフ外相と北方領土で互いの主張をぶつけ合ってきましたが、どうやらそれがプーチン氏の親衛隊を北方領土へ送るきっかけになってしまったようですね。
強いロシア指導者を演出するには絶好の場所、北方領土・・・というわけです。

我々日本国民としては正確な情報だけはつかんでおきたいものです。
聞くところ、現在の北方領土に居るロシア人住民は1万6553人ほどで、現実には住民として登録はしているものの、実際はどこか別のところに住んでいる人も居るとか。
憶測ですが、どうも日本へ返還されるとき移転費用をボッたくる狙いなのではないかという噂もあるとか。ですから、ロシア人の中にも日本が平和状態で取り返すだろうと踏んでいる者もいるということでしょう。
日本国民にも、北方領土に本籍を置いている人が200名くらいいるそうですけどね。

ロシアが北方領土に今後9年間で投下する資本は540億円の予定だとか。東京の一区あたりの予算を見ても年間1000億円以上ですから、かなり少ない金額だと言うことがわかりますね。
即ち、政治家のパフォーマンスは派手でも、実態はそれほど力を入れていないということ。中共とか韓国に共同開発を提案したりしていますが、それほど心配する必要はないとも思います。
北方領土の資源は漁業資源以外には何も無く、沖縄のように軍事的意味がある場所でもないようです。宗谷と樺太の間の海は浅くて、潜水艦戦略には不利だそうですから・・・

どうなるか判りませんが、来年の選挙が終わるまでは、北方領土については日本はじっと我慢するしかないようです。しかし、来年の大統領選挙が終わり、プーチン氏、あるいはメドベージェフ氏が大統領に決定すれば、すぐに出てくるのがロシア経済の問題でしょう。

日本はそこに焦点を当てて、じっくりと戦略を練る時期なのではないでしょうか?

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