2011年2月16日水曜日

台湾、馬政権は中国という国名を使わない

平和に国民が納得して併合するのなら、アメリカは併合を歓迎する・・ということで、台湾は中共の領土となることで手打ちをやったはずでした。

馬英九総統は香港生まれの華人。1950年、両親とともに台湾に移住し台北市で育ち、国立台湾大学法律学院法律系を卒業後アメリカに渡り、ニューヨーク大学大学院修士課程及びハーバード大学大学院博士課程を修了した秀才のようです。
ハーバードだからアメリカの政界にはいっぱいコネクションを持っているのでしょう。国民党から立候補し、台北市長を経て2008年5月20日、第12代中華民国総統に就任した政治家です。
ですから平和に中共と併合することを、最初は目指していたのかも知れません。

しかし、中共の経済成長が進んで来ても、その富の偏りと急激な軍拡が行われただけで民主化には程遠く、ゆえにいつまで経っても台湾との併合は進むことがありません。
さらにサブプライムローンからリーマンショックを経てアメリカ経済が弱体化すると、中共は太平洋への派遣を露骨に表すようになり、台湾併合とは、そのために必要となるものであることが明確になってきました。
そして南シナ海(フィリピン)からアメリカが撤退したとたんに、騙しのテクニックによって中共の軍事基地が作られ乗っ取られたことも、中共の太平洋への野心の現れであることが明確になりました。

そして尖閣列島事件です。ビデオが流出したことで、中共の侵略のやり方がはっきりと出てきました。共産党の弱体化と人民解放軍(軍閥)の台頭です。
馬総統の「ハーバードの友人たち」も、ここまで来れば台湾併合などとは言っていられなくなったということではないでしょうか?

2012年、台湾は再び総統選挙の年になります。中共の戦略が見えてくるにつけて、民進党や李登輝元総統をはじめとする独立派・本土派陣営が勢いをつけてきます。国民党としては、これまでの「統一せず、独立せず、戦争せず」の現状維持政策を続けるにしても、さらに台湾国民の将来の不安を払拭する政策を打ち出さなければならないはず。
野党の「棄馬保台(馬英九政権を棄てて台湾を護ろう)」との動きが活発化していることもありますし、今年の11月には5大都市首長選もあります。

そこでこの2月7日、総統は大陸側の呼称として「中国」を公文書で使用することを禁止すると表明しました。台湾の主権は中国大陸にも及ぶとの「中華民国憲法」の立場から、「(中国は)『中国大陸』か『大陸』と呼ぶべきだ」と述べています。そして、外交部(外務省)の公文書で「中国」の呼称を何度も使ってきたのは「非常に重大な過ちだった」とも。
ある意味では一つの中国を意識してはおりますが、中共に呑みこまれるようなイメージを払拭。
あくまでも主権国家・台湾の、主権が大陸にも及ぶという言い回しです。

さらに尖閣列島については、「釣魚島は中華民国領」との立場を再表明する一方で、尖閣問題の平和的解決をめざし、中共とは連携せず、まず主権問題を棚上げして(周辺海域での)漁民の権益擁護を最優先するとの考えを表明しました。
その上で、「地域の安定に役立てる一つの方法として、(日台漁業交渉の)交渉レベルの格上げに賛成する」との表明も。

これは日本にとってもチャンスかも知れません。台湾の尖閣列島領有の主張に対して、日本はこれまで通りの主張をぶつけ、領有の問題は棚上げにして日台双方の漁民の権益擁護を最優先するように持っていき、中共に口を挟む余地をなくしてしまうということです。
こうすることで、台湾も尖閣列島も中共の思惑からはずしてしまうという政治的策略。
台湾はアメリカの武器を購入し、日本は日台協力で東シナ海の防衛を強化し、日米安保もそれに協力するという表明。

目的は人民開放軍の封じ込めにあるということでしょう。

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