2016年12月7日水曜日

五つ星運動の勝利・イタリア

アメリカのトランプ氏の勝利は、今度はイタリアに飛び火したようです。
マッテオ・レンツィ首相が、その信任をかけて行った憲法改正の是非を問う国民投票が、反対多数で否決されたからです。

レンツィ首相はただちに退任する意向を示しました。そしてマッタレッラ大統領に辞表を提出するそうです。

イタリアはEUの中の重要な国家です。英国から始まったEUの瓦解は、遂にイタリアにも及んで来たと言うことでしょうか。
この国民投票は、イタリアの憲法を改正するもので、上院の権限を大幅に縮小するものでした。そうしないと混迷するイタリア経済が行き詰ってしまうからです。しかし、ポピュリズムを背景にした「五つ星運動」は、何を言っても現政権は信用できないとして否決したようです。

この五つ星運動をリードするのはコメディアンのベッペ・グリッロ氏と言う人で、五つ星とは「発展・水資源・持続可能性のある交通・環境主義・インターネット社会」の五つの社会改革を目指すものだと言うことですが、要するにEU離脱を目指す政党のようです。

現時点では、緊急にマッタレッラ大統領が新閣僚を組閣して、経済危機に立ち向かうわけですが、その組閣がうまく行かなければ総選挙と言うことになると言うことです。
そして選挙で「五つ星」が躍進すれば、イタリアのEU離脱がかなり本格化していくでしょう。

英国のEU離脱、フィリピンのドゥテルテ大統領、アメリカのトランプ氏次期大統領と言う流れが、もしかするとイタリアにも波及したのかも知れません。

すべてが経済的行き詰りから派生したもののようです。フィリピンのドゥテルテ大統領はアメリカを非難していましたが、彼の言う非難は恐らくウォール街から始まる略奪資本主義に向けられたものでしょう。

英国はずいぶん前からEUに入ってろくなことが無かったという国民感情がありました。アメリカも、グローバル経済を進展させた結果ろくなことが無かったという国民感情がトランプ氏を大統領に選んだのでしょう。
そしてイタリアも、ユーロの国民経済に与える悪影響をはっきりと認識した国民たちが反旗を翻したようです。

グローバル化とは、産業生産物を人件費の安いところで作り利益を大きくすることが目的のものでした。また、ユーロは通貨発行を抑えてデフレにして、通貨の力を強くすることがねらいだったようです。
そしてこのように世界を標準化すれば、平和がやってくるという妄想もあったようですね。

最初のグローバル化が「世界共産党革命」のようでした。しかしこの主義は技術革新が出来ませんでした。そして自由主義の方が技術革新が進んだのです。

そして、次に始まったのがユーロとグローバル化でした。しかしそれもすでに行き詰っています。共通通貨は勝組と負け組に別れてしまい、しかもそれが拡大してしまうからです。
グローバル化は利益が略奪され、しかも「物づくり」で必要な次の開発資金までもが配当で奪われてしまうからです。

このユーロとグローバル化によって、賃金は上がらず、生産性も上がらず、世の中はデフレとなりお金は相対的価値を上げていきます。
こんな社会が良いわはありません。早急に元に戻した方が良い・・・というのがEU離脱とかトランプ現象(国内で生産しろ!)という国民の要求となって来たのでしょう。

イタリアも同じ流れの中に入ったことになる様な気がします。そして今後、フランスの「国民戦線」や、ドイツの「ドイツの為の選択子」などが躍進するのではないでしょうか。
お金などが強くなっても意味はありませんからね。

トランプ次期大統領は、グローバル化の流れに反対しています。それがTPPには参加しないという表明になっているようです。
安倍首相も早く「TPPはアメリカが参加しなければ意味はない」として解散してしまえば良いように思います。もちろん最初にTPPを始めていた国家は残ってもいいですし、中共が主導する貿易協定に参加してもいいでしょう。もちろん日本は参加すべきではありませんけど。

トランプ氏は「FTAとかEPAで2国間で決めていく」としています。それで良いと思います。そして各国とも昔のように関税を掛け合っても良いでしょう。その方が国家の事情が反映されて共存共栄が可能になるように思います。

それは、世の中が「大量生産による利益収奪の構図が、もはや不可能」になったからです。消費者は「良くて安いもの」を、自分の責任でネットを通じて探せる時代が始まろうとしているからなのです。

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