2016年12月17日土曜日

難しい対ロシア外交

15日にやってきたロシアのプーチン大統領は、日本からの多大な経済協力を引き出して帰国していきました。しかし北方領土問題についてはあまり進展がなかったと言うのが、大方のマスコミ、そして野党とサヨクの一貫した見方のようです。

日本のある政府高官は、「領土とは血で奪い、血で守るものだと考えている。中共との間で40年かけて領土を画定したのも、血で血を洗う国境紛争の末のことだ」とプーチン大統領は考えていると述べております。
そしてこれは、ロシア人のほとんどの考え方で、そして世界の常識でもあるでしょう。ゆえに世界中から紛争は無くならず、狭間にある小国は常に両国の紛争の犠牲になります。

日本国民は戦争で取られた領土は話し合えば戻ってくると思っているようですが、そんなことだから東シナ海の尖閣諸島が中共に取られようとしているのです。
明治時代、無主の島であった尖閣諸島を日本に組み込み、どの国からも反論が出なかったのは、当時日本の軍事力が強かったからであって、そのことをもっと重視すべきではないでしょうか。

北方領土も同じで、先達たちの苦しい軍事活動故に我が国の領土となったものを、敗戦後に取られたと言って話し合いで取り戻そうと言うことは本質的に出来ない話です。
「島は奪い取られた」とか「ポツダム宣言を受諾した後、また、終戦の調印のあとだった。卑怯だ」などといくら叫んでも、変な憲法で戦争忌避を叫ぶ国家には何の力もないことは当然のことです。

そのことを念頭に置いて、今回の日露交渉を見てみたいと思います。

プーチン大統領は、「私たちの考えとしては、領土をめぐる“歴史のピンポン(卓球)”をやめるべきだと考えている」と、産経新聞記者の質問に答えております。そして、「もし安倍首相の計画が実現するのであれば、島は反目のリンゴ(果実)ではなく、ロシアと日本を結びつける何かになり得る」と述べました。

この「歴史のピンポン」とは、明治時代に樺太と千島列島を交換したり、日露戦争で樺太の半分を取り返したり、第二次世界大戦の結果で全部ロシア領になったり、このような流血の結果のピンポンのことで、その延長線上にある戦後の話し合いのピンポンのことと解釈すべきでしょう。

現在は武装解除している日本も、やがて独立国家として相応の軍事力を持つことになるが、そうしたら又流血のピンポンを続けるのか・・いや、もうやめよう・・と言うのがプーチンの言葉の意味ではないでしょうか。さらに裏の意味を辿れば、このような領土問題は「国際金融資本」にとって絶好の餌になると言うことです。KGB出身のプーチン氏は知っているわけです。そして日本も、あの日露戦争で莫大な借金を国際金融資本から受けていた事実もあるでしょう。

ロシアが現在受けている経済制裁も、この「国際金融資本」なるものからです。しかし、この国際金融資本にも負けない日本経済があることをプーチン大統領は知っているというわけです。
そこで日本からの経済協力によって、この国際金融資本との戦いを続けようと言うのがプーチン大統領の戦略のように見えます。

さて、日本の側には領土問題よりも大きな問題である安全保障関係があります。もちろん対中戦略としての意味においてです。中共は今、南シナ海でアメリカの無人潜水機を拿捕するなど、アメリカへの挑発を続けています。この中共に対する包囲網として、安倍首相はオーストラリアやインドなどと防衛協力を進めています。ここにロシアが加われるかどうか、それによってこの包囲網の強さが変わってきます。
ロシアは中共とは友好関係を築いておりますが、長い国境線を抱えるロシア側にとって、潜在的な不信感を拭い去ることは出来ないと考えた方が良いのではないでしょうか。

外務・防衛閣僚級協議(2プラス2)では、まだ議論が続けられており、今後とも協議を続けていくことで合意が出来たそうです。

安倍・プーチン両首脳にとって、最も重要な問題は平和条約の締結と言うことになります。安倍首相は「共同経済活動は日露両国の平和条約問題に関する立場を害さないという共通認識のもとに進められる」と述べ、両首脳は北方四島での共同経済活動に関し、4島の名前を明記したうえで「共同経済活動に関する協議を開始することが平和条約の締結に向けた重要な一歩になり得るということに関して相互理解に達した」と書き込まれたそうです。

今回の交渉では、この4島の元住民らの高齢化が進んでいるために、自由な行き来が出来るようになったそうです。しかし問題はここからです。いったい漁業権はどうなっていくのか、北海道の漁師は自由に漁業活動が出来るのかどうか、そして漁業資源保護のためなどの法的規制は、日本・ロシア、どちらの法律が適用されるのか、そこが注目点になるわけです。
自由往来可能となる元島民にも、法律はどこの法律が適用されるのか、そこも問題点になるわけです。
それは領土問題の核心であり、どちらの法が適用されるか、それが覇権(施政権)と言うことでもあります。もし日本の法が適用されるとなれば、領土返還が行われたことと同じことになるわけです。

その点を日露両政府は、今後日露間だけの共同経済活動実現(中共排除)のため、条約などの形で「特別な制度」を設ける方針としたそうです。

つまり今後の日露領土交渉は、漁業、観光、医療の分野を含めた「特別な制度」構築の問題に変わったと言うことでしょう。経済協力が進展していく中で、この地域に限定した法律の制定です。ロシア側はまだロシアの法が適用されると述べております。
もちろん日本はロシア側が主権を行使する形での実施は認められないとの立場ですが、さて、どうなって行くでしょうか・・・

0 件のコメント:

コメントを投稿