2016年12月13日火曜日

サウジアラビアの危機

トランプ次期大統領が、湾岸危機の時にアラブ首長国の連中がテレビで自国の戦争を見ながら酒を飲んでいたことを暴露し、その時に戦っていたのはアメリカ軍の兵士だけだったことも暴露しました。

オバマ大統領も、アメリカとサウジの長年にわたる友好関係に見切りをつけ、イランとの関係改善に乗り出したのですから、もはやサウジとアメリカはある意味で敵対関係になって来たとも言えます。

長い間、国際石油資本(メジャー)がサウジに支払ってきた原油のお金は、王族の間で使われて一般国民には回らなかったようです。
その不満がアメリカに向けられ、オサマビンラディンのようなテロリストが生まれたことも確かなようです。

そしてアメリカは、シェールオイルやシェールガスが採掘できるようになって、もはやサウジの石油は不要となっています。
ですからアメリカのサウジ離れはもう避けられません。

そのサウジに、石油資源欲しさからか手を差し伸べてきたのが中共でした。
しかし、中共が不況になってきて石油需要が減少し、世界的に石油がダブついてきています。その結果、石油相場が値下がりとなり、国際石油資本もOPECも追い込まれてきたわけです。

サウジアラビアは近代化に遅れをとってしまいました。サウジアラビア主導でOPECが作られた時、なぜ近代化をしなかったのか、それが王国の欠点かも知れません。石油が出れば金になる。しかも掘削技術はメジャーが持ってくるから、サウジアラビアは何もしなくてお金が入る・・・などと考えていたのかも知れませんね。

宿敵イランは近代化に向けて努力を重ねてきました。イスラムに矛盾しないでいかにして近代化をなし遂げるか。国際金融資本を敵に回しながら・・・
核開発はアメリカに対するけん制と、北朝鮮との協力の意味を持っていたように思います。イランが行ったのは原子力発電でした。

原発の意味は発電にあるのではなく、プルトニュウムの生産にあるわけです。そして爆弾の方は北朝鮮に任せて、イランは発電所を作る計画だったのではないでしょうか。

サウジアラビアに日本は60%以上の原油を頼っております。サウジアラビアから見れば良いお客様かも知れませんが、今後不安定になるサウジアラビアを日本政府は想定してはおりません。

我が国国内においては、原子力発電はほとんど止めておりますし、石炭火力による発電もなくしてしまいました。
そして我が国の現状はほとんど石油による発電だけで賄われている状態です。

一方他国をみれば、アメリカはすでにシェールオイルなどで自国のエネルギー安全保障を確立しておりますし、原発も稼働しています。
さらに、アメリカ以外の国家も原発などの建設に積極的ですし、そこに中共製の原発が売り込みをかけられています。プルトニュウムが欲しいのでしょうね。

だから中共は原発の輸出に積極的です。そして自国内にも建設を進めるでしょう。また、現在も国内にある石炭を使った石炭火力発電も重視しております。

さらに中共は、我が国を「兵糧攻め」にしようと南シナ海への軍事的プレゼンスを強めております。南シナ海に中共の覇権が及べば、日本のタンカーは運航を止められ、サウジからの原油が入らなくなる確率は高いと思われます。
そしてその場合、イラン原油を輸入しようとしても、あるいはインドネシアあたりの原油を輸入しようとしても中共の妨害に合うでしょう。

国際社会はリップサービスは行いますが、対中共を相手では全く効果がないことは、南シナ海での国際司法裁定にも全く従わなかったことから明らかです。
中共は軍事的制裁以外は全く効果がないのです。国際法も条約も、自国の野望の邪魔ならば平気で踏みにじるのです。

南シナ海を経由しない石油の輸入ルートは、ロシア産の原油かアメリカ産のシェールオイルになりますが、イザとなれば両国とも我が国の足元を見てくるでしょうね。

サウジアラビアの混乱はイスラム・スンニー派の混乱でもあります。テロ集団「イスラム国」は、このサウジの混乱を利用したどこかの国の陰謀が作ったという噂もあります。
イスラム・シーア派(最大の国家がイラン)がこのようなスンニー派を叩くチャンスでもありあます。

スンニー派が多いトルコ共和国も、シーア派にとってみれば攻撃対象となるかもしれません。そうなれば世界が混乱に巻き込まれていく危険性も出てきます。

もとはと言えば、サウジアラビアのイスラム国王と貴族たちが石油利権を離さずに、オイルマネーを私物化してきたことへの付けが回ってきたのかもしれません。
そしてそれは、国際金融資本が操ってきたオイルマネーがもたらした破局とも考えられます。

経済危機に見舞われるサウジアラビアが、今後どうなっていくか目を離せませんね。

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