2011年11月25日金曜日

中共の空母、開発の壁

アメリカに対抗して、中共はその潤沢な経済を背景に空母の建造を行っています。中共のやり方は、まず作りたいと思う完成品を買って、それを模倣し、自国で使ってから外国に売るという方式で、軍事用品も同じらしいですね。

まず、ウクライナから空母「ワリャク」を購入し、時間を掛けて内部を調査し、アメリカに留学しているスパイなどから米軍の情報を集め、わからない部分を埋めて作っていくやり方。
眼に見える部分の模倣だけなら簡単ですが、そこに詰まったノウハウはなかなか理解出来ないようですね。
「ワリャク」は2011年8月に試験航行を行い、10月の国慶節に就役との見込みを伝えていましたが、今になっても就役していないようです。

どうやら、艦載機の着艦に不可欠な機体制動用ワイヤー(アレスティング・ワイヤー)がうまく行かないようです。
もちろん、それはロシアから購入する予定だったのですが、ロシアがそれを断ったということです。
理由は、ロシア製戦闘機「スホイ33」を、契約違反コピーをして艦載機「殲15」を作り、それをロシアが止めろといっても聞かずに他国へ売りこんでいること・・に対する報復だということです。

自国で作ることは当分出来ないはずです。このワイヤー開発に何人のパイロットが命を落としたことか・・・
そしてワイヤーのノウハウは眼には見えません。しかもワイヤーは維持・メンテナンスが欠かせず、それをサボるとすぐに事故となります。

航空母艦に着艦する場合、パイロットはアフターバーナーのスロットルを全開にします。つまり離陸字と同じ体制で着艦するわけです。
これはワイヤー架けを失敗した場合、すぐに離陸することで事故を防ぐためです。
常に軍事パイロットは、タッチアンドゴーの訓練をしていますが、それもこのような事故を防ぐための訓練ですね。
ちょっとでも訓練を怠ると、死亡事故に直結します。ですから基地では常にこの訓練を怠らないわけで、それが地域の騒音被害にもなっているわけですけど・・・

そこでこのワイヤーですが、ここに掛かる重量は発艦時のパワーが掛かることになります。どのくらいの荷重かは軍事機密でしょうけど、約97トンとの記述がありました。
ちなみに、クレーンで吊り下げるワイヤーですが、40mmΦ(一番太いもの?)でも13トンちょっとの荷重までしか吊ることができません。
ワイヤーを太くすれば、今度は自重が重くなり、思うように荷重を増やすことは出来ないようです。

艦載機の着艦時のアレスティング・ワイヤーは、クレーンのワイヤーとは異なるのでしょうが、何人ものパイロットの命を使った設計情報は、そう簡単には入手できないでしょう。
必要なものは、ワイヤーの丈夫さだけではなく、フッキングしたあとの、ワイヤーの引っ張り方で速度を急激に落としながらも、ワイヤーに掛かる荷重をコントロールし、パイロットの身体に掛かる減速加速度もコントロールするようなダイナミック制御を行うソフトウエアの開発です。

見えるところ以外は、独自開発が必要であること、華人の設計者は今、いやというほど感じていることでしょう。
そして独自開発ともなれば、パイロットの命と引き換えにしなければ得られないデーターが山ほど必要になるはずです。
それが出来ない日本が作った空母「ひゅうが」、「いせ」はヘリコプターの発着艦だけです。(だから空母型護衛艦と言うわけですね)

さて、中共の空母はいつ就役するでしょうか?

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