2018年9月5日水曜日

財務省、消費増税の根拠の嘘

財務省が来年度に予定する消費税10%の根拠をご存知でしょうか。おそらくその必要はほとんど無いというのが結論ではないでしょうか。

経済評論家の小野盛司氏は、そのメルマガで元官僚、経済学者の野口悠紀雄氏の主張を挙げています。すなわち「消費増税を延期すると、それを埋め合わせるために国債の増発が必要になり、長期金利が上昇し財政が悪化する」という主張です。
そして小野氏はこれに対し、「間違えた論理であり、それは過去を見れば明らか」として、1982年9月の鈴木善幸首相の財政非常事態宣言、1995年11月の武村正義大蔵大臣が「財政危機宣言」を挙げ、このような政策の実行で「国の借金は増え続けたが、長期金利は下がり続け遂に0%あるいはマイナスにまでなってしまった」と述べております。

それでも大蔵省は消費増税によって大蔵省の地位向上が図られるとして、橋本龍太郎首相に消費増税5%を押し付けて来ました。
この時も経済に与える影響は微々たるものという大蔵官僚の言葉を信じて、1997年に消費増税5%を実施しました。さらにこの時、健康保険の自己負担率引き上げとか特別減税廃止、総額約10兆円の緊縮財政なども、大蔵官僚の言うままに行ってしまったのです。

その結果、1998年度には名目GDPは、前年度比マイナス2%、GDPデフレーターはマイナス0.5%となり、我が国にデフレーション経済が蔓延する結果となってしまったわけです。

大蔵省に騙されたと気づいた橋本首相は、ついに大蔵省解体を決意し、その結果大蔵省が無くなり現在の財務省となったわけです。
しかしこの消費増税5%の弊害は大きく、2年後の1999年度には1997年度比で、所得税収と法人税収の合計額がマイナス6兆5千億、つまり大税収減になってしまいました。

橋本首相の怒りは、2001年自由民主党総裁選挙に出馬した際の、「私は平成9年から10年にかけて緊縮財政をやり、国民に迷惑をかけた。私の友人も自殺した。本当に国民に申し訳なかった。これを深くお詫びしたい。財政再建のタイミングを早まって経済低迷をもたらした」という発言にも表れております。
そして橋本氏は亡くなる直前まで、大蔵省官僚の言いなりになった事を、悔いていたそうです。(安倍首相もそうなるのでしょうか?)

デフレ脱却を目指した小渕恵三政権が、財政支出による景気対策を主張して「私は史上最大の借金王になりました」などと冗談を言い、アメリカのリベラルが小渕内閣を「冷めたピザ」などと揶揄しましたが、経済がデフレ脱却に至る前に「脳梗塞」で倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまいました。

財務省になってから、これまでの大蔵省と違って、かなり権限は縮小されたようだったのですが、徴税権と予算編成の両方を財務省に残しましたから、そこから財務省の復讐たる省権益の復活に向かう「消費増税」の企みが始まったわけです。

自民党が安倍晋三氏を立てて政権を奪還する前から、財務省は消費増税10%を自民党議員に言いふらしていました。議員と言っても経済に疎い人も多く、そこを狙い「嘘」を吹聴し洗脳したわけです。
そしてマスコミには、まだ持っていた徴税権をちらつかせ、「査察に入るぞ」という脅しによって消費増税の不合理さを書かせないようにし、国民に向かっては「借金1000兆円。孫の代まで借金を残すな」などと、家計簿と国家財政を同一次元において騙し続けました。

その結果、第二次安倍内閣でついに「消費増税8%」を実現させ、再び我が国経済をデフレに戻したのも財務省でしたね。

この財務省の嘘をマスコミも後押ししますから、国民も騙されるわけです。個人や家計ではローンが増えれば普通の銀行はそれ以上貸さなくなるからサラ金に頼らざるを得なくなり高い金利を払うことになって破綻に追い込まれます。しかし国家の場合は先ず「年を取って死亡する」ことはありません。そして国家主権として通貨発行権を持っていますからお金はいくらでも発行できます。

法律上は政府は通貨の発行は出来ず、民間企業(特殊法人)の日本銀行が通貨発行することになっています。これは「政府に通貨発行をさせるといくらでも刷るからインフレになる。その防止策」ではありません。
基本的に通貨とは「債務と債権の記録」です。つまり紙幣とは借用書の一種に過ぎず、実態は「記録」なのです。ですから政府と日銀を区別して、政府はお金が必要な時には国債を発行して現金を調達し我が国のために使う・・というだけのことです。

国債と現金の取引が「記録」を残しますから、通貨コントロールが可能になります。国債発行で現金を市中銀行から調達します。市中銀行は日銀と取引をしますから、国民の預金と発行する通貨とのバランスでコントロールしているだけです。
国民の預金を借りて、いくら政府が使ったとしても国民が預金を引き出しに行けばお金は渡されます。取り付け騒ぎは起きません。それは市中銀行が日銀とつながっているからです。

デフレ脱却とは、インフレ政策をとることですから、国債を発行して公共投資で市中通貨を増やさなければなりません。現状では我が国はインフラの整備が遅れております。ですからいくらでも公共投資が可能な状況です。
この公共投資を「財政規律(いわゆるプライマリバランス=PB)」という変な言葉を使って抑制しているのも財務省です。
インフレ期のPB遵守は意味があるのかも知れませんが、デフレ期には害になる考え方です。財務省にはそれが理解できないようですね。

今、公共投資をさぼりますと、河川の氾濫や大きな地震による破壊によって我が国が機能不全に陥り、再生不可能になってしまうことも予想されています。広域災害で生産設備が壊滅するからです。
これは本当に「日本の最期」を意味しているかも知れません。

PB遵守は外国から借金をしている国家には重要です。自国経済がつぶれてしまいますからね。しかし我が国は「円」建ての借金、すなわち自国通貨ですから、いくら借金をしてもつぶれることはありません。
また、外国から借金をしていても、ギリシャを見ても判るように国家は存続しています。国家の借金は大規模災害程は怖くないということですね。

我が国の実態を把握もせず、ただ財務省の省益と自らの出世のみで判断し、官僚を騙し、政治家を騙し、マスコミを恫喝し、そして国民を騙し続ける財務省。
その仕事自体、いつでもAIに置き換えることが可能だということも知らないで・・・

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