2015年8月26日水曜日

人民元安とM:I/ローグネーション

映画・ミッション:インポッシブル/ローグネーションを見てきました。筋書はご覧になれば判ると思いますのでここでは省略いたしますが、最近の中共経済を見ていますと、現実が映画よりも複雑で奇奇怪怪であるような感じがします。

ローグとは「ならず者」という意味であり、ネーションとは「国家」ですから、「ならず者国家」という意味になります。ハリウッドの映画ですし、この制作に当たっては華人の資本がかなり入っているようです(タイトルを見て)から、イスラムのISISが対象なのかと思いました。しかし、主人公がIMFの秘密情報部員で、経済犯罪ですから、どうもこの「ならず者国家(映画の中ではシンジケートと言っています)」は、中華人民共和国を彷彿とさせます。

M:Iの映画の中では、IMFやアメリカの上層部にシンジケートのスパイが入り込んで、決定を捻じ曲げているとしていますが、現実でも、IMFやアメリカなどに中共のロビー活動や議員への寄付、賄賂などが横行していることはあると思います。
そして結局悪いのは英国の情報部のボスで、彼が英国首相が拒否した作戦を無理やりに行ったという設定ですが、これは英国のAIIB加盟のことを揶揄しているのでしょうか。

人民元の国際通貨化を目指しながら、国際法を無視し続ける「ならず者国家・中共」です。

人民元は、2008年のリーマン・ショックを不動産開発投資主導で乗り切りました。しかしそれが不動産バブルであることに変わりはありません。
不動産バブルは日本から始まりました。その後遺症は現在も我々日本国民に影響を与えていますが、その不動産を使ったバブルでアフガニスタン戦争からイラク戦争までを乗り切ったアメリカの、その崩壊がリーマン・ショックだったはずです。

そのショックを中共は同じ不動産バブルを使って世界で最初に乗り切ったわけですが、2012年にその不動産バブルも崩壊しました。
この頃から、2014年に中共の経済崩壊が始まるとの予測が出始めました。鉄道貨物輸送量などの指標をもとに見ると、中共の実質経済がどんどん悪くなっていったからです。

国際通貨になれば、国内が不況でも、外国から人民元で石油も軍事技術も何でも買えると思ったのかどうか、習政権は人民元の国際化に向けてIMFに働きかけてきます。
「IMFのSDRに人民元を入れろ」という圧力をかけ始めるわけですね。ドル経済圏の中で共産主義の途上国通貨にすぎない人民元を、SDRに入れて国際化したいという中共の要望を、アメリカは逆手にとって、引き換えに中共市場の自由化を条件にしていきます。

2014年後半に、習政権は人民銀行、政府機関、国有企業さらに国営メディアまで総動員して株式ブームを演出します。不動産から株式バブルへの乗り換えです。
中共の株式市場が跳ね上がり、バブルに浮かれる国民が、世界中で「爆買い」を始めたのは記憶に新しいところですね。

しかし、このバブルは今年6月に崩壊、株は暴落しました。それを受けて、アメリカや日本の株式も下落しています。
中共は実体経済回復の為に人民元の切り下げを余儀なくされます。もちろんそれは外資が逃げ出す副作用を伴います。
中共は少しづつ下げ始めました。

しかし、切り下げ発表後、上海外国為替市場で起きたのは大量の元売り、ドル買いで、人民銀行はあわててドル売り、元買い介入で価格を維持しました。そしてこれ以上の元安にしないというメッセージを市場に発信し続けました。
人民銀行は外貨準備を取り崩して人民元を買うわけですから、外貨準備が大きく減少します。

日本での円売りドル買いの政府介入では、日本を非難したIMFですが、この中共の介入に関しては「市場実勢を反映させる措置」などと言って認めています。またアメリカ財務省も黙認しています。
内部に入り込んだスパイの暗躍にも見えますが、実際は人民元の実質大幅切り下げとなると世界の産業界への衝撃が大きく、不安定な国際金融市場に激震が走るという考えがあるようです。

中共政府がどこまで人民元の買支えが出来るのかは判りませんが、いつまでも出来ると言うものでもないでしょう。(円高の時とは逆ですからね)

IMFは、今回の元切り下げは元をSDR構成通貨として認定させるうえでは障害にならないと述べています。また、中共に関する年次審査報告書では、「元は安過ぎではない」として人民元のSDR入りを画策していますが、その条件が「(人民元は)3年以内に変動相場制に移行すべき」と言うものですから、元の国際通貨化と引き換えに、変動制移行の約束を取り付けようとしているようです。

人民元が変動相場制になれば、国際金融(ユダヤ資本)はそれを使って莫大な利益を上げることが出来ます。
そして、その金融を使って中共内部を多党制へ移行させることも画策しているのではないでしょうか。

共産党が支配可能な市場経済モデルは、もういよいよ追い詰められました。しかし通貨を自由変動相場にしてしまえば人民元の中共にとってのうまみは無くなります。
現行の経済モデルを放置すれば、中共の脆弱な金融市場は自壊してしまいます。

ウォールストリート・ジャーナル紙は12日付紙面の社説で「中国経済の加速にはつながりそうにない」と述べ、「新興国が通貨を切り下げることは、海外から国内への投資を弱め、国民が資金を海外に移す流れも強める」と強調しています。中共とは、途上国であり新興国という扱いですね。

安倍首相も「9月に中共へ行くという予定はない」とはっきりと述べました。現状で行けば朝貢みたいになります。会いたければ向こうから日本に来い・・ということをもっとはっきりと言ったらどうでしょうか。
親中議員とかマスコミが「9月訪中」と騒いでいましたが、それにきっぱりと「予定などない」と述べた格好です。

習政権、いよいよ正念場・・・

0 件のコメント:

コメントを投稿