2015年5月23日土曜日

米中激突、南シナ海

英国のシンクタンク国際戦略研究所(IISS)が発効する世界の紛争について分析した報告書「アームド・コンフリクト・サーベイ2015」によりますと、世界の紛争の数は減少しましたが、「ハイブリッド戦争」と呼ばれる手法、そしてイスラム教のグローバルな聖戦(ジハード)が始まっていると言うことです。

ロシアが行ったウクライナのクリミア半島侵攻は、宣戦布告をせず、非正規軍を送り込んで制圧しました。このような戦争をIISSは「ハイブリッド戦争」と規定したそうです。
「無人機やミサイルなどのハイテク兵器が使われるようになれば、ハイブリッド戦争は将来、もっと重要な戦法となるだろう。通常軍はそうしたゲリラ的な部隊と、軍事的ではない戦い方を迫られることになる」と言うのがIISSの出した結論です。

ロシア、そしてISIL(イスラム国)を意識した報告のようですが、南シナ海を巡る米中戦争もこの様相を呈してきました。
このアングロサクソンの報告は、もしかしたら南シナ海の米軍を活動しやすくする援護かも知れませんね。

ロシアのクリミア侵攻は、日本にとって困った紛争でした。欧州に反ロシア意識が巻き起こり、アメリカがそれに呼応しましたから。
安倍政権は、中共との対決の駒を進めていたところでした。ロシアを日米同盟側に入れないと対中共戦略がうまく行かないからですね。

日米同盟が反中で一致しないと、東アジアは中共の脅威の前になすすべがありません。「軸足(ピポット)をアジアに移す」と宣言したアメリカですが、アメリカ国内の金融筋がロシアの資源とロシア市場を狙ってアメリカ政府に対決させようと躍起になっていましたから、オバマ政権はロシアと対決せざるを得なかったのでしょう。

この隙に中共はロシアに接近します。習政権の巧みな読みがあったわけです。しかしプーチン大統領はなかなか本音を見せません。その間に安倍首相はアメリカ説得に動き始めます。

中共の東シナ海への介入や、南シナ海での基地建設が国際法違反であることをアメリカは承知していましたが、オバマ政権はそれで動くまでは出来なかったようです。
しかしここで習政権が経済面で挑戦的な動きをします。AIIBの設立です。ドルの覇権に真っ向から対決する人民元の戦略でした。いわばアメリカへの言葉なき宣戦布告です。

これで中共はアメリカ国内のユダヤロビーまで敵に回してしまったようです。盛んに「ロシアを叩け」と叫んでいたユダヤロビーですが、AIIBの問題で抑え込まれたようですね。もしかしたら英国のAIIB参加表明は、こうなることを狙ったものだったのかも知れません。

そして安倍首相の訪米となり、日米同盟が対中共に向けて動き始めたわけです。習政権は沖縄に集結させた日本のサヨクを使って、アメリカに対抗しようとしているようです。

安倍首相は、これから日本の安全保障のための法改正に必死にならなければなりません。
その法案とは、1)武力攻撃事態法改正、2)周辺事態法改正、3)自衛隊法改正・・の3つの法案です。ほかにもいくつか法案が出ていますが、この3つが成立しませんとアメリカとの同盟関係が成り立たないと思います。

これを阻止するために日本のサヨクもまた中共の援護を受けて必死に戦うはずです。その戦場が沖縄になるかも知れません。まあこれは内乱の一種でしょうね。
先日の民主党・岡田氏との党首討論で、戦後70年の日本の安全を守ったものとして、安倍首相は「日米安保」を指摘し、岡田議員は「憲法9条」を上げました。(憲法9条が日本を守ったとは、どうしても思えませんけどね。国内を混乱させている要因でしかないのでは?)

1960年の安保改正の時、ソビエトの援護を受けた社会党が学生などを使って安保反対に走り、社会党内の反ソ議員が立ち上がって民社党を作り、社会党分裂となったわけですが、今回もまた民主党が割れるような気がします。

上記3法案を通す約束が安倍・オバマ会談でなされ、それを受けたアメリカがその後「対中強硬姿勢」に代わります。
また欧州連合は、ウクライナなど旧ソ連6カ国と関係強化を図る枠組み「東方パートナーシップ」の会議で、記者団に向かってEU大統領が、この枠組みは「ロシアに敵対するものではない」と述べました。
ウクライナ問題は長い歴史を持った問題であり、解決などはしないでしょうが、しばらくはおとなしくしているようです。

アメリカは、中共が建設している南沙諸島の基地に対し、米軍による「警戒・監視活動を継続する」と発表しました。ラッセル米国務次官補の記者会見での発言です。
このことはケリー長官が北京で習主席にくぎを刺したことから始まっています。

それから、南シナ海の海域で対潜哨戒機P8の監視活動が始まり、これに対し中共側は「こちらは中国海軍。退去せよ」との警告を発信しています。
これに対しラッセル米国務次官補は、「人工島の周辺は国際海・空域であり、航行の自由の権利を行使する」と述べました。明確に「国際法違反は中共側だ」と述べたわけですね。
中共はこれに対し、「言動を慎むよう求める。私たちは関係地域に対する監視を密にし、必要に応じて適切な措置を取る」と語りました。
アメリカの副大統領がこれに応じ、「公平で平和的な紛争の解決と航行の自由のために、米国はたじろぐことなく立ち上がる」と一歩も譲りません。

日米同盟が動くかどうか、舞台は日本の国会の場、上記3法案が成立するかどうかにかかってきました。

習政権の南沙の基地設置(国際法違反)を軍事的に阻止出来るかどうか、ロシア・プーチン大統領を日米同盟側に持ってこれるかどうか・・・
地球を俯瞰する安倍政権の戦いは、いよいよ国会での法案成立の審議に移ってきましたね。

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