2015年5月11日月曜日

どうなるか、大阪都構想

大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長が提案した「大阪都構想」です。橋下氏がどうしてこの構想を提案したのか、その理由は現在「大阪府」と「大阪市」の2重行政になっていて、無駄があるという発想から生まれたもののようです。

先月の統一地方選挙では、維新の党傘下の地域政党「大阪維新の会」で、大阪府議と大阪市議で第一党の維持が確実となり、「大阪都構想」の実現に向けて弾みがついていました。
「東京一極でなく、(東京と)大阪に2極を作っていく中身が理解されれば、必ず支持は広がる」という松井一郎大阪府知事(維新の党顧問)は、住民投票に向けて党内を引き締めました。

5月17日、都構想の是非を決める住民投票がなされます。大阪市議選の時に共同通信が実施した出口調査によると、都構想への賛成は53・3%、反対は42・6%だったそうです。

確かに東京一極集中の国家行政はあまりにも危険です。東京が大震災や富士山の噴火などで機能マヒとなれば、その影響を受けるのは日本だけではありません。世界中が機能不全に陥るものもあるのです。
ですから大阪を東京のバックアップとする構想は必要なのかも知れません。

しかし、自民党には反対する声も多くあるようです。谷垣禎一幹事長は、「『都構想』という立派な名前で呼んでいるが、要は『羊頭狗肉』だ。大阪市を解体して弱くするだけだ」と批判しました。
菅官房長官は、「法令の手続きに従って地域の判断に委ねられる。これから政府としても、どのような結果になるか注視していきたい」と述べるに留まっています。

維新の会が憲法改正に積極的であることから、安倍首相はこの橋下氏へエールを送っていますが、本当はどうなんでしょうか。
自民党近畿ブロックは、大阪都構想について、「二重行政の廃止による効果額は限りなくゼロに近い。大阪府から政令指定都市がなくなることによって、大きな損失を生ずる」と、調査した結果をもとに「都構想反対」の立場を取りました。

この「大阪都構想」が危険な構想であることを、真っ向から表明したのが京都大学の藤井聡教授です。
藤井教授は、テレビなどで大阪都構想が極めて危険な政策だと言うことを発信しました。そうしたら大阪維新の会が藤井教授の発言を批判したのです。批判するだけでなく言論封殺という暴挙に出てしまったようなのです。
討論しようにも、維新の会が藤井教授という人物に対して誹謗中傷のヘイトスピーチを繰り返し、藤井教授がテレビなどに出ることを実質上規制してしまったのです。

明らかな言論弾圧として、藤井教授はインターネットでの戦いを始めました。
大阪都構想は、行政サービスの劣化を伴い、そして経済的には「むしろ非効率になる」と言うのが藤井教授の言い分です。
そしてそこには現実に起こるであろう経済面での計算値が出ています。

これに呼応するかのように、同じ京都大学名誉教授の河田恵昭氏が、「都構想で大阪はボロボロになる」と発言します。
さらに大阪府立大学名誉教授の小林宏至氏も「大阪市と大阪府は無駄な二重行政ではない」と、維新の会に反論しました。
そして、甲南大学名誉教授の高寄昇三氏も「都構想のような制度変更は不要である」と述べ、京都府立大学の広原盛明氏も「住民を無視した’カネ’のビジョンしかない!」と言いだしました。

そしてさらに多くの大学の教授たちも都構想の危険性を指摘し、反論を始めたのです。

藤井教授は、都構想で無駄を省いて確保される金額が3億円そこそこと計算し、それ以上のディスメリットがあることを大阪市民に告げました。

その結果、現在は反対が47・8%、賛成が39・5%となって、反対が8.3ポイント上回りました。
大阪維新の会の今井豊副代表は、「厳しい数字だが射程範囲。ピッチを上げて、丁寧な説明を繰り返していく」としています。

17日に迫る住民投票です。さて、どういう判断を大阪市民はするでしょうか・・・

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