2014年10月26日日曜日

日本のエボラ対策、国際貢献始まる

致死率70%以上、接触感染から飛まつ感染を経て、もしかしたら空気感染にもなる恐れのあるエボラ出血熱がアフリカからアメリカやフランスなどに広がっています。
各国とも厳格な医療体制を取っていますが、いまだ確立した治療法もなく、航空機などの交通網の発達から、世界的流行、即ちバンデミックの恐れすら出てきたエボラウイルスです。

国連エボラ緊急対応支援団(UNMEER)のバンベリー代表は、ガーナの首都アクラで「状況を好転させるため60日以内に感染者の7割を治療し(遺体の)7割を適切に埋葬する必要がある」と述べ、「高い目標だが、国際社会の取り組みがあれば成し遂げられる」と希望を述べたのです。(つまり出来なければ人類絶滅・・・)

エボラ出血熱の発症の地「ギニア」では、9月14日までに疑い例も含め、エボラ熱に942人が感染し、うち601人が死亡したそうです。
このような現状から社会不安が生まれ、政府や外国の支援団体がエボラ熱を拡散させているという風説が流れて、地元政府の職員や記者ら計8人が住民らに襲撃されて行方不明になり、その後に遺体で見つかったそうです。3人はのどを切り裂かれていたとか。

また、流行しているリベリアでは非常事態宣言に伴う帰国命令に従わずに国外に留まっている政府高官も居るとか。
リベリアの大統領府は、「国家的惨事に対する無神経さを露呈し、大統領の権限を軽視した」として帰らない高官10人を解雇し、その名前を公表したそうです。
世界的流行となってしまえば、世界のどこに居ても感染の可能性はあるわけですから、ここは急いで帰国して、流行抑止に協力すればいいのに、自分だけ助かろうと言う浅はかな官僚が、アフリカにも居るのですね。

人類絶滅をも彷彿とさせる病気の流行が心配される中、ついに日本政府はエボラ出血熱対策として、世界保健機関(WHO)などに2200万ドル(約24億円)の緊急無償資金協力を行うと発表しました。
これは9月25日の国連総会で安倍首相が表明した4000万ドル(約44億円)の一部と言うことです。

これだけなら「また日本は金だけ出すのか」と言われそうですが、すでに国連の潘基文事務総長と電話会談を行い、エボラ出血熱の抑止に向けて協力していく方針を確認しています。
また、加藤勝信官房副長官はアメリカ国内でエボラ出血熱の感染が確認されたことから、「内閣官房を中心に関係省庁と準備、連絡態勢を確認し、随時情報を共有していきたい」と、日本の体制を示唆しました。

富士フイルムグループの富山化学工業が開発した「アビガン錠」が、リベリアから感染して帰国したフランスの看護婦に投与され完治したという報告がなされてから、フランスとギニアでこの薬の臨床実験が始まりました。
臨床実験の結果はまだ判りませんが、富山化学工業では現在2万人分の「アビガン錠」の準備はあるとか。

また、愛知県豊橋市のフィルター製造会社「くればぁ」が開発したマスクがエボラウイルスを99%殺菌できることが判り、同社はエボラ出血熱の院内感染対策として1万枚をリベリア、ギニア、コンゴの3カ国に寄贈したと言うことです。
このマスクは、1枚7980円で販売中のもので、決して安くはありません。しかし洗浄して何度でも繰り返し使えるのが特徴ということですが・・・リベリア、ギニア、コンゴの水事情はどうなのでしょうか。洗浄可能なのでしょうか?

「アビガン錠」にしても「くればぁ・マスク」にしてもお金が掛かることは致し方ありません。今後の感染拡大を考えれば、2万人分とか1万枚では不足する可能性が大きいわけです。
安倍首相は10月17日のアジア欧州会議の席上で、エボラ出血熱対策について「日本としてもさらなる支援を検討している」と述べ、4000万ドルにさらに上乗せする考えを示しました。
その上で専門家の派遣も準備中であることを表明し、「国際社会の支援の手は緩めるべきではない」と強調したとか。

リベリアのサーリーフ大統領は、我が国に対し自衛隊などからなる緊急医療隊の派遣を要請したそうです。不安から風評被害が危険な状態になった場合、民間医療チームでは対処不能となることを危惧したからではないでしょうか。
ですから我が国の正規軍である自衛隊の緊急医療隊の派遣を求めたのだとしたら、リベリア共和国と我が国の軍隊に対する認識の違いが気になります。
江渡聡徳防衛相は、「わが国はすでに物的、財政的支援を行ってきている。防衛省としても関係省庁と連携してどのような貢献ができるか検討したい」などと述べております。
風評で錯乱した住民が武器などを持って医療隊を襲った場合、自衛隊は自主防御出来ません。行動規範がネガティブリストではないからです。
しかし、この非常識な規範をリベリア共和国の大統領に説明することは難しいでしょう。
このようなことを、日本の平和主義者はどのように考えるのでしょうか。一刻も早くネガティブリストという常識に変更しないと、世界が迷惑することになるのです。

平和主義者は、人類絶滅の危機を前にしてもヘイワヘイワと言うだけなのでしょうか。思考停止状態とは恐ろしいものですね。エボラウイルスは、どんな平和主義者も容赦なく襲うでしょうに。

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