2013年12月15日日曜日

NHKが上告、一万人訴訟

NHKスペシャル「シリーズJAPANデビュー」の第1回「アジアの“一等国”」が、事実を歪曲して報道したことで、怒った視聴者が10000人を超えて集まり訴訟した裁判です。
核になったのは「チャンネル桜」という衛星放送とネット放送を行っている企業で、寄付を集めて訴訟費用に充てたり、独自の取材で台湾の被害者などから情報を集めておりました。

東京地裁は、この訴えを棄却しました。NHK側の言い分を全面的に認め、原告側敗訴としたわけですが、原告側が高裁に上告し、11月に原告側の一部の訴え「原告女性に対する差別的表現で、名誉を傷つけた」という訴えを正統と認め、NHK側に100万円の支払を命じたのです。

さらに高裁はこの判決の中で、NHKの取材活動に対する態度、すなわちドキュメンタリー作成時に先入観を持ってしたことを指摘し、また、あきらかに日本語を忘れていて間違った言葉づかいをした原告側女性の発言をうまく利用して、自分が意図するシナリオに合わせるように捏造したことを批判しました。
多くの国民が感じているNHKの暴走に、やっと司法がくさびを打ち込んだわけです。

そして12月11日に、この判決を不服としてNHKはこの問題を最高裁に上告しました。
上告理由は、「高裁判決は名誉毀損(きそん)に関する従来の最高裁判断とは異なる。最高裁に上告し、判断を仰ぎたい。NHKの考えは裁判の中で主張していく」と言うことです。

上告は憲法に保障された権利ですから仕方ないとしても、この「名誉毀損(きそん)に関する従来の最高裁判断とは異なる」とはどういうことでしょうか?
高裁判決は「取材協力者の好意を土足で踏みにじるような結果を招いた」としたものですが、これまでの最高裁の判決は、「取材協力者の好意を土足で踏みにじっても、表現の自由は保障される」などと言うものだったのでしょうか?
もしそうなら、最高裁の過去の判例そのものが、「表現の自由は人権よりも上位にある」というものと考えられ、これは基本的人権を謳った憲法に違反するのではないでしょうか?

真実と事実は異なります。小説家は100%の嘘(妄想)を並べて小説を書きますが、その中で人間の真実というものを描き出すわけです。
NHKは、100%の事実を撮った映像を巧みに編集して、ありもしない虚妄のシナリオに合わせて、この訴訟対象となった番組を作り上げています、つまり100%の事実を並べて嘘を付いているわけです。
それを「表現の自由」として認めて良いものでしょうか?
しかもそれを「ドキュメンタリー」として放送したのですから、あきらかに行き過ぎであることは誰でも解ることです。

この訴訟とは関係はありませんが、今NHKは大きな技術革新の波に迫られています。
「公共の電波」は60年前の発想で、今は携帯電話などでも解るように、個人に与えられる電波となっています。
電波が一方向性の通信手段であった時代に出来たNHKのビジネスモデルは、このような技術革新の前で破綻していることは明らかなのです。
もう「受信機を持っているなら受信料を払え」と言うことは出来ません。これは60年前の考え方なのです。
デジタル技術が進歩し、電波法が改正され、テレビもデジタル化されて、携帯電話用のバンドが増やされました。技術革新が電波法という法律を変えたわけです。世界の潮流だったからでしょうけど・・・

しかし、放送法はまだ変わっていません。外圧が無いからでしょうね。
この放送法の中にNHKのビジネスモデルがあるわけで、いわゆる戦後の既得権としてNHKの集金手法が守られているわけです。
NHKが受信料を下げたり、民放もどきの大衆迎合番組を作るのも、すべてはこの放送法で守られた既得権を維持したいがためであり、決して国民のためではないことを認識しましょう。

最高裁が、どこまでこのデジタル化による技術革新に対して、法整備が遅れていることを指摘するでしょうか?
NHKにまつわる多くの疑問点は、すべてこの技術革新に対する放送法の未整備(放置)が原因なのです。
「テレビ受像機を持っていなくても、携帯電話にワンセグでNHKが映るならば払っていただきます。これは法律ですから・・・」とは、私がNHKに契約解除を申し入れた時のNHK側の回答でした。
聞くところ、NHKの受信料は国民の50%くらいしか払っていないと言います。つまり放送法は、多くの国民を犯罪者にしているという理不尽な法律ということにもなります。

最高裁は、高裁の判決を「憲法」に対して正当であるかどうかを判断するところのはずですね。
今の放送法は憲法に対してどうなのか、技術革新で変った放送現場の現実に合わせ、放送法の改正をしないことは国会の責任(怠慢)・・・などというような踏み込んだ判決も期待したいですね。

判決を待ちましょう。

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