2013年12月19日木曜日

米中衝突、始まった米中太平洋戦争

12月16日、中共の艦船が南シナ海で米イージス巡洋艦カウペンスに異常接近した問題について、国務省のハーフ副報道官が「中共政府に対して高いレベルで問題提起した」と述べ、高官級で抗議したことを記者会見で述べました。

イージス巡洋艦カウペンスは、南シナ海の公海上で空母「遼寧」の訓練について情報収集をしていたところ、別の中共艦船が進路を妨害してきたという事件です。

このアメリカの言い分に対して、中共側は「正常なパトロール中に米海軍艦船と遭遇し、規定に基づいて厳格に適切な処置をとった」と反論してきました。
当然この「規定」とは国際規定ではなく、中共国内で勝手に決めた規定なのでしょうね。

南シナ海の覇権とは、すなわち「どの国の法律がその海域に適用されるか」という問題なのです。アメリカが言う国際的な取り決めは、すべて国際会議で決められたもの。その席に中共の代表が居ようと居まいと決定には従わなくてはならないはずです。
しかし、そこが領海と言い張る中共にとって、アメリカがそれを認めればそこは中共の領海になるとの判断があって、この暴挙に出たようです。

このように覇権を争って衝突することが、すなわち戦争なのですよね。

次第にアメリカのテンションも上がってきているようです。中共派閥(中共既得権でロビー活動で稼ぐ人々)なども居てまだまだ反中意識は低いようですが、ウォレス・グレグソン元米国防次官補と、米国防長官室に居た元政策スタッフのジョアナ・テイラー氏が、アメリカの雑誌(ナショナル・インタレスト)で、「東シナ海は日米合同で哨戒せよ」という提言をしております。
またこの中で、「南シナ海でも防空圏を認めるな」とも述べ、今後のアメリカの対中戦略としても、きわめて当然な提言になっています。

内容は、先ず最初に中共が打ってきた戦略についてです。
「『東シナ海防空識別圏』を新たに宣言することで2つの戦略的な手を打った。」として、1)米同盟国に直接挑戦したこと。 2)標準的な国際慣行とは相いれない一連のルールを意図的に設定したこと。 という2点を挙げています。

そして、「米国は、アジア太平洋地域の同盟体制における北方の拠点を維持することを目指し、海洋(とその上空)の自由の保証人を(アメリカが)自任するのであれば、協調し首尾一貫した戦略的な措置を自らも講じる必要がある。」とするアメリカの立場を表明し、「この中共の新防空圏を存続させるなら、日米同盟の能力を強化するほか選択肢はないと正式通告すべき」と述べて、その通告の裏づけとして「日米の空、海兵力で尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の合同哨戒を行う」ことと、「2年に1度行われる『リムパック(環太平洋合同演習)』への中共の招待も取り消す」という2つの提案を当面は行うべきとしております。

さらに長期的な政策として・・・
1)公海上の自由の定義を強く唱えよ。(ルールを変えさせるな)
2)米国は領有権が争われる上空に設けた防空圏を一切認めないと表明する。
3)中共の台頭は、「日本との適切な同等の関係を受容せずして平和的にはなり得ない」ことを明確にする。
と3つのアメリカの政策を立案しております。

この3番目の提起について、この提言書には、「米国は米中関係の『より大きな構図』に関心を集中するあまり、地域レベルで泡立ち沸騰する緊張を見落している」とアメリカのこれまでの政策を批判し、「米国は、地域の現状維持大国日本と勃興する地域大国中国との対立関係を慎重に管理する必要がある。中共は現在、地域での日本の主導的役割を容認し難い状況にある(日本が中共を含む地域の経済発展に大きく貢献したのに、である)」として、アメリカの管理責任を述べております。

そして最後に、具体的な行動として・・・
1)日米同盟の深化と能力増大への取り組みを強化する。
2)東南アジアの連携諸国に海の領域について認識を促す。
3)米議会勧告通り米国と同盟の整合性ある軍事戦略を策定し発表する。
と述べております。

ここまで述べた後に、米中関係を気にしてか「中共への敵対的意図を否定し対立の激化や中国本土攻撃の回避を目指す」と述べた上で、「長期紛争では同盟・連携諸国に積極的かつ効果的な不退転の防衛を確約する国防戦略は不可欠」として、「米国の限界を測ろうとの(中共の)挑戦を抑止」して、「米国の意図を歪曲し扇動する中共国内の特定利益集団を無力化する」と述べています。

今、米中太平洋戦争は「実弾が飛ばない」ぎりぎりの状況での「ブラフ(威嚇)」の応酬になろうとしています。敗戦後の占領時に布告された「憲法」に、今だ振り回されている日本。残念ながらこのアメリカの戦略に乗るしかないのではないでしょうか?

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