2013年9月5日木曜日

マイクロソフト社、ノキア携帯部門を買収

スマホでは遅れを取ったマイクロソフトが、ついに携帯電話の会社を買収しました。ノキアというフィンランドの電気通信機器メーカーが持っていた「携帯端末事業部」を買い取ったのです。
ノキア社は携帯電話では欧州を席巻した企業。いくつかの特許も持っています。その特許の使用権も含めて約54億4000万ユーロ(約7140億円)で買収したそうです。

マイクロソフト社の最高経営責任者・スティーブ・バルマー氏(57歳)は、「未来に向けた大胆な一歩だ。革新的なスマホを多くの人々に届ける」とその目的を語っています。
2010年にマイクロソフト社を辞めてノキア社に移ったスティーブン・エロップCEO(49歳)も買収完了時にはマイクロソフト社に戻ると言いますから、どうやら相当周到に準備した買収劇だったようです。
ノキアの従業員約3万2000人は、マイクロソフト社に移籍するそうです。

マイクロソフト社はどのような戦略を考えているのでしょうか?
脅威となっているのはアップル社が開発したスマートフォンです。スマートフォンは携帯電話とは違って、通信回線を使った超小型コンピュータで、いわゆるThinClient Computer(端末機能パソコン)に該当します。
最初はノート型パソコンがそうなる予定でした。しかし、ノートにはほとんど全てのパソコン機能が搭載されてしまい、携帯電話と言うジャンルだけがパソコンと切り離されていました。そしてその電話の「iMode」だけが、次第に人気を持ってきたのです。

アップル社のスティーブ・ジョブズ氏によって、携帯電話器というジャンルを使って、うまくThinClientを取られてしまったマイクロソフト。スマートフォンとして、そのデザインセンスの良さと、携帯電話の代わりになり、電話回線でインターネットにアクセス可能となった衝撃は、世界中の一般ユーザから圧倒的な人気を得て、現在に至っております。

ここで止まっていればマイクロソフト社と棲み分けたのかも知れませんが、WiMAXの普及などで次第に事情が変わってきてしまいました。
スティーブ・ジョブズ氏の思惑からも外れて、スマホがどんどんパソコンに近づいてきたからです。クラウド・タイプの情報処理が普及し始め、最近では日本でも最も保守的な業界の一つと言われる「植木業界」ですら、スマホを使ったインターネット(ASP)による在庫管理システムなどを業者間で使い始めています。
http://www.edoichiba.jp/ueki-g/gam/

また、最近始まった自動車の無人運転システムの開発などは、スマホを使ったリモコンが玩具だけでなく、実生活にも入り込もうとしている状況にあることを意味します。
マイクロソフト社にとって、もはやパソコンとスマホを別けて考えることが出来なくなったのは当然のことでしょう。
それがこのノキア買収の背後にあった事情だと思います。どうしても電話のインフラと直結する企業が欲しかったわけですね。

マイクロソフト社が今後行う開発の方向は、パソコンとスマホの境界を薄め、合体にもっていくことではないでしょうか?
スマホに大きなディスプレイとキーボード、そしてハードディスクをつなげばパソコンとなり、切り離せばスマホになることは、現在でも可能なはずです。台湾のメーカーがそういうコンセプトを発表していましたね。

技術的には簡単でも、世の中はそう簡単ではありません。業界の「棲み分け」というものがあります。
電話会社と家電業界、そしてテレビ局とインターネット配信業者など、それぞれが今までは「棲み分け」ていて、その境界を危うくする者には噛みついて潰してきました。
最近ではパナソニックのスマートビエラとテレビ局(民法)の争いがありましたね。

この「棲み分け」に、マイクロソフト社は挑むのです。その前哨戦がノキアの買収であったことは間違いないでしょう。
スポンサーが激減しているテレビ局は、インターネットを取り込んで起死回生を掛けるしかない状況にありながら、それでも争う「棲み分け」です。
インターネット回線とテレビ電波がどうなっていくのかも不透明です。しかし電話回線もデジタル化し、テレビ電波もデジタル化しています。技術的な境界線は取り払われているのです。
いつまでも過去の「棲み分け」にこだわっていると未来を失います。新しい棲み分けを積極的に生み出さなければなりません。

携帯電話1回線さえ契約すれば、電話からテレビ、インターネットまですべてが送受信可能となり、さらにビジネスに使うアプリケーションも、電話会議にも、常にどこでも使えるようになるはずです。
現在それが出来ないのは、古い業界の「棲み分け」が原因です。フィンランドはそれを打破することができるでしょうか? そして世界に新しいビジネスモデルを提示できるでしょうか?

マイクロソフト社は、その責任を果たすためにノキアを買収したようですね。
日本でも、早くテレビ電波と通信回線の融合を図って、ユーザへの利便性提供を政府と業界が積極的に進めないと、日本の企業がすべて「ガラパゴス・カンパニー」になってしまいますよ・・・

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