2012年6月3日日曜日

東京都の尖閣購入は、浮足立った強硬路線なのか?


ジャーナリストの笹幸恵氏が、産経に「(尖閣購入は)浮足立った強硬路線」という記事を寄せていました。
 http://sankei.jp.msn.com/column/topics/column-14798-t1.htm
この中で笹氏は、石原都知事が「尖閣諸島は東京都が守る」「国がやらないなら自分たちがやる」と発言したことに対して、「国境を形成する重要な島だ。東京都ではなく、国が守っていくのが道理ではないか」という意見であり、「一自治体が、いや正確には一知事が、議会に諮ってもいないのに地権者との個人的な話し合いによって何事かを決め、国政を左右することが果たして許されるのか。」と疑問を呈しています。

まあ、国民が行っている「尖閣の寄付」についての、「寄付しないのは愛国心が足りない」とか「寄付は日本人としての義務」という風潮は、確かに行き過ぎであり、自重が必要でしょう。寄付とは個人の自由意志で行うものですから。
こうなってしまうのは、やはり今までの日本国民の中にあったフラストレーションが、石原発言で一気に表面化したからだと思います。

ただ尖閣の攻防については、明確な敵がいるわけです・・中共という。
日本固有の領土・領海である尖閣海域に対して、「日本の実効支配を終わらせる企み」を公言し、その領有を宣言してきた中共。
あきらかな侵略であり、戦争行為である中共の企ては、本来、日本国家として放置出来ないものであるはずです。

日本政府が、この戦争行為に対して「及び腰」なのは、何と言っても憲法問題があるからだと思います。
国土防衛であるから憲法の問題は無いと言ってはみても、戦争は戦争です。
戦争放棄の憲法で戦えるのか、有事の自衛隊をどう扱ったらいいのか、戦時政府はどう作ればいいのかなど、やりたくないことばかりで、それゆえに腰が引けてしまうのでしょう。

石原都知事は、もともと衆議院議員でした。「国家がやるべきこと」ということは判っているにしても、同時にあの政府では何も出来ないだろう、ということも判っているはずです。
笹氏の意見はそこが理解されていないように思います。ですから正攻法の発言になっているのでしょう。
正攻法では戦えないからこそ、石原都知事は「仕掛け」たのではないでしょうか?

中共の侵略がどのように行われるかは、南沙諸島の例をみれば明らかでしょう。先手を打たなければなりません。
即ち、尖閣諸島への上陸と、何らかの施設の構築です。尖閣諸島が日本の領土である以上、これらの行為は何ら法的問題の無い行為です。
しかし都には出来ても、政府はこのようなことが出来ません。「中共を刺激しない」という発想は、中共との取引で成り立っている(マスコミも含む)一部経済界の都合であり、中共支援(ODAなど)でそのペイバックの恩恵を受けている(かもしれない)一部政治関係者の都合から出てくる発想です。
この発想から、尖閣の借上げと「日本人の立ち入り禁止」となっている現在の状態があるのでしょう。
この現状をどうやって打破するか、それが石原氏の熟慮した「仕掛け」だと思います。(浮き足立った強硬路線とは言えないでしょう)

来年の4月に政府借り上げの期間が切れます。尖閣購入の寄付はその頃10億を超えているでしょう。持ち主の民間人は東京都への売却を決意しているようですし、石原都知事は都民の理解は得られているとして購入に踏み切るでしょう。これが権力行使というものです。
そして約束道り、避難港建設が始まったとしても、日本側の法的には何の問題もありません。
政府に対して中共から激しい恫喝が入るだけです。何の法的根拠も無い恫喝ですが。

東京都は、一つの権利として粛々と港の建設を進めればいいだけです。中共の軍艦が出てくるまでは。
軍事行動が始まってしまえば、あとは確かに「一自治体や一知事が対処する問題」ではなくなります。
いやでも戦時内閣となって、東京都の意思ではなく、「国家の意思」を貫かなければなりません。そしてその核になるのは我々国民であることも覚悟しましょう。

笹氏のもう一つの懸念、「かつて軍部が満州で拡大路線に走った裏には、国民の圧倒的支持があった」そして「だからこそ政府は追認せざるを得なかった」ということ。すなわち、国民のフラストレーションを背景にした圧倒的支持が、戦争を誘発して悲劇が起きたという大東亜戦争の解釈です。また同じことが起きると言う・・・
しかしあの時、軍部が満州で拡大路線に走ったのは、ソビエトの南下に備えてのこと。政府がそれを追認せざるを得なかったのも同じ理由。決して国民世論に動かされて行ったことではないでしょうに。

ただ、あの時も仕掛けたのは中国共産党(毛沢東一派)でした。今度も侵略の意図は中国共産党側にあります。
ここだけは同じなので、ちょっと心配もありますけど・・・

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