2012年4月21日土曜日

日本は「略奪大国」? ジェームス・スキナー氏の話


産経に、アメリカ人の経営コンサルタント、ジェームス・スキナー氏(47歳)の本の紹介記事が載っていました。
その本のタイトルは「略奪大国」。

いかにもアメリカ人らしい考え方です。
即ち日本国民の預貯金が、金融機関を通じて国債に流れている構図を示して、「政府が借金を背負い、国債を発行することが経済システムをゆがめる。借りたお金を社会保障に注ぎ込むため、(運用益も出ず)元金返済のメドも立たない」と述べているわけです。
日本政府には通貨発行権があることをご存知ないのでしょうか? 運用益など出なくても政府の元金返済は可能なのですよ。インフレになるからやりたくないだけでしょう。日本は「略奪大国」などではありません。

アメリカには預貯金が余り無く、ほとんどの蓄えは自己責任の株式投資などになり、常に金利が問題となって、買い替えなどで運用益を出すことが常識なのでしょう。
しかし、日本では株式運用によって利益を出すことを「好ましい行為」と思わない価値観があることをご存知ないのでしょうか?

ジェームス氏は、「赤字国債の発行をやめる。国が通貨の価値を一定に保ち、銀行などの金融各社が本業に徹すること」と述べております。
では、このところ値上がりを続けている「円」をどのようにして下げたらいいのか、それも教えて欲しいものですね。(それが出来れば、デフレの処方箋になるでしょう)

銀行にある国民の預金は、ほとんどが老後の資金です。あるいは孫の教育資金であったり、自己資本での事業資金であったりもするでしょうが、ほとんどが無目的預金。
株式などの運用については、日本国民は「博打」のように考えています。投資と投機の区別もはっきりと持ってはいないでしょう。

ご承知のように、お金は銀行内部にあるときは「銀行の借金」となります。
経済のグローバル化という掛け声で、日本の預金者の一部はアメリカのように投資に回したりもしました。三菱銀行と住友銀行は、アメリカ金融の手先のようになって、「安全な投資信託」などを売りまくったのではないでしょうか? 銀行の借金を減らすために。
そしてその後、あの「リーマンショック」が来たのです。損失は確実に自己責任となり、損切りをしたお金は再び預金に戻ります。
日本人の価値観には「労働して得たお金が本物」という概念があります。ですから損をした人たちにとって、このリーマンショックは天罰のようなもの。最近はこの概念、確かに薄れてはいますけど・・・

1000兆円に近い国民の預金総額。リーマンショックで銀行は損したかも知れませんが、預金の払い戻しに支障は出ておりません。預金者からの払い戻し要求があれば、いつでもお札を刷って支払うことができるからです。なぜなら、すべては「円」なのですから・・・

政府の国債残高も1000兆円近くあります。ちょうどこの預金を借りて、循環させているようなもの。なぜそれでもいいかと言うと、そのお金が生産を促し、公共施設などが作られるからです。
公共投資ならば、生産した結果が国民の取得となり、お金は再び銀行に戻ってきます。この循環を続けますと、国債発行残高がますます膨らむことは確かです。しかし、もっと国債残高が増えても、問題はないことも確かなのですけど。

なぜなら、日本国債は「円」で運用されているからです。日本政府が国債償還の資金が無いと焦っているのは、乗り換え国債の発行を自分で抑えているからです。
乗り換え国債の発行は、国債残高をそれほど増やしません。金利分が増えるだけですが、その金利は今のところ低く抑えられております。

税金を上げて国の借金を減らすということは、ようするに国民の預金と政府の借金を相殺しようとする行為です。国家の経済規模が縮小するだけで、生産性を下げ、何のメリットも生み出しません。
国債の償還を、政府が通貨発行権を使って行う場合のみ、経済規模を膨らませ、税収も上がり、預金も目減りを嫌って市中に出てくることが出来るのです。

これを行えば勿論インフレになります。そしてインフレこそ、デフレの最適な処方箋です。
デフレを脱却して、インフレが進みすぎたら・・・ご心配なく、そのときこそ消費税率増のチャンスなのですよ。

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