2012年1月11日水曜日

盛り上がりに欠ける、アメリカ大統領選挙


今年の11月はアメリカの大統領選挙です。民主党からはオバマ大統領が立候補するので、候補選択はありませんが、共和党は現在野党ですから、誰が大統領候補に指名されるかが注目されるのですが、どうも今回は盛り上がりに欠けるようです。

いちおう、ミット・ロムニー氏がトップを走っておりますが、まだ決定打はありません。
そのロムにー氏を追い上げ、若者の熱狂的な支持を取った76歳のロン・ポール下院議員は、リバタリアニズムというイデオロギーを持った人。

リバタリアニズムとは、個人的な自由、経済的な自由の双方を重視する政治的イデオロギーで、彼の主張は「所得税の廃止」にまで踏み込んでいます。
しかも、日本も含め海外駐留米軍の全面撤退などの極端な主張も表明していますから、若者には人気があってもアメリカ保守の国民からは疑問符が突きつけられているようです。

しかし、このリバタリアニズムはアメリカの建国以来の主張であり、共和党の指向する「小さな政府」の基本概念でもあり、WASPの基本にある主張です。
「所得税などは共産主義者の発想」ということになるわけですね。
そして「海外に展開する米軍の存在が紛争を生んでいる」などとして「米軍の全面撤退や援助活動の停止」という一見「平和主義」のような主張もしています。
世界に対するアメリカの責任放棄のようにも聞こえますが・・・

今回の選挙が盛り上がらない理由は、この共和党の基本にある「小さな政府」が、今回のような不景気には政策が打てないという弱点があるからかも知れません。
国家がお金を使い、その資金で経済を浮上させるまで、大規模な投資を続けるしかないわけです。
ドルを大量に発行しても、政府が仕事を出さなければ、そのお金は金融のマネーゲームに消えていくだけ。
それを見ていた若者とか経済弱者が、「ウォール街を占拠せよ」と言う「格差是正を訴えて全米に広がったデモ」だったはずです。

民主党は「大きな政府」指向です。その民主党のオバマ大統領は、選挙を控えて少し優位に立っているようです。
昨年の暮れからニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は米経済指標の改善を好感して反発していますし、シカゴ地域の製造業景況感が予想より良かったようです。また、米中古住宅関連の指標も改善しました。
失業率はまだ高いですが、それでも9%台から8%半ばまで下がって来ています。
これによってアメリカの景気の先行きに楽観的な見方が広がったとか。

さらにオバマ大統領は、昨年、イラク、アフガニスタン戦争に区切りをつけ、アジア太平洋地域に戦略的な軸足を移す大転換に踏み出し、西太平洋、インド洋、アラビア海など海洋覇権を目指す中共を牽制する体制を作り上げつつあります。
そして次期オバマ政権の方針も、同盟国との関係強化だけでなく、ミャンマーやカンボジア、ラオスといった中共寄りの国にも、経済支援などで対中包囲網の形成を目指すことが明確になっています。

日米豪の準同盟は、東日本大震災でうまく機能しました。フィリピン、ベトナムとの軍事的連携を強化し、南シナ海への中共覇権の野望を早い段階で摘みとる方策も固まったのでしょう。
この3年間で、オバマ大統領は成長したようです。アメリカの責任が判ってきたようです。経済問題以前にやるべきことも。

だから共和党の候補指名の討論も意気が上がらないのかも知れませんね。
各候補とも、民主党との決定的な対抗軸を打ち出せておりません。

軍事的対立軸は中共にあることを認識し、その対策を真摯に打ち出したアメリカ大統領。それは歴史上オバマ大統領だけです。
(これまでの大統領は、あの大陸への経済的野心だけでしたからね)

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