2012年1月8日日曜日

ユーロは本当に崩壊するのか?


宇宙をコスモスと表現することがありますが、このコスモスは世界という意味でもありました。
遠い昔、ギリシャ時代からあった概念で、このころから「世界はひとつ」ということを志す人々もいたようです。即ち、国境のない世界が「平和なユートピア」を作り出すという発想でした。

そこでこのような概念を「コスモポリタニズム」といい、この実現に向かって努力する人々をコスモポリタンと申しました。
しかし夢想はともかく、現実には統治権というものがあり、地域がもっている生産性は常に不公平でした。
ですから、このような発想が実現することもなく、永い年月が過ぎていったわけです。

このコスモポリタニズムが、社会に影響を与えたであろうと思われるのは、17899年から始まったフランス革命で、コスモポリタンと自負する人々が登場してきます。
そして、1887年になると言語が異なり意思が通じないことが争いごとを生む現況、としてルドヴィーコ・ラザーロ・ザメンホフという人が世界共通語としての人工言語「エスペラント」を創作します。
もちろんこれは欧州だけを考えた共通語ですから、世界中には広がらないでしょうけど。

しかし、言語というものは民族の歴史の中で形作られてこそ言語なのであって、理論だけで例外事項を除いて設計された人工言語は、オタク的人々を除いて、国際社会で使われることはありませんでした。

やがて、この流れはロシア革命に引き継がれ、世界共産主義運動が生じ、暴力と権力主義を背景にしたコスモポリタニズムが実現して行きます。
欧州をひとつにしようとする、この共産主義革命は、欧州の歴史と伝統をも破壊するものとして恐れられたりもしましたが、しかし「権力を握るのはどこか」ということで、ドイツに発生した社会主義と対立します。
いわゆる国家社会主義=「ナチス」です。
優れた民族(ゲルマン)によって世界を統一するという指導者「ヒットラー」も、一種のコスモポリタンではないでしょうか?

第二次大戦によってナチスは崩壊します。そしてその次に出てきた「ソビエト連邦」も、権力構造が歪み、既得権が固まって自浄作用が働かなくなり、ついに自滅します。
コスモポリタニズムはその理想とは裏腹に、残虐な統治構造が形成され、うまくいかないことが次第にはっきりとしてきました。

そして、権力を持たせないで経済だけでいけばいいかもしれない・・とういう発想で開始されたものがユーロであろうと思います。
テストとしてまずは欧州だけでやってみようということで、ユーロが開始されました。
国家主権のひとつ、通貨発行権を欧州でひとつにするということで。

このコスモポリタニズムの流れを考えると、どうしてユーロ(EU)にギリシャを入れたのかが、心情的には理解できますね。
しかしそれが命取りになったようです。残念ですが、通貨発行権は国家の絶対的権利であって、そこに国家の意思が表出できないと、全体が破局するという見本になってしまいそうですね。

日本では、民主党の鳩山由紀夫内閣が、「日本は日本人だけのものではない」などと言っていましたが、これは鳩山由紀夫氏がコスモポリタニズムを標榜するという証だったのでしょう。
しかし、ナチスが崩壊しソビエト連邦が自滅し、ユーロが破綻の瀬戸際に立っていて、いまさら何がコスモポリタニズムなのでしょうか?

社会的理想とは、具体化すれば地獄ということは、社会システムとしては当たり前の出来事。
経済だけでも駄目だった・・がユーロの実験結果ではないでしょうか?
だから保守思想が重要なのだと思います。
改革を訴えて動いていた近代ですが、そろそろ現実の再建を考えないと、とんでもないことになってしまいますよ・・・

日本だけでなく、世界が。

0 件のコメント:

コメントを投稿