2011年5月28日土曜日

ソフトバンクのメガソーラ計画はうまく行くか

活動的なソフトバンク社長、孫正義氏。早速メガソーラに向けた「自然エネルギー協議会」を設立し、地方自治体などとの協議を始めた模様です。
大規模太陽光発電所(メガソーラー)を全国に設置すると言う計画、地方自治体も誘致活動に乗り出しました。しかしこの計画、もうひとつ盛り上がらないのは、いったいどういう計算で、どうやって事業化するのかが不透明なところではないでしょうか?

電気とは、実にややこしいエネルギーです。それを再生可能な自然エネルギーから取り出そうとすれば、ますます計算が複雑になり、やがて現実が見えなくなるのは当然のこと。
石炭とか石油、そして原子力までが、なんとか計算できて経済活動としてのエネルギー供給が可能となったようなもので、それでも今だ電気料金の計算はややこしく、そして不可解なはずです。
使用量が増えると、基本料金が変更になり、たくさん使った罰のような高額な請求がなされ、使用量が少なくなると(必死で節電すると)、急激に料金が下がったりします。

ここに再生可能エネルギーの電気買取システムなどを乗せるとますますややこしくなり、このようなややこしさが、不公平を生み出す温床になることは間違いないと思います。

そして、メガソーラ計画では、何メガワット時の発電設備を作るのか、そのためにどのくらいの広さの土地が必要なのか、発電量は曇りや雨の日を基準とするのか、それとも晴天の一番発電量の多い時を基準にするのか、夜間供給の責任をどうするのか、二次電池の設置をした時としない時、経営上どちらが有利なのか・・などについてまったく説明がありません。
場所の特定も、過去の気象条件をどこまで遡って調べるのか、その結論を出す条件はどのようなものなのか、それも伝わってきません。
伝わってくるのは、単に太陽光発電のクリーンなイメージと、脱原発という原子力発電のダーティなイメージを使った思考停止的活動のみです。

25日の孫社長の会見で、自治体が土地を提供し、ソフトバンクが資金、技術、運営面の大半を引き受けるという形になっています。
社長は「社会貢献をしたいが、赤字にならないように運営する」と述べました。黒字を確保して事業として成り立つビジネスモデルを確立し、後続の事業者が出てきて太陽光発電が普及することを期待するということです。

しかし、事業の前提として自然エネルギーで発電した電力の「全量買い取り制度」を訴えておりますから、どうしてもそこらへんに怪しい影が見えてきます。
現在の法律では、買い取り費用は電気代に上乗せされるため、国民の負担になることは間違いないようですし、アメリカの各州などでもやられている全量固定額買取制度は、普及するまでのつなぎ政策であって、やがてスマートグリッドのような時価相場制を取らないと、需要者が困ることになりかねません。

原発のコストが不透明になっていることで、いかにも太陽光発電が良いイメージで捉えられているようですが、社会インフラとしてはまだ不完全です。
スマートグリッドの方法ですと、コストの高い太陽光発電が組み込まれた電力ネットに、高温ガス炉の発電などが組み込まれますと価格が下がり、太陽光発電が不利となりますから、反原発の運動を起こして止めさせようとか、過去の事故保障もコストに入れさせようなどという不公平も出てくるかも知れません。
それでも耐えられるようなコストの太陽光発電システムが出来ればいいのですが、量子ドットの完成はまだまだ先のようですし、すぐに太陽光発電のみに頼れるエネルギーシステムへの移行はむりでしょう。

孫社長がどこまで頑張れるかは見ものですが、先行利益としての既得権などが発生しないように、また原発反対の圧力団体などに落ちぶれないように・・して欲しいですね。

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