2019年2月6日水曜日

日露交渉の行方

我が国は戦後一貫して北方領土4島の返還を要求してきました。従ってソビエトとの間には平和条約は結ばれておりません。

ロシアになった現在でも同じです。その結果ロシアの経済は今はもう韓国以下になっております。もっとも今後韓国経済がどこまで落ちていくか、北朝鮮のレベルまで落ちるかどうかによっては変わりますけど。

ソビエト連邦は、経済的失政によって消滅しました。いろいろ言われておりますが、私の見たところ共産主義には「減価償却」の発想がなく、一度出来上がった国家資本の生産設備を永久に使うつもりでいたために、技術革新の進む資本主義経済に負けて、生産性が下がり、そこに官僚主義の弊害が合わさって経済が疲弊してつぶれたのだろうと思っております。

ただし、東西冷戦構造があったために軍事技術だけは進歩していました。アメリカに放たれたスパイたちの活躍で、アメリカの軍事技術は盗み出され、東ドイツなどの技術者が奮闘してジェットエンジンやロケットエンジンを開発し、冷戦時代を持ちこたえていたわけです。

この1945年から1989年までの44年間続いた冷戦は、ロシアになってもなかなか復活しません。エリツィン大統領の時代に、ロシア国内の資源を石油メジャーに取られ、ロシア経済がどうにもならなくなりプーチン大統領がそれを受け継ぎます。

KGBから来たこの大統領は、冷戦時代に世界政治の裏側を熟知していました。ロシアの主権を守り、経済を発展させることが使命であるとして、ロシア資源を奪っていく外国勢力との闘いを開始します。
外国勢力は自由と民主主義を掲げロシアからの略奪を正当化する戦術を使います。それを知っているプーチン大統領は、マスコミを敵に回しながらも、ロシアの資源を外国に売り渡す売国奴たちを暗殺したり投獄したりして危機を乗り越えます。

こうしてロシア経済が資源輸出による経済に移行すると、石油メジャーたちは石油価格を操作してロシア経済をコントロールしようとし続けます。つまり石油や天然ガスの価格が上がるとロシア経済は活性化し、逆に下がるとロシア経済は危機に瀕すると言う訳です。

そしてロシアはロケットエンジンの技術を旧同盟国に渡しました。つまり中共や北朝鮮のロケット技術はロシア製になります。核技術はインドのカーン博士が世界中にばらまきましたから、そこから核物質さえあれば核爆弾を作れるようになりました。
かくしてインド、パキスタン、中共、北朝鮮は核ミサイル保有国になってしまいました。

しかしロシアはジェットエンジンの技術は出しませんでした。そして現在でも最新鋭のジェットエンジンは中共に輸出しておりません。(一つ古いエンジンを中共に輸出している)
ジェットエンジンはロケットエンジンよりも難しいようです。なぜならロケットエンジンは一度だけの使い捨てですが、ジェットエンジンは繰り返し使用しますし、メンテナンスが必要になるエンジンですから設計が難しいらしいのです。

軍事技術は、民間に応用されて生活に必要な商品となって経済的な効果を発揮します。インターネットやデジタル無線通信技術などの軍事技術は、現在は一般的に皆さんが利用し、その商品によって経済が成長していきます。

ここが現在のロシアのウィークポイントになっているようです。つまり軍事技術では世界に負けていないロシアですが、その技術を商品に出来ないという問題です。
欧米はそんなロシアに物を売りつけることは行っても、工場は資本投下としてしか作りません。資本を投下し生産労働にはロシア人を使い、利益は根こそぎ持って行ってしまうというやり方しか致しません。(これがグローバル資本主義です)

我が日本の経済支援は、作り方を教えるだけでなく、その運用、経営、利益の還元までを行います。その国の発展を助けるわけです。また、その国で作られた商品を買ったりもします。(これが瑞穂の国の資本主義です)
これを逆手に取ったのが中共です。その結果、悪魔のようなモンスターとなり世界中を中華思想で侵略しようとしております。(これが中華共産主義です)

ですからロシアが欲しいのはこの「瑞穂の国の資本主義」のような経済支援なのです。そしてそこに北方領土問題が立ちふさがっているという現実があるわけです。

ロシアのラブロフ外相は河野外相に対して、「第二次世界大戦の結果、あの4島はロシアの領土になった。それを日本も認めろ!」と怒鳴ってきたそうです。
しかしそれは「ヤルタ会談」で決めたことで。ヤルタ会談は密約ですから我が国は「そんなことは知らない」との正論を述べてきたのが、この戦後70年の「北方領土返還交渉の歴史」なのです。

我が国は「ポツダムでの宣言」を受け入れて条件降伏し、その後「サンフランシスコ条約」で戦後処理の精算をして独立を得たわけです。
そしてサンフランシスコ平和条約にはソビエト連邦は調印しませんでしたから、ソビエトとは平和条約が成立していなかったわけです。

このサンフランシスコ平和条約に関し、アメリカ合衆国上院ではサンフランシスコ講和条約批准を承認する際の決議において、「この承認は合衆国としてヤルタ協定に含まれているソ連に有利な規定の承認を意味しない」との宣言を行っています。(日本がソビエト側に付かないようにしたとの見方もありますが・・)

また、アイゼンハワー大統領は1956年に「(ソ連による北方領土占有を含む)ヤルタ協定はルーズベルト個人の文書であり、米国政府の公式文書ではなく無効である」との米国務省公式声明を出しております。

ですから我が国は「ヤルタの密約」などは認められないことと、「サンフランシスコ条約を認めろ!」とラブロフ外相に怒鳴り返すべきなのですが、河野外相は言わなかったようですね。

プーチン大統領は安倍首相がグローバリストであることを見抜いているのではないでしょうか。ですから今後の経済支援についても、もし日本以外の企業(あるいは資本)からの干渉があった場合のことを危惧しているのかも知れません。
プーチン大統領は明らかに「反グローバリスト」なのですから、相互信頼のためにはプーチン大統領の交渉相手も反グローバリストである必要があるのでしょう。

それが「われわれは対話の優先順位を貿易・投資的結びつきの拡大に置いた」とか、「日本は領土問題を議論する前にやるべきことがある」、「両国の協力の潜在力が完全には生かし切れていない」、「相互に受け入れ可能な決定を得るためには、綿密な作業が控えている」などのプーチン大統領の言葉になって現れているような気がします。

少なくとも、プーチン大統領との今後の交渉には、我が国も「反グローバリスト」のスタンスを明確にしている政治家をぶつけないと、うまくいかないように思います。

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