2019年2月4日月曜日

対中交渉、アメリカの弱点

米中経済戦争で、アメリカの自動車メーカーの一部(フォード社など)がトランプ政権に対して対立緩和を促す声が強まっているそうです。

もちろんその理由は、中共への販売のおかげで「存続の危機を脱した」とされる自動車メーカーがあるからです。

日本や欧州では人気のないアメリカ車ですが、大きいのが大好きな中共ではアメリカ車の人気は高いようです。
今年1月27日までデトロイトで行われた「北米国際自動車ショー」の会場には、中共のメディアがアメリカ車を取材する様子が見られたそうです。

「パリや東京の自動車展も取材するけど、ここなら中共で人気のアメ車の『未来』が分かるからね」と述べたのは成都市から訪れた自動車専門ブログを主宰する男性(33歳)だったそうです。

アメリカ通商代表部(USTR)によりますと、アメリカからの自動車の対中輸出額(17年)は約130億ドルと、航空機(約160億ドル)や大豆などの雑穀類(約130億ドル)となり、主要な輸出品となっているそうです。
中共が購入を増やす品目に自動車が入れば、アメリカに製造拠点を持つメーカーの業績改善を後押しするとみられています。

昨年12月の首脳会談では、今年1月1日だった対中輸入関税25%が3月1日まで延期され、そしてそれまでは協議中であり、その間は対中制裁強化を控えることで合意しています。
これでアメリカの株式相場が上がっているということです。

ですからもし3月1日に関税強化となれば株価が落ち込み、それはトランプ政権の足を引っ張ることになるという因果関係が出てきます。

確かに中共では大型車の方が有利な市場でしょう。アメリカ大陸と中国大陸ですから走りやすいと思います。
しかしこのアメリカ車が売れるとなれば、中共国内でも生産が可能なのではないでしょうか。
日本の自動車メーカーは中共国内に工場を作り、その結果、共産党の法律により国外に利益を持ち出せないことで困っております。
アメリカの自動車メーカーも同じようになる可能性はないのでしょうか。

米中交渉では、アメリカ側は「企業が中共市場に展開する時、技術供与の強制は止めろ」とか「資本の移動を禁止するな」という一文も入っているわけですから、それが合意されればアメリカ企業は中共に進出が可能になります。
しかしもちろん中共側が守るとは思えませんけど・・・

そして、この対米交渉が成立したとして、それが日本企業などにも適用されるかどうか、そこも心配ですね。
軍事力に負けていれば容認するが、軍隊を持たない日本の企業には適用しない・・ことも考えられます。

アメリカ側は、さらに5Gによる電子マネー取引を中共に先行されたくはないでしょう。そのためにファーウェイなどのハイテク企業を狙い撃ちしているわけですから。

銀行の小口決済は、我が国では最初はスイカなどの交通機関に使えるプリペイドカードから始まり、やがて銀行口座と結びついたクレジットカードになっていきました。VISAやDCカードと連携して決済業務が自動的に行われ、その他の銀行もカード決済に力を入れ始めます。

その後インターネット通販のアマゾンが書籍購入にカード決済などを取り入れ、やがて生活雑貨やファッション関係に広げていきます。
ネットワークで繋がった決済システムは、アメリカの銀行を中心として世界に広がります。
アメリカの金融はウォール街ですが、そこはロンドンにあるシティのアメリカの出店で、金融を牛耳っているのは歴史的にユダヤ金融です。

こうして出来上がった電子決済のネットワークに、人民元決済を持ちたい中共が絡みます。アマゾンに対抗する中共国内のインターネット通販「アリババ」は、おそらくアメリカ金融の延長線上に組み立てられた決済システムを使っていたろうと思います。
それを成し遂げたのは江沢民派の人物ではないかと思います。習近平派がそれを取ろうと動き出した時、アリババのジャック・マー会長が辞任しました。
恐らくジャック・マー氏は何らかの危険を感じたのでしょう。

その後ファーウェイの副会長がカナダで逮捕され、張首晟物理学終身教授が自殺(不審死)となっています。
決済システムを現在のカード決済からスマホ決済に変える5Gの戦略が、米中経済戦争の背後にあるように思います。

米中経済戦争の交渉を見ていますと、中共側はあくまでも貿易戦争と位置付けて、アメリカ商品を大量に買うことで決着したいように見えます。
ですからアメリカ製の自動車がいかに中共で売れるか、そこをアピールしているようです。
トランプ大統領の支持基盤であるラストベルト(自動車産業地帯)を狙って攻勢をかけてきたようですね。

3月1日までに、トランプ大統領の交渉がどうなって行くか、しかし注目点は貿易戦争ではなく、これは金融戦争であり、そこに5Gが絡んでいるのだと思いますから、そう簡単には決着しないでしょう。

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