2019年2月23日土曜日

中共経済にデフレの影

中共のインターネット上に「失業潮(失業ラッシュ)」、「裁員(リストラ)」といった言葉が頻繁に出るようになったそうです。

現実に今月4日からの春節(旧正月)連休前には、農民からの出稼ぎ者「農民工」が早々と帰郷するケースが増加したとか。

中共の2018年度のGDP(国内総生産)は6.6%。その数値よりもこれまでの記録から見れば低水準であることは間違いないでしょう。

「農民工」の帰郷について、農業農村省の報道官は「農村での『創業ブーム』が、農民工や大学卒業生らを引きつけている。決して都市での仕事が見つからなくなったためではない」などと述べているそうです。
しかしそれを信じる者は少ないようです。

この中共の経済減速は、次の3つの原因が複合したものだそうです。
1)地方政府や国有企業の債務削減方針を受けて固定資産投資の伸びが大きく鈍化
2)2017年に好調だった自動車や携帯電話などの消費が冷え込む
3)米中経済戦争が生産と消費に追い打ちをかけている

そしてこの中でアメリカ・アップル社のスマートフォンの業績不振で同社スマートフォンの受託生産工場を抱える中共国内の雇用にも大きな影響を与えているとか。
自動車も前年同月比で約15%減を記録し、小売・外食業の売上高の伸び率も、10%割れになっているとか。デフレの予兆でしょうか・・・

アメリカとの経済戦争という心理的圧迫が消費を冷やしてしまったことも事実のようです。
そこで中共はアメリカとの経済戦争を終わらせることが第一として、現在ワシントンで行われている閣僚級貿易協議に掛けているようです。

アメリカからはライトハイザー通商代表、ムニューシン財務長官、ロス商務長官、ナバロ大統領補佐官などが列席し、中共側は劉鶴副首相、中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁などが列席しているとか。

中共側は大豆やトウモロコシなど年300億ドル(約3兆3千億円)に上る農産品の輸入拡大を提案し、アメリカ側は「知財保護など構造改革が最も大きな課題だ。(農産品の取引は)全体の合意がどうなるかにかかっている」ということから会談は始まったそうです。

2月22日の夜、トランプ大統領はホワイトハウスで中共の交渉団を率いる劉鶴副首相と会談しました。
そして3月中にフロリダ州のマールアラーゴ(トランプ氏の別荘)で習主席と会談することになるだろうと述べたようです。
従って3月1日の対中制裁関税の引き上げを凍結することでは合意したとか。

「為替と為替操作については合意した」とトランプ大統領は記者団に語っています。そして為替などの合意事項を記載した覚書を準備していると言うことです。
しかし「中共の構造改革をめぐり溝がある」ことはまだ未解決のようで、それが米中首脳会談で話し合われるということなのですが・・・

中共側はアメリカからの物品の輸入額を計1・2兆ドル(約132兆円)相当、拡大することを提案したそうです。金さえ出せばこの戦争は終わるとする中共政府の考えがもろに出ています。
対するアメリカ側は「華為技術(ファーウェイ)」や同業の「中興通訊(ZTE)」の問題を持ち出したようです。

孟晩舟(もう・ばんしゅう)副会長兼最高財務責任者がカナダで拘束されたのは、知的財産権の問題とは関係なく、イランに対する制裁を破ったことです。
トランプ大統領は「(孟氏については)これから数週間に議論される」として、孟氏の扱いを今後の取引材料とする可能性を示唆しました。

為替と為替操作については合意したそうですが、そこに資金の外国への移動が盛り込まれているのでしょうか。そして日本企業(トヨタや三菱など)の益金も持ち出せるのかどうか、そこが気になります。
この資金移動の問題は中共の構造改革の中に含まれ為替問題とは違うとするなら、この構造改革は今回の戦争終結では解決しなかったことになり、トランプ大統領には来年の大統領選挙に向かって不利な交渉だったことにならないでしょうか。

トランプ大統領が2020年の大統領選挙で再選されるかどうかが注目されています。何とか実績を上げたいトランプ大統領ですが、中共の資金移動の自由を認めさせることが出来るかどうかに掛かっているのではないかと思います。

民主党は、ウォーレン上院議員、バイデン前副大統領、サンダース上院議員、ハリス上院議員が大統領選挙に名乗りを上げていますが、どの候補者もそれほど魅力のある人物には見えません。

もしトランプ大統領にこれと言った実績が出来なければ、再選をあきらめて立候補を見送り、変わりにペンス副大統領が立候補するという選択もあるように思います。
トランプ大統領は中共とのディールでアメリカを勝利に導こうと考えているようですが、相手は中共です。ディールならお手の物で、しかも決まったことなど守る気さえありません。つまり詐欺師と交渉しているようなものなのです。

ペンス副大統領は、自称「エバンジェリカル・カトリック」なのです。対中政策はトランプ大統領よりも厳しいはず。ローマ法王に対する習政権のやり方に強烈な怒りを覚えているはずです。
まだ59歳。この若き大統領になれば、一番困るのは中共でしょう。

中共が困ること、それが世界にとって良い事のように思うのですが・・・

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