2019年2月24日日曜日

はやぶさ2、リュウグウ着陸

初代ハヤブサが満身創痍で帰還してからはや6年と8カ月が経過しました。初代の冒険が持ち帰ったさまざまな経験をもとに、はやぶさ2が創られ、そして再び小惑星帯に挑みました。
2014年6月、初代の帰還から3年の計画の後に打ち上げられたはやぶさ2は、それから3年の長距離飛行を続けて、小惑星リュウグウに着陸したわけです。

初代はやぶさは小惑星帯のイトカワという小惑星に着陸し、その岩石を持ち帰る予定でしたが、岩石採集に失敗し、戻ってきたものは極めて小さな砂粒だけでした。
しかしそれでもその砂粒から様々なことが判ったようで、はやぶさ2には、さらに大量の岩石サンプルと、地表から深くにある岩石サンプルを爆破で掘り出して持ち帰るというミッションが与えられたのです。

「そんなものに金を掛けて・・」という意見もあろうかと思いますが、この小惑星帯はまだ惑星になる前の段階かも知れません。
この岩石成分を調べることで、太陽系のこと、生命のことなどが解るはずだという研究者の意見が多くて、今回のミッションになったものと言う事でした。

1977年頃、英国の作家「ジェイムズ・P・ホーガン」という方が「星を継ぐもの」という小説を書いております。SFミステリー小説ですが、小惑星帯の謎に迫っている小説でした。
「星の王子様」のようなものではなく、人類の原罪に切り込んだ小説で、昔人類は火星と木星の中間にあった惑星に住んでいて、戦争が絶えず、ついに自らの惑星を粉々に破壊してしまうほどの戦争をやってしまい、生き延びるために地球へ移住した・・というのが骨子の小説でした。
つまり小惑星帯は過去の人類が破壊した惑星の残骸だと言う訳ですね。

はやぶさ2が持ち帰る岩石の中に有機物が含まれていれば、もしかしたらこの小説は正しいのかも・・などという妄想も出てきますね。

リュウグウは小惑星帯でも最も地球に近く、火星軌道よりも内側に入る軌道を通っております。そしてその形状から見て、最も水成分や有機物が含まれていそうな、直径約900mの岩石だそうです。

持ち帰った表層の資料と、人工クレーターから得た内部の資料を地球のものと比べて、有機物などの含有が同じか違うかを確認することで、われわれ生命体が地球にもともとあった成分から出来上がったのか、それとも地球の冷却が終わった後に外部からやってきたものなのかを判断するそうです。
太陽系の生成過程の謎にも新しい情報が得られるだろうとか。

これがはっきりすれば、今後の宇宙生物探査計画も焦点を絞って進めることが出来ると思いますが、宇宙のことですので、一概にそう言い切れるかどうかは・・・

今後、はやぶさ2は7月頃までリュウグウに滞在し、人工クレーターを作り地中の物質を採取したり、あと2回の着地を試みるそうです。
そして2020年の五輪が終わってから地球に帰還し、資料を我々人類に提供してそのミッションを終わる予定だそうです。

この小惑星探査は、我が国が今のところ世界をリードしているようです。アメリカや中共なども小惑星探査に乗り出してきましたが、まだ成果はないようです。

そしてハヤブサの技術には大手メーカーから数人の町工場まで100社以上が携わっているそうです。つまり職人技が生きていると言う事。
まだ誰も知らない環境で働く衝突装置(ショックアブソーバー)などに職人の技がつかわれているそうです。

はやぶさ2は大量生産品とは違いますから、数個の受注でしかも条件が厳しい物。それを受けて製造する工場はそうありません。
極少数の作成ですからコストもかかります。ですから宇宙開発は極めて金が掛かるわけですね。
でも社会福祉などに比べれば、人類にとって有益な国家出資です。

このような宇宙関連開発には、職人技が必要なのです。宮大工が式年遷宮などでその技を残していくように、宇宙開発で近代技術の職人技が生まれていくような、そんな気がするのです。

我が国は職人が神になれる国。いわゆる神技という収斂の賜物があるのです。
宮大工と言う継承手法に、宇宙開発という新しい収斂の場が出来て、このところ減少傾向にあった我が国の神様が、また増えていきそうですね。

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