2014年7月31日木曜日

台湾、これからの中共との関係は

盧溝橋事件から77年を向かえる7月7日、台湾で対台湾交流窓口機関、交流協会台北事務所(事実上の大使館)に約100人規模の反日抗議デモが行われました。
中台統一を掲げる団体などが企画したデモで、集団的自衛権の行使容認に反対するスローガンを掲げて、安倍首相の写真を破るなどの下品な抗議をしていたとか。

しかしどのくらいの台湾国民がこのようなデモに共感を抱いているのでしょうか? 中共の台湾吸収に関する行動は、ますます活発になってきています。

ポルトガルの大学2カ所を会場に7月22~26日に開催された欧州・中国研究の学会で、そこに参加していた中共政府高官が、いきなり配布された資料に掲載されていた「台湾の協賛団体の紹介ページ」を破るように要求し、そして実際に破り捨てていたことが台湾の自由時報が伝えました。

その資料に台湾の元総統の名を冠した「蒋経国国際学術交流基金会」の紹介文があることに腹を立てたようです。
この中共の高官とは許琳氏のことで、彼は「孔子学院」のトップということです。

「孔子学院」とは、「中国語と中国文化の普及を目指す教育機関」ということになっていますが、その実態は「宣伝工作機関」であることは今や世界の常識です。
昨年末で115カ国・地域の440カ所に設置されているそうですが、今年6月にアメリカの大学教授協会が、「学問の自由」の侵害を理由に(設置の)見直しを求める声明を発表しているという曰くつきの機関。

この「孔子学院」のトップは中共に於いて「副大臣」クラスの権力を有し、習近平国家主席のブラジル訪問にも同行した人物だそうです。

そして問題となった「蒋経国国際学術交流基金会」の蒋経国氏とは、蒋介石元総統の長男であり、ソビエトに亡命していた人です。
ソビエト発のコミンテルンが暗躍していた時代です。共産党の謀略がどのように動いていたのか判りませんが、国共合作などが画策されていた時代ですから、親子といえども思想的には大変だったようですね。

この蒋経国氏が、西安事件を機にソビエトより帰国したのは1937年のこと。父である蒋介石と和解し、終戦後の1949年から国民党政府が台湾に移動する下準備を行いました。つまり中央銀行の外貨及び金の台湾への移出業務を行っていたわけです。(故宮博物館の秘宝も彼が持ち出したのでは?)

中華民国が毛沢東の共産軍に追い出される形で台湾に移ってから、中華民国の情報機関を統括していた人物で、1972年に蒋介石総統が亡くなってから、彼が実質的な最高権力者の地位にあったとも言われているそうです。(事実、中華民国第6期総統に指名され、就任しています)

総統に就任してから、台湾のインフラ整備に力を入れ、李登輝をはじめとする本省人の登用など斬新な改革を行い、中華民国経済の発展とともに日・米との断交後の難しい政局を乗り切った優れた政治家です。

台湾を吸収しようとする大陸・中共に対し、経済のみが先行している中華民国を有効に利用、「社会を更に解放し政治の民主化を実現してこそ初めて中華民国は存在できる」との認識で台湾を中共の魔手から守った人。
蒋一族の世襲の否定し、政党結成の規制とかメディアへの規制を撤廃し、「私も台湾人である」と宣言するなど、台湾独立の道を切り開く基盤を作ってきたのです。

残念ながら、1988年に臓器疾患により亡くなりますが、その意思は副総統であった李登輝氏に継承されました。

この蒋経国氏さえいなければ、さっさと台湾は中共のものになっていたと考える大陸政府が、蒋経国氏を排除しようとするのは当然かも知れません。
それがこの許琳氏をして「該当ページの破捨て」を強行した背景にあるようです。

この行為に対し台湾側は、対中政策を主管する行政院大陸委員会を通して「純粋な学術文化交流で、大陸(中共)側が不必要な問題を引き起こし、台湾人民の感情を傷つけたことに深く失望した」との声明を発表しました。

欧州の学会はまだ何もコメントしていないようですが、この「欧州・中国研究学会」の憲章には「いかなる政治活動にも関与しない」と定めているそうですから、明らかに許琳氏はこの憲章違反になるはずです。
該当ページを破らなければ配布を認めないなどとした許琳氏は、自身も協賛団体であることを理由にしたそうですから、彼を退会処分にするなどの抗議を行うべきではないでしょうか?

それともこの学会は、中共からかなりのお金をもらっているのかな?・・・

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