2014年1月27日月曜日

安倍首相のインド訪問

東京都知事選の真っただ中、安倍首相はインドを訪問しました。安倍外交は止まらないのです。
アメリカのQE縮小が始まると、ドルがアメリカ本土に還流し、新興国ではデフレ不況に陥る可能性は高いわけです。
QE縮小に合わせて日本が「円」の緩和を始め、これら新興国を支えることが望ましいのですが、それで中共が息を吹き返し、反日攻勢を掛けられたのでは、たまったものではありません。

そこでインド、ベトナム、ミャンマーなどの新興国との経済協力を推し進め、「円(もちろんドル経済圏の円ですよ)」の流通が中共に偏らないようにしなければならないわけです。

さて、インド経済はこのところ減速しています。
2011年第1四半期には9.2%の成長率だったGDPが、昨年7月期には4,8%にまで下がっています。
消費者物価が過去5年間で平均10%上昇し、消費者は将来への不安を募らせ、財布のひもを引き締めているということです。
景気減速下でインフレが進むとは、スタグフレーションの様相を見せていることになりますね。

インドの失業率ですが、都市部では3,7%と低いようですが、全国の失業率は把握できていません。
つまり、広大なインドの国土は未だ開発されきっていない状況にあるということでしょう。
資本の投下と成長の余地が十分あるということも言えるはずです。

ですからインドに進出しているグローバルな消費財メーカーは、まだインドには明るい未来があると考えています。
インド子会社の持ち株を増やしたりしていますし、「インドでは成長性がとてつもなく大きい」などと言う経営者も居ります。「単に、短期的な景気循環の逆風に対処すればいい話だ」と、現在のインド経済の減速について話していました。

このインドに、安倍首相が訪問し「インドの人材と日本の技術力のコラボレーションが世界の成長を牽引する力になる」と協力強化を呼びかけ、「わが国の技術がインドのために貢献できる余地はまだまだ多く残っている。日本もインドの優秀な人材を必要としている」と訴えたわけです。

その上で、シン首相との首脳会談で救難飛行艇US-2の輸出に向けた作業部会の継続を確認しております。日本の防衛産業の再整備を行うための準備にも怠りはありません。
昨年12月に決定した「中期防衛力整備計画(中期防)」の実質的な防衛生産・技術基盤の強化は、海外展開で防衛装備品の製造数を増やし、大量生産によるコスト削減しか方法がないからです。
災害救助と国土防衛は、同じ技術であり体制作りなのです。US-2は他国の追従を許さない日本技術の飛行艇であり、荒れた海でも離着陸が可能なように設計されたもの。

インドは昔からこの飛行艇を欲しがっておりました。しかしそれが武器輸出になるとして先延ばしされていたものです。
この計画はまだ作業部会の段階ですが、動き始めたことが重要なのですね。

また、安倍首相は世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で行った各国メディアとの意見交換での発言が曲解して伝えられたことについて「同席していた方が沢山いた。聞いていただければ、何の問題もなかったということが分かっていただける」と述べ、英国の報道などの曲解報道を否定しました。
つまり「日中関係について第一次大戦前の英国とドイツの関係と『類似性』があると発言した」と報道された内容を、「確かに日中関係について第一次大戦前の英国とドイツの関係と『類似性』がある。英独は大きな経済関係にあっても第一次大戦に至った。このようなことが起きないようにしなくてはならない」と述べたのであって、日中の戦争を示唆したものではないことを自らはっきりとさせたのです。

そして、「中共は過去20年間、軍事費を毎年約10%も増加させてきた。これはアジア各国と同様に日本の懸念材料だ。(このような)軍備拡張は中国の経済成長や繁栄に貢献しない。(このことを)中共側が確実に理解するよう取り組んでいきたい。」と述べ、その上で「中共と軍事的に対抗する意図はない、(しかし)首相として日本の領海や領土を守る責任は果たしていく。」と、日本国首相としての当然の義務を述べました。

インド側は安倍首相を歓迎しながらも、冷え込みが続く日中関係については言及を避けました。インディアン・エクスプレスには「中共や欧米が安倍氏を(靖国神社参拝で)非難しているが、インド人は一歩引き、安倍氏と日本を理解しようとしなければならない」と言う専門家の寄稿もあったそうです。

このような安倍外交を見ているのかどうか、北朝鮮が過激な対中攻勢を強めています。張成沢の処刑から始まった親中派の摘発が続いているほか、国境都市でも「中共の犬狩り」と称した摘発が始められ、3千人以上が追放されたということです。
中朝国境の街、恵山(ヘサン)や茂山(ムサン)での摘発だけでなく、経済特区の羅先(ラソン)にも摘発の手が伸びて、その金第1書記の指示は「中共の犬狩りを無慈悲に進めよ」と言うものだったとか。

この経済特区の羅先には、天然の良港で日本統治時代に整備した「羅津港」があります。そしてこの辺りは中共ではなくロシアとの国境になる部分です。
中共はこの港を長期間借り入れることで押えました。そこで「中共の犬狩り」を行うとは、今後どうする気なのでしょうか?

日本政府は1月末にロシアとの事務交渉に入ります。北方領土問題も取り上げられるでしょうが、こちらは難しいでしょう。しかし拉致問題の解決に対してはロシアの協力が得られる可能性があります。
ロシア側から北朝鮮を伺うとすれば、この羅先の北方、国境の北のロシア領内からになるのではないでしょうか?

安倍首相は「中共と軍事的に対抗する意図はない」としながらも、「日本の領海や領土を守る責任は果たしていく」と述べております。もちろんこの中には日本国民を守る責任も含まれるはずです。
ほとんど経済のすべてを中共に依存する北朝鮮が、過激とも思える反中攻勢に出る影には、拉致問題を解決して日朝の関係を良好にしようという北朝鮮側の意図もあるのかも知れません。
難しく見える拉致問題ですが、これは金第1書記の「日本の調査団に全面協力せよ」という一言で解決するわけです。

問題があるとすれば、インドも北朝鮮も今や核保有国になっているということ。日本の核技術がこれに加わる可能性をアングロサクソンは「良し」とはしないでしょう。
どのような手を打ってくるか、そこに乗っかる中共の策もあるでしょう。

いよいよ緊張が増す「安倍外交」なのです。

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