2014年1月2日木曜日

南太平洋の島嶼国家歴訪へ、安倍首相

昨年暮れに行った靖国神社参拝で、世界各国から微妙な反応を受け取った安倍内閣です。
特に中共と韓国から発せられた批判は感情的であり、ともに日本の「戦後レジームからの脱却」が、自国存立基盤の瓦解となることを知っているのか、その批判にはある種の「怯え」が見えていました。

その両国を尻目に、安倍首相は2014年の外交方針の中に、パラオ共和国、プアニューギニアやグアム(米領)、ソロモン諸島などの南太平洋の島嶼を訪問するという事です。

多くの戦没者が眠る南太平洋の諸島です。昭和60年に後に首相となった中曽根康弘氏が戦没者慰霊を目的に訪問したのを最後に、日本の政治家の訪問は途絶えております。
平成17年に天皇、皇后両陛下がサイパン島(米領)を訪問され、戦没者を慰霊されておりますが、現職首相が訪問するのは始めてではないでしょうか?

安倍首相は、複数回に分けて訪問するそうです。そして訪問の際には、政府開発援助(ODA)供与を表明するなど経済支援も積極的に行う方針で、PIF首脳会議(太平洋諸島フォーラム)には首相自らが出かけ、日本の影響力を強めるような戦略だとか。

現在は太平洋はアメリカの覇権地域になっています。ここに中共がちょっかいを出し始めていますが、日本の影響力を大きくすることで島嶼国家の経済的繁栄をもたらすという戦略のようです。
太平洋戦争で日本が敗北し、その結果アメリカの覇権が確立されましたが、ハワイの観光以外にこれと言った経済的プレゼンスは発揮されておりません。

中共の太平洋進出が露骨になってきた今、このままでは島嶼地域に中国人がのさばり、地域が不安定化する懸念があります。
中共が行うことは、各諸島に軍港を作り、太平洋の中共海軍の寄港地にするくらいです。現地住民とのトラブルが多発し、それを抑え込むための暴力が日常化していくことは目に見えています。それはすでに東南アジア各地で起こっていることですからね。

日本の戦略は経済援助です。そして近代化した技術の供与なども可能です。
例えば、高効率太陽電池が開発されれば、その敷設を海上に行い、効率の良い電池を搭載したEパワータンカーで電気エネルギーを日本が買い取るとか、海底に眠るレアメタルなどの採掘技術を供与するなど、いくらでも技術協力が出来るはずです。
このような手段によって、中共を太平洋から排除するのも日本の戦略として有効なように思います。

アメリカは軍事的プレゼンスを保ち続けるでしょう。しかしアメリカ経済が今後どのようになって行くかは判りません。グローバル化した金融事業は、次第にアメリカから離れていくでしょうからね。
アメリカの製造業回帰はオバマ政権で挫折したようです。
しかしアメリカには未来があります。グーグルもアマゾンも、そして次々と誕生する新しい事業(例えばFabLabなど)は、すべてアメリカからやってきます。

このような新事業は、あきらかに産業主義から脱却しています。金融資本は、どんなに大きなマネーを扱おうと産業が無ければ利益を生みません。
産業主義から脱却したこれらの新事業は、今のところ産業資本の相手ではないはずです。

だからこそ、太平洋に散在する島嶼国家にチャンスがあります。小資本でも可能なビジネスが脱産業の社会では出現するでしょうから。

安倍首相の島嶼外交は、新たな日本の太平洋戦略に発展する可能性が大きいのです。

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