2013年1月26日土曜日

日本版「シェール革命」は、メタンハイドレートなのか?


24日の産経に、日本海側のメタンハイドレートの埋蔵量調査や試掘などに向けた作業の調査費として、2013年度予算案で87億円を要求していることが出ていました。

そしてこの記事には、「こんな進捗(しんちょく)ペースでは、いつになったらこの次世代エネルギーを純国産エネルギーとして活用できるのか、まったく見通すことができない。
安倍晋三内閣は積極的な財政政策、金融政策に加え、成長戦略を「三本の矢」として優先的な政策に位置付けている。
とすれば、メタンハイドレートの本格生産に向けた計画を政府が全面的にバックアップする国家プロジェクトに格上げし、成長戦略の中心に据えてほしい。」と述べております。
ロイターのコラムニスト、田巻和彦氏の記事です。

そして記事の中でアメリカのシェールオイルに触れて「掘削技術は2000年代半ばにかけ急速に進歩し、産出量が右肩上がりに増大した。」と延べ、「メタンハイドレートの開発でも、政府が1000億円単位で資金を投入すれば、本格的な生産が可能になるまでの時間が大幅に短縮され、日本経済の構造を劇的に変化させる局面が、想像以上に早く到来することになるだろう。」としていますが、はたしてこれはいかがなものでしょうか?

シェールオイルは、あくまでも天然ガスと石油です。頁岩の層(シェール層)に浸み込んでいるシェールガスやシェールオイルを掘削してから抽出する技術で、石油価格が値上がりすればペイラインになることは昔からわかっていた技術のはず。
それが2000年以降のアラブの不安定化でオイル価格が高騰して可能になっただけでしょう。石油価格はオイルメジャーがある程度操作可能ですから、それで日の目を見たのではないでしょうか?
もちろん多くの技術革新のあったことは確かですけど。

しかし、日本のメタンハイドレートはちょっと違います。場所は1000mの海底であり、掘削ではなく吸い取りのような形にしないと空中で拡散してしまいます。
どうやってエネルギーとして使用可能にするか、それには各種データを取らないと設計が出来ません。あせって行っても無駄金をくわせるだけです。

そしてもしメタンガスとして採集に成功しても、その後どうするのかを決めないと最もコストの低いエネルギーにはならない可能性があります。
ボンベに詰めて配送などという考えでは、利用地に運ぶだけで高コストとなってしまいそうです。

独立総研では、「発電して電気で取り出すことが最適」と述べております。採取されるガスのカロリー量によっては、発電してしまうことが良いのかも知れません。
日本海側と言っても、相当広範囲に広がった堆積ガスのようですから、船で移動しながら採集し、それを船上で電気に変えて国内送電網に送ることが、一番効率的かも知れませんね。

送電ロスについては、超伝導電線による直流送電として、電磁波による弊害も無く低圧高電流を送ることが可能に出来るはずです。
http://www.sei.co.jp/super/cable/index.html ・・・これは交流用ですが。

このような電線を高速道路の下あたりを通せば、電気自動車への高速道路・充電スポットも拡充させられますし、その下の通常道路上にも充電スポットを設置可能。電気自動車が今以上に便利になれば、電気自動車は売れる商品になるでしょうし、経済効果も上がります。
充電スポットが液体窒素の循環限界になり、そこに設備を作っていけばいいわけです。現在240mくらいですが、せめて10000mは欲しいですけどね。
高速道路網をさらに拡充していく新しい意味付けとして、日本列島新エネルギー網にもなってきますし、この道路に通信ラインも包括すれば新エネルギー・通信網ともなるはずです。すなわち道路のBbyCが上がることにもなります。
しかしそこには既得権益の問題があります。国交省と経産省から始まる権益企業群の問題です。もうめんどくさいのは嫌ですから、ただ一言「国家のためだ!」で押し通しましょう。

この送電回路には、原発も、風力も、太陽光発電も結びつけることが可能でしょう。各家庭に電気自動車が納まれば、将来のスマートグリッドの可能性も高まります。(スマートグリッドとは、電力のピーク値を下げる考え方で、うまくいけば日本全体の単位時間当たりの発電量をスタビライズすることが可能になる技術)

ここまででも十分日本への投資環境になります。もちろん投資するのは国家です。メタンハイドレートは推定埋蔵量が現在のところ100年分くらいとなっています。半分の50年として、その間に太陽光発電(量子ドット)が確立されることを期待しましょう。それが出来た場合も、この電力網は有効になります。ですから子供たちの無意味な借金にはなりません。

照明をLED電球に変えると相当電力が節約できることはもうお判りでしょう。そしてモーターの技術革新によって、国内の電気使用総量は下がっているはずです。そしてさらに下がる可能性があるのは「超伝導モータ」の開発です。新幹線などのモータ、電気自動車のモーターなどがさらにエネルギー効率を上げる可能性もあり、また船舶のハイブリッド化も進むでしょう。

「シェール革命」は単なるオイル革命。しかしメタンハイドレートは電気化することで多くの技術革新が見えてきます。

日本は今、将来に向けた唯一の可能性大国なのではないでしょうか?

0 件のコメント:

コメントを投稿