2012年12月5日水曜日

榊原英資氏(青山学院大学教授)の安倍批判


経済再生に向け、安倍総裁の「政府・日銀の協調論」に対して、元元大蔵官僚で現在は青山学院大学客員教授(国際金融論)をやっておられる榊原英資氏が、産経に反論を書いておられました。
「インフレターゲット論」が、日銀法改正にまで言及するなど、あまりに乱暴だとする論拠です。

この発言は、今回の解散で、次期首相に一番近くなった安倍総裁の発言によって「円安・株高」にふれたことが、榊原氏の反論となったようです。
榊原氏は、この中で「日銀の独立性」を強調しております。それだけでなく日本の行政機構は政治から独立していることと、それゆえに日本にどんな政権が誕生しても「安定」して政府機構が機能していることを強調されています。

もちろん安倍総裁の持論である「戦後レジームからの脱却」とは、このすべてを指しているわけですから、行政マンだった榊原氏と真っ向から対立するのは仕方ないことでしょう。
しかし榊原氏の言う「安定した行政機構」とは、常に現状維持機構ということでしかありません。もちろんそれで良いわけですが、現在の行政機構が敗戦後に行われた日本占領のための行政機構であることを思い出さなければいけないのではないでしょうか?
すなわち、これが「敗戦既得権」を残してしまう元凶ではないでしょうか。

この行政機構を、日本国家の本来の姿を据えた行政機構に戻して、その上で「常に現状維持機構」にしようと言うのが「戦後レジームからの脱却」であることは、すでに国民の知るところです。
その最初が「日銀法改正」であると考えれば、現在の日本の経済情勢から見て最適と考えられるのでは?

もともと「中央銀行の独立性」とか「中央銀行と政治機構の分離」という仕掛けは、インフレを防止するためのもの。ですからデフレ対策は当然この逆になるべきだと思います。

問題は、そのような意味で政府と日銀の協調でデフレを脱却した後のこと。
インフレ政策の初期は、国民が熱狂的に喜びます。景気が良くなって仕事も順調になるからです。しかしこれをいつまでも続けることは出来ません。インフレ傾向になってきたら、すぐさま引締めに切り替えないといけないからです。
しかし、インフレ政策で人気を得た政権は、どうしてもこの政策を放棄することが出来ません。それが国家をインフレの危機を作ってしまうのです。
「政府と中央銀行の協調」と「中央銀行と政治機構の分離」は、固定された政治理念ではなく、経済状況によって切り替えて行う経済手法と考えるべきだと思います。

ケインズは、「不況期においては政府が借金をして公共投資を行い景気刺激を行う」としています。そしてこれまでの日本経済はこの手法で日本経済を安定させてきました。
これが崩れたのは、「グローバル金融」という名のもとに、国家規模での金融政策が利かなくなったことからでしょう。
しかし、経済のグローバル化は止めようがありません。情報技術の進歩がもたらした結果ですし、情報技術を後退させることは不可能だからです。

「金融のグローバル化」とは、国家単位の通貨政策を考え直さなければいけないことを意味していると思います。ケインズ理論が破たんしたとは思いません。
経済規模の大きさに合わせた通貨流通をさせないとデフレから脱却できないと言うことではないでしょうか?
国内経済だけを指向すればよかった時代から、国際為替の変動を意識しなければならなくなった時代への変化。日銀だけではどうにもならない変化が起きたとすれば、「日銀と政府の協調」で公共投資を行わないとデフレ脱却は難しいのではないでしょうか?
半端じゃない金額が必要になるでしょう。グローバル化経済とは、そういうものかも知れませんね。

その莫大な金をどうやって使うのか、そこに「日本強靭化計画」がぶち上げらているわけです。幸い、日本にはまだ生産余力があります。これが無くならないうちに行わないと・・・

アメリカは日本の公共投資の横取りを狙っています。TPPがその母体でしょう。すなわち、日本の土建業者だけでなく、アメリカの土建業者も入札させろ・・・と言ってくるような気がします。

「国際金融論」の榊原氏。しかも大学が「青山学院大学(アメリカ・メソジスト系)」です。まさかアメリカの意向が背後にあるのではないでしょうね・・・

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