2012年11月13日火曜日

本当にTPP解散をするのか、野田首相は・・・


「TPPへの参加はやぶさかではない。しかし関税は国家主権の中に在るものである。TPPが最初から関税撤廃という前提で行われるならばそれ(交渉)には参加できない。」
これが自民党・安倍総裁のスタンスのようです。

対する与党の野田首相は、「(TPP交渉参加を)マニフェストに明記する」と述べ、TPPを争点にした解散を伺っているようですが、どうしてTPP交渉への参加を進めるのか、その日本の目的も、それに基づく戦略も見えてきません。

日本の財界はTPPへの参加を望んでいるようですが、その根拠もはっきりしません。アメリカに誘われて、良い顔をすれば経済的に有利になるとでも思っているのでしょうか?
貿易で関税がなくなった場合、日本企業にとってそれがどうして有利になるのか、今ひとつ理解できませんね。

アメリカはTPPで日本の公共投資を狙っているようです。日本の政府調達をアメリカから買わせるだけでなく、工事などの請負にも参加させろと言ってくる・・・そんな条約を作ろうとしてくるようです。
カナダとか韓国は、すでにそんな条約をアメリカと結んでしまったとか。そのために苦しんでいる様子で、韓国の日本批判とか、慰安婦の像の世界中への配布なども、このどうしようもない国内の葛藤を日本に向けて発散させようとしているようにも見えますね。

関税撤廃と関税ゼロはまったく異なる意味を持ちます。関税ゼロは、関税という国家主権を放棄してはいないからです。
そして、関税は交易国同士の事情に合わせて、大きくしたり小さくしたりすることを可能にすれば、お互いに便利なはずです。

アメリカの国是が自由貿易指向であったがために、日本からの輸出攻勢を止められず、自主規制などという姑息な手段に訴えたアメリカ。
そんなことをするよりも、関税を掛け輸入を抑制する・・・とする方がすっきりしていたのではないでしょうか?
自主規制でいいという気になっていたアメリカが、今度は中共の輸出攻勢にあって、日本の様には行かないで財政が悪化しているわけです。
自由に関税を掛ければ、アメリカの製造業もここまで疲弊することはなかったのではないでしょうか?
関税の自由を拘束することの方が、自由経済へダメージを与えるように思います。

最近アメリカは中共からの太陽光パネル輸入に関税をかけました。ダンピングしたという理由で、いわば懲罰関税。
そんな言い訳がましいことをせずに、アメリカの国益のために関税を掛けると言えば良いわけです。相手国も報復関税を掛け、そのままでは自由貿易の危機となりますから、そこから交渉ということになるのが、これまでの手法でした。
交渉決裂から戦争という過去の忌まわしい思い出があったにせよ、国益を度外視した交渉はあり得ません。

企業活動が国境を越え、国家・民族よりも利益が優先されるようになってしまった時、自由の価値観がまた変質してしまったのではないか・・・そんな気がしております。
利益とは、あくまでもミクロ経済学の中に存在するもの。マクロ経済から見れば、利益の集大成で国内経済が成長していることが必要なこと。
グローバル化した企業活動は、ミクロ経済の範囲がマクロ経済を超えて存在するようになったことを意味するはずです。
企業利益は上がっても、国家の経済成長は阻害されている・・・ことは、自由主義経済の理念にかなっているとは思えません。
これでは、企業の利潤追求が国家・民族の目的に背反してしまっていると感じるのは、むしろ当たり前ではないでしょうか?

ドルという基軸通貨を守るアメリカの戦略がTPPだとしても、その戦略で本当にアメリカの国益を守れるのかどうか、それすら疑問です。
だからアメリカ国内にもTPP反対の意見があるわけです。

民主党が推進するTPP交渉参加。しかし、どこまで熟慮した結果なのでしょうか?
TPP解散を打ったとしても、国民を納得させられなければ解散の意味は薄れてしまいますね。

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