2011年12月11日日曜日

台湾の総統選挙の放送、中共で好評


来年1月早々、台湾では次期総統選挙が行われます。すなわち現在はその選挙戦の真っ最中。その選挙のためのテレビ討論会が開かれ、それふぁインターネットで公開されました。

中共寄りの国民党・馬英九候補は、1992年に台湾と中共との間で取り決められた国号の解釈問題(すなわち国号は「それぞれに任せた」うえで、ひとつの中国という「大枠」のコンセンサスを決めたもの)の重要性を強調します。(これはアメリカの介在で、台湾国民の意思によって平和に統一を果たすことが定められたものです。)
その上で「台湾をビジネス天国にする」などと財界が喜びそうなことを公約します。

これに対して蔡英文氏率いる民進党は、この1992年のコンセンサスなどはまったく認めないとする主張を展開します。その上で、中台関係については「政権移転(併合)まで積極的に対話を求める。」とする内容。しかも、台米関係で「新しい戦略関係を樹立する」とし、そのうえで「不均衡の両岸(台中)関係発展を調整する。」と公約しました。

アメリカとのTPPについては、両候補とも「アメリカとのTIFA談判の早期再開に努めると同時に、FTA締結を目指して邁進する。10年内にTPPを締結する。(馬英九候補)」、また「台米経済貿易協力協定の締結とTPP参加をめぐり米国の支持に期待する。(蔡英文候補)」と、TPP積極推進のようです。

このテレビ討論の放送が、インターネット経由で中共で閲覧されていたのです。

中共当局は、台湾の選挙に関する報道は厳しく管理されていました。ひとつの中国を標榜する北京は、「台湾総統」という言葉を認めず「台湾地区の指導者」と表示しますし、「台湾立法院(国会のこと)」も認めず「台湾の民意代表機構」などと表現する注意深さ。
そして「台湾の選挙」が中共国内に流れると民主化運動を刺激するとして、ひとつの中国を標榜するのとは裏腹に厳しいアクセス制限をかけていました。

しかし、民主化を求める国民側は、ネットユーザー個人が運営するツイッターなどを通じて中共国内に取り込み、その内容はさらに広く転載されはじめ、ついに当局が動画内容までチェックすることを不可能にしてしまったようです。
多くの中共国民がこのインターネットで動画をみてしまったようです。

見ればすぐに反応が出るのがインターネットの魅力。この動画を見た若者などから「(台湾は)民主主義の教科書」とか、「私たち中国人もやればできるのではないか」、「中国でこのような討論会が行われるのはいつの日か」などという書き込みが盛んになされたとか。

もっとも、共産主義を「良き物」とする一部国民からは「金持ちに雇われた操り人形が台湾人民をだまそうとしている」などという書き込みもなされます。しかしすぐ「お前は当局の回し者だろう! 消えてくれ」などと書き込まれ、インターネット上はやはり民主主義が土台の双方向通信なのだという感じがしました。

経済的行き詰まりが迫っている中共。なんとか真実を国民に知らせることなく困難を乗り越えたいのでしょうが、どうがんばってもインターネットを監視し、都合のいい情報だけを流すということは不可能なようですね。
台湾の総統選挙を見た国民は、次第に民主主義がどのようなものかを学んでいくでしょう。そこには日本の堕落した民主主義(衆愚化した民主主義)も見るでしょうし、アメリカのエンタティメント化した選挙も見るでしょう。
中国は広い大陸です。やがて若い国民は、合衆国のような分割統治をしないと無理だということにも気がつくでしょう。

ひとつの中国が実現するときは、台北が北京を呑み込んで中国の中枢の機能を果たし、広い国土は7つくらいの独立した州に分けられ、それぞれが異なった歴史背景に基づく伝統を大事にした統治を行うようになることが、いちばん良いのではないでしょうか?
これが蔡英文候補の「政権移転(北京の台北吸収移転)まで積極的に対話を求める」という意味であればいいのですが。

共産主義(中共)が、長い歴史の中の小さな汚点となることを、こころから願っております。

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