2011年12月4日日曜日

まだ混沌の中にある世界経済の未来


金融工学という詐欺システムが破綻して、その付けが欧州先進国をがたがたにしてしまい、その再生へ向けての努力が現在も行われておりますが、いまひとつ決定打はでてきておりません、

そんな中、アメリカのガイトナー財務長官が欧州に飛び、6日からフランスのサルコジ大統領、イタリアのモンティ首相、ドイツのショイブレ財務相、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁などと精力的な協議を行うことになったようです。

もちろん協議の目的は「ユーロ圏の体制強化に関する欧州各国の努力について、意見交換するため」ということだそうですが、本当はおそらく「オバマ政権の選挙活動」なのでしょう。
しかし、結論はすでに出ていて、結局ユーロという壮大な実験は失敗だったとして、その収束をどのように行うかという協議しか残されていないはず。

アメリカという国は、金融工学発祥の地ですから自らもその後遺症に悩んでいる国家。その再建をアジアの経済成長に求めるという流れがTPPに現れています。
ガイトナー財務長官は、このアジアの経済成長を欧州復活にも利用しようというプランを持ち、その根回しに欧州へ飛び立ったのではないでしょうか?

お金とは、自らを目減りさせて社会に貢献するもの。金融工学はそれを一気に目減りさせたものですから金融危機となりました。
一方の日本は、高齢化が原因なのかお金の目減りを極端に抑えて、お金の社会貢献度を低くしていますから、悪性デフレで産業が危機的状況に陥っています。
共に経済危機にあるのですが、内容はちょうど反対の性格を持っています。
ですからそれを相互に利用すればうまく行くのではないか・・・と思っても、そう単純にはいかない現実の厳しさ。

生産過剰で物価が下がりデフレになった・・・ようにも見えましたが、津波一発で需要拡大、日本の生産性はあっという間に需要を満たしてしまいました。結局物理的生産が一番強いことを見せつけます。
タイの洪水被害で、日系企業が壊滅的打撃・・などと報じて、あっという間にパソコンのハードディスクなどが高騰しますが、来年1月までにはタイ工場は復旧するとか。また自動車工場も4月までには正常な稼動状態に戻るそうです。
現在は日本の工作機械メーカーに特需が起きて、それでも間に合わせる日本物作り企業の底力を見せつけています。

このアジアの生産力を欧米経済の復興に利用しようと言うのが・・・TPPの目的だと思います。
その中心は日本。そして大儀とするキーワードは「中共の軍拡と性格的な暴力信仰」。
無政府統治状態にある日本なら、TPPを使ってどうにでも出来ると考えるアメリカ。その内容は眼を覆うばかりです。
野田政権が出した「TPP協定交渉の分野別状況」というレポートを見ますと、その対応の甘さにも驚かされますね。日本の社会システム(健康保険、医療システムなど)があらかさまに狙われていることをまったくご存じない様子。
これで交渉すれば、アメリカの言いなりになることは間違いないでしょう。

日本は、あまりお金(日本の資金)のことを気にせず、日本国民と政府機構とで作り上げている制度の維持を守ることが最も重要ではないでしょうか?
そのためには日本の歴史を使うことです。歴史と、それに裏打ちされた日本の美学と死生観。そこから発する日本の医療保険制度・・・歴史を持たないアメリカのウイークポイントを突くことがいいのではないでしょうか?(契約書を英語で・・は拒否しましょうね)
野田政権にはこんな交渉は無理でしょうかね。

しかし、欧米経済危機を支えるアジアの生産力という構図はしっかりとイメージしておくべきです。
欧米は、「欧米の優位性維持」という策略を持ってこのイメージを構築してくるでしょう。日本は「今こそアジアと欧米を対等な位置にすべく経済システムを構築する」というイメージで交渉をすることが必定。

金融工学的な、まやかしのシステムを排除し、基本的生産性をもって金融危機とマネーのあり方を交渉の土台に据えるべきではないでしょうか。

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